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【続編】

64:会いたいという気持ちが一気に募る

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前を進むロレンソがゆっくり白馬を止めた。
私も馬の走る速度をゆるめ、その隣に馬を止めると。

「見えますか。この国固有種のキツネです」

ロレンソが指さすを方角を見ると……。

「真っ白……! まるで犬か狼みたいですね」

真っ白な冬毛でおおわれたそのこんもりとした姿は。
私の知るしゅっとスリムなキツネとは全く違う。

さらに進むと。

「パトリシア様。左手の奥を見てください」

針葉樹の森の中、目を凝らすと……。

「あれは……シカですか?」
「いえ、あれはトナカイです。あちらがオスで手前がメスですね」
「オスもメスも角があるのですね……!」

そんな感じで森の中を進んで行くと、確かに沢山の動物と出会える。こんな銀世界の中でも生きている動物の姿に感動してしまう。

アズレークにメッセージを送ることができた。
その安心感もあり、リラックスできようだ。

雪の世界で生きる動物達の姿を、ロレンソの案内で楽しみながら見ることが出来ていた。

「さあ、湖が見えてきました。少し休憩をしましょう」

ロレンソの馬と並走を始めると、驚くべく姿の湖が目に飛び込んできた。湖は……確かに凍っている。でもスケートリンクのようにガチガチに凍っているわけではないようだ。湖底の青みがうっすらと見え、そして……。

馬を止め、私が降りるのを手伝いながら、ロレンソが説明してくれる。

「これはフロストフラワーです」
「フロストフラワー?」
「霜の花ですよ」

ロレンソによると、辺り一面銀世界であるが。
これでも春に近づいているのだという。
その証拠がこのフロストフラワー。
極寒期、この湖は真っ白に見えるぐらい凍り付くが。
今の時期になると氷の厚さがかなり薄くなる。
氷が薄くなると湖面からは水蒸気が立ち上るのだが。
その水蒸気が凍り、湖面の上でいくつも重なりあうことで、美しい結晶となり……花のようになるのだという。

氷の花を見ていると。
アズレークが魔法で作り出したダイヤモンドダストを思い出してしまう。
青空を背景に見るダイヤモンドダストは、とても神秘的だった。
そしてあの時。
アズレークに後ろから抱きしめられ、なんだか守られているように感じていた。

アズレーク……。

会いたいという気持ちが一気に募る。
激務のアズレークとは昼食のひと時しか会えず、一緒にいられる時間は短い日々が続いていた。それに慣れていたはずなのに。
アズレークが恋しくてならない。

「パトリシア様」

背後からロレンソに抱きしめられたと気づき、慌ててその腕の中から逃れようとすると……。
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