目立たないでと言われても

みつば

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コンコン
「2Cクラス委員長の藤崎です。」
「ちょっと待って、今鍵開けるから。」ガチャ
「失礼します。」

鍵を開けたのは会計。その目の下にはひどい隈がある。
「わざわざカギ閉めてるんですね。」
「うん、ちょっとね。」
さらに生徒会室に入って目についたのは、堆く積まれた書類。そしてそれに埋もれるように仕事をしている会長。

「湊人ちゃんどしたの~?」
「生徒会に用事ですか?」
顔を上げた会長の顔にも濃い隈がある。
「お忙しいところ失礼します。修学旅行の希望先のことでご相談が。こちらを承認をいただけないまま返されてしまったのでまた提出しにきました。」
「修学旅行の担当って確か……副会長だったねぇ。」
「少し見せてもらってもいいですか?」
そう言われたので書類を差し出す。会長はパラパラっとめくって目を通していて、会計も横から覗き込んでいる。だんだんと2人の顔が険しくなっていった。
「あちゃーこれはひどいね。」
「仕事の怠慢だけでなく、私情を挟んで改竄するなんて許せないな。」
そういって書類にハンコを押すとこっちに向き直る。
「持ってきてくれてありがとう、藤崎くん。この件はちゃんと直しておくから大丈夫だよ。クラスにももう行き先を話しちゃってもいい。」
「ごめんねぇ。ありがとぉ」

「いえ。それにしてもお二人とも目の下の隈がひどいですよ。ちゃんと休めていないのではないですか?」
「………。今2人で生徒会を回しているからどうも仕事がたまってしまうんです。この時期はもともとそこまで忙しくないからなんとかなるんだけどね。」
「仕事多いだけならまだしも……、たまぁにうるさいのがやってくるからねぇ。」
「あの、来栖先生に許可をいただいたんですけど、もし僕にできることがあれば手伝います。」
実は来栖は生徒会顧問である。あのなりで。
「ええ?いいのぉ?」
「本当ですか。じゃあ少しだけ手を借りたいです。」
なんでも2人とも猫の手でも借りたいという状態らしい。それから俺は3人分のお茶を入れて、仕事に取り掛かった。



*********

生徒会を手伝い始めてから5日がたった。俺は授業免除ができないので、授業が終わったら人目につきにくい道を通って生徒会室に行き、仕事を手伝っている。いまだ会長と会計以外の生徒会役員が仕事に来る様子がない。
今は授業が終わって生徒会室に向かっている途中だ。帰宅や部活に行く生徒ですごった返す廊下を通っていると、ときおりあの噂について話している生徒がいた。
(えっ、生徒会長様が………?)
(らしいよ。なんか遊んで仕事してないらしい。あと会計様も。ぜーんぶ副会長様たちに押し付けてるんだって。)
(うわーショック。尊敬できる人だと思ってたのに。)
思ったより根も葉もない噂が広がっているらしい。
事実は全く逆なのにな。


しばらくして生徒会室にたどり着いたので周りに人がいないことを確認し、ノックする。すぐに鍵が開いて中に入れてくれた。
「今日もありがとう。」
「よろしくねぇ。」
生徒会室内には一般生徒が扱えない書類もあるので、データの打ち込みや書類整理など、単純な仕事をいつもやっている。それでも助かったと言ってくれるのは嬉しい。

数日間一緒にいておれはいくつか認識を改めた。まずは生徒会の仕事が思っていたより重いということ。これを生徒にやらせるのか?というような内容のものもやっている。あとは会計が意外にも真面目に仕事に取り組んでいること。しかも仕事ができる。いつもヘラヘラしているから仕事をきちんとやっているのか疑問だったが、人は見かけによらないものだ。
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