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【続編】

20:どうしたら増えるかしら?

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レオナルドの姿に緊張し、アズレークの声に嬉しくなる。

姿はレオナルドなのに声はアズレークをされると、2つの相反する感情に、どうしていいのか分からなくなってしまう。この状態は……当然、バレていた。

「私とレオナルドは同一。頭では理解しているのだろう、パトリシア。でも君の体は分かりやすく反応する。レオナルドの姿で魔力を送られる時、目を閉じた君の瞼は小刻みに震えている。本当は私に魔力を送って欲しいと思っていることが強く伝わってくるよ。でも慣れてもらう必要がある。だからレオナルドの姿で魔力は送るが……。がんばったご褒美だ。だからその後は姿を変える」

そ、そうだったのね……!
アズレークはそんなところまで気づいていたのか。
ご褒美。
でも、確かに。
レオナルドに魔力を送られた後の、アズレークとのキスは……。
思い出すと、全身が熱くなる。

「では、魔力を送りますよ、パトリシア」

レオナルドの声で呼びかけられた。
気付けば既にレオナルドに腰を抱き寄せられている。
顎に手を添えたレオナルドはあっという間に魔力を口から送り込む。

あ……。

反射的に目を閉じてしまっていた。
慣れるためには少しの時間でも目を開けた方がいいはず。

そう思い、目をうっすらと開けると……。
やはりあの魔術師レオナルドの顔がすぐそばに迫っていると分かり、落ち着かなくなる。

声を出しそうになり、口が動きそうになったが、レオナルドの指が思いがけない強さでそれを押しとどめる。その瞬間、心臓が大きく脈打ち、ドキドキが加速された。

優美なレオナルドの少しワイルドな指な動き。
それを感知しただけでも、なぜか気持ちが昂る。

慣れる、なんてことできるのだろうか?
レオナルドの姿でキスをすればいいなんて考えてしまったが、今の状態では絶対に無理だ……。間違いなく失神しそうだ。それにキスは……やはりアズレークがいい。

「よし。これでいいね。屋敷に戻っても存分に魔法の練習もできるだろう」

レオナルドの声でそう言い終えた瞬間。
その姿はアズレークに変っている。
アズレークを見てしまうと、もうそれだけで嬉しくなり、自分から抱きついてしまっている。

「パトリシア……」

そんな私に答えるようにアズレークは私をまず抱きしめる。
ここに私がいることを確認するかのように。
力強く抱きしめられ、全身でアズレークを感じてしまうと……。
それだけもう、身も心もとろけそうになっている。
その上でキスをされるのだ。
もう全身が喜びで包まれ、何も考えられなくなる。

本当はずっとアズレークに抱きしめられ、キスをして欲しいのだが。

きっかり3回。
それでアズレークはレオナルドの姿に戻り、魔法を使い、私を連れ庭園へ向かう。

するとそこには日によってマルクスだけがいたり、アルベルトと三騎士が勢揃いしていたり。ともかく楽しい昼食の時間が始まる。このメンバーが揃って食事をできるのは、本来とても稀有なこと。だからこの時間は、とても大切に感じている。

その一方で。
どうしたらキスの回数は5回に増えるのかしら……? なんて考えてしまう自分もいた。

欲求不満なのかな。
約一カ月間はキスなんてそもそもなかったのに。
そんなことを思いながら、今日も王宮を後にした。
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