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再思編
第37話 古賀奪還戦(結)
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利水の地
ここ利水にあっても、戦況は佳境を迎えつつあった。
皇であり第六軍の指揮を担う瑞穂が、自ら妖鬼を討ち倒したのと刻を同じくして、戦場の両端では、部隊を引き連れて敵本陣へと向かう御剣と藤香の姿があった。
二人は互いに意思疎通していたわけではなく、ほぼ同時に部隊を率いて前進していた。
彼らが動き出したきっかけ、それは戦場という特殊な場面でしか感じることのできない感覚。もはや、本能に近いものであった。
回り込んでくる敵を迎え撃つ為に布陣していた斎国兵たちが、左右から同時に進行してくる御剣たちを捉える。
彼らは斎国軍の中でも体格に恵まれた兵士たちで構成されており、彼らが並び作る布陣は、まるで壁のようになっていた。
「敵が来たぞ!」
「返り討ちにしてやれ!」
両方向からの突撃は、守備を固めていた斎国側にとって容易に迎え討つことができた。しかし、先頭を行くのは互いに戦闘に長けた御剣と藤香であり、彼ら斎国軍に二人の突撃を止める術はなかった。
二人を先頭に、鋒矢の陣を組んだ剣翔隊と藤花隊は、まるで弓から放たれた一本の矢のように、勢いを失することなく敵陣の横っ腹へと食らいついた。
「何をしている。何のために両翼を本陣の周りに布陣させたか分かっているの」
湖琴はそう言って部下を睨みつける。
彼女の残忍な性格と、火傷の痕も相まってか、その恐ろしい表情を向けられた部下は、足が小刻みに震えるほど恐怖した。
「も、申し訳ございません湖琴様。なにぶん、相手の動きが想定以上に早かったため…」
「言い訳は要らない。円陣を組んで態勢を立て直せ。前線はそのままに、本陣の周囲を囲め」
「は、はっ!承知しました!」
「湖琴よ、儂に本陣の防御を任せてはくれまいか」
湖琴の前に現れたのは白髪の老兵。その手には、一本の槍が携えられていた。
◇
当初から俺は敵軍の隙を探っていた。
はたから見れば、ねずみ一匹すら入り込むことが難しいほど、密接に組まれた陣形ではある。しかし、そんな一見完璧そうに見える陣形の中にも、陣形を形成する人同士、または部隊同士の繋ぎ目が存在する。
そこを叩き、陣形を崩すことで生まれるものがある。
それが、本陣を叩く機会。
俺と藤香の率いる二つの隊は、両翼の翼端に配置された。しかし、その機会を得るために、ほぼ同時に横陣の配置場所から飛び出していた。
目指すは、敵将湖琴の首。これまでの状況から鑑みて、敵将に夜襲を仕掛けて来た湖琴がいることについては検討はついていた。
同時に、敵軍の様子からして、指揮官である湖琴を討ち取れば、全軍は圧倒的な指揮系統を失い、動くことはできても俺たちに対抗することは難しいだろう。
隊の先頭を走り、一気に陣中を駆け抜ける。馬上では尺の短い刀は不利であるため、尺の長い槍を振るう。
すれ違いざまに突き出された騎兵の槍を、上半身を仰反ることで避ける。そして、その体勢のまま槍を横に振るい、騎兵の胴鎧に柄を叩きつけた。
「ぎゃっ!?」
騎兵はすれ違いの勢いも相まって、宙を飛んだのち地面へと落下する。槍は突くものだという者もいるが、正しい使い方は相手をその尺を活かして叩くことである。
素人農民、槍持てば練兵。槍さえあれば、昨日まで素人の農民兵が、武人を殺すこともできる。槍とは、使い手を選ばない。
昔から刀一筋だった俺に、もしもの時のためにと槍術を指南してくれた姉さんには感謝しかない。
持って生まれたこの身体能力と、槍が合わされば、馬が倒れない限り道を切り開く事が出来る。
「童が、調子に乗りよって!」
その声と同時に、目の前に槍の剣先が迫る。
その剣先を紙一重で躱し、槍を突き出してきた老兵の懐に迫る。しかし、老兵は突き出した槍をすぐに持ち替え、柄の部分で肉薄する俺を打ってきた。
「くっ!?」
その攻撃を受けてしまった俺は、予想以上の力の強さに、後方へと仰け反って体勢を崩してしまう。
「御剣隊長!?」
「大丈夫だ!」
部下の声に応じて体勢を立て直す。視線を戻すと、先程の老兵はすでに目の前まで迫っており、片手が俺の顔を覆い隠す。
桁違いの力だった。片手で顔を持たれた俺は、身体が宙に浮く。しかし、そのまま振り落とされるより前に、槍の柄で老兵の腹を殴り、その手から脱する。
「無駄な足掻きじゃ」
俺は地に足を着け、前を見据える。老兵は槍を馬上で華麗に振るい、剣先を俺に向けてから高々と吠える。
「斎国軍槍術指南役、この八昌が相手じゃ!」
「皇国皇瑞穂之命が従者、御剣」
「ほう、貴様があの御剣か。なるほどな、迦ノ国の泰縁を倒した実力は伊達じゃないらしいのう」
八昌は槍を振るうと、馬上から攻撃を繰り出して来た。
馬の突撃を横に避ける。すると、避けた隙を見計らって、馬上から何度も槍を突き出してくる。
こちらから攻撃しようとするが、すべて隙のない動きのため攻撃を受けるのが精一杯であった。
「隊長を助けるぞ!」
「おおっ!」
「止めろ!来るんじゃない!」
八昌に攻撃しようとした騎馬兵たちが、いとも簡単にその鎧を貫かれて落馬する。その槍術の前に、誰も近づけずにいた。
「な、なっ!」
「騎馬兵がいとも簡単に…」
「その程度で儂を屠ろうなど、笑止!汝等は、斎国兵を列国最弱と侮っておるようじゃな。確かに我が国は元は宇都見国で最弱の種族、華河族の出身ばかり。胡ノ国を立ち上げた同胞とは違い、大国の傀儡と成り下がった弱者よ。じゃが、違う!」
八昌は拳を握り、自らの胸甲に押し当てる。
「我らは幾度となく大和との戦をくぐり抜けて来た猛者。貴様らのような田舎百姓なんぞに負けることなど、断じてないわ!」
その言葉は、俺たちの心に二つの感情を呼び起こした。
一つは無論、強敵を前にした恐怖心。まさに、自らが狩られる立場であることを認識させられた。
そしてもう一つ。
怒りだ。
「くっ!?」
俺は持っていた槍を八昌目掛けて勢いよく投げつけた。
八昌はそれを槍で弾くが、同時に刀を抜き飛びつくように八昌へと斬りかかる。
槍を弾く金属音、そして刀の斬撃を槍で受けた鈍い音が響き渡る。
「せりゃあ!!」
斬撃を受けた八昌は、力任せに身体を押し返してくる。宙で身体を捻り、天地が逆さまになりながら下から斬り上げる。
「くっ、かっ!?」
斬り上げた刀身は、八昌の槍を弾き、その胴を鎧ごと斬り裂いた。
"浅いっ!?"
しかし、距離が遠かったため、斬撃に手応えは少なかった。
間合いを取り、そして八昌を睨みつける。この敵にこれ以上の時間を掛けてはいられなかった。反対側の藤香率いる藤花隊と足並みを合わせなければ、本陣にいるはずの湖琴を討ち取ることなど出来ない。
"業火、力を貸してくれ"
手にした愛刀に想いを念じる。すると、刀身が紅く輝きを放ち、次第に帯びた熱が体へと伝わってくる。
この感覚は二度目だ。あの時、崇城平野で泰縁と戦った時以来の感覚だった。
「面白い、主の刀は呪装刀か。その刀から感じる呪力の力、見事なものよ」
居合いの構えから、ゆっくりと目を閉じる。
八昌はその隙を見逃さずに、俺の元へと馬で駆け出す。
唯一、父から教わった剣技。
すべてを一撃に掛ける、居合い。
「さぁ来い童、串刺しにしてくれよう!」
そして、ゆっくりと目を開ける。
ゆらゆらと動く視界の所為か、八昌の動きがまるで止まって見えた。
鞘から引き出した刀身は、一寸の狂いもなく吸い込まれるように八昌の胴を斬りつけた。
「………」
すれ違ったのち、刀身に付いた血を払い、鞘へと収める。
「見事なり」
馬上の八昌は、その一言だけを言い残し、馬から倒れるように落ちた。
◇
激しく身体が揺れた所為で私は目を覚ます。
「起きたかこのじゃじゃ馬女!」
開口早々罵倒して来たのは、私を馬の後ろに乗せ、四方から迫りくる敵を薙刀で倒していく日々斗だった。焦っている所為か、何を言っているか分からなかった。
「やったぞこん畜生!お前は妖鬼を倒したんだ!でもその所為でこの有り様だ、どうしてくれる!」
「このまま進むわ」
「何言って、お前、この状況が!?」
私は日々斗を刺そうとした騎馬兵を斬り倒す。
「がはっ!」
「はぁ、はぁ、助かったわ!」
「さぁ、行くわよ日々斗。ここを突破して、二人の救援に向かうわ」
「勝手にしろ!畜生、お前たち、絶対に皇に敵を近づけるな!」
不思議な空間で事実を知ってしまった私は、後には引けない。こうなった以上、自らの運命に従って突き進むだけだった。
◇
八昌が討ち取られたという報が、湖琴のいる陣中に舞い込んでくる。
「爺や…」
湖琴にとって、八昌は特別な存在であった。身内を水郭で失った彼女を引き取り、将軍になるまで面倒を見てきた人物が八昌であった。
そんな存在が、突然いなくなる。彼女のもとに、彼女のことを理解している者はもう誰も残っていなかった。
「こ、湖琴様、どこへ」
湖琴は立ち上がると、部下の言葉を無視して本陣の天幕から出る。
その視線の先には、怒濤の進撃で本陣へと迫る二つの部隊。
「貴様らはそうやって、私から大切なものばかり奪っていくのだな…」
湖琴の周りに、紅き煉獄の炎となった呪力が溢れ出す。
「許さんぞ。一人残らず灰にしてやろう…」
その湖琴を、彼女から見えないところで見つめる黒装束の者がいた。
「ふふ、せいぜい場を掻き立ててくださいね」
その者は不気味な笑みをこぼした。
◇
両翼から本陣に向けて突撃を開始した御剣と藤香の両隊は、ついに本陣を目の前に捉えるほどに接近した。
本陣を囲むのは、守備隊らしく精強な身体を持ち、統率のとれた精鋭ばかり。
「藤香、無事だったか」
「うん、何とか」
二人は馬を降りると、合流し、部隊を一つに纏めた。
「全員、俺たちが戻るまでここを死守せよ」
「お任せください隊長殿。お二人が戻って来られるまで、雑兵ひとりたりとも通しはしませんよ」
「藤香隊長、どうかご無事で」
「うん、ありがと」
二人は部下たちに見送られ、陣形の先頭に立つ。
「行くぞ、藤香」
「うん」
御剣と藤香は、乱戦となっている本陣周辺を一気に駆け抜け、天幕が張られている場所へと近づく。
そこへ近づくにつれて、熱気が増していた。
「藤香!上だ!」
御剣の声で藤香が避けると、その場所に火球が落下してくる。
あれほど青かった空は真っ黒に染まり、そこから火球が二人を目掛けて落下してくる。
それを避けながら進むと、一際禍々しい呪力の渦が空へと巻き上がっている場所へと辿り着いた。
「湖琴…」
二人の視線の先には、紅き炎を纏い、まるで火の鳥のように宙に浮かぶ湖琴の姿があった。
「燃やし尽くしてやる。お前たちも、皇国人も、皇国も、全て…」
「大神堕とし、どうやら火の大神に魅入られたみたいね…」
「大神堕としだろうが関係ない。ここで奴を倒し、決着をつけるぞ」
刀を抜き、二人は同時に湖琴へ向かって駆けだす。
「燃えろ、燃えろ、燃えろ!」
湖琴は宙に浮かびながら、炎を纏った両腕を振るう。すると、両腕に纏われた炎が地面に打ち付けられるように伸びて二人を狙う。
打ち付けられた場所から炎が噴き上がる。その合間にも、漆黒の空からは火球が降り注ぐ。
このままでは、一方的な戦いになってしまう。
「藤香、奴を地面に落とせないか!?」
「やってみる」
藤香は懐からあるものを取り出す。
それは、人の形に切り抜かれた形代を取り出す。その表面には、千代の術式である五芒星と、水の祝詞が書かれていた。
藤香はその形代を指に挟み、宙に浮かぶ湖琴へと投げつける。すると、投げつけられた形代は、一直線に湖琴へと飛来する。
刹那、形代は湖琴に命中すると同時に、水の大爆発を起こした。
「くっ…」
その衝撃に湖琴は地面に落下する、すかさず俺たちは地面に落ちてきた湖琴へと斬りかかり、その紅蓮の身体に刃を通す。
「がはっ!」
しかし、湖琴はすぐに身体を起こすと、回転しながら炎の渦を発生させる。
巻き込まれないよう、横に跳び炎の渦から逃がれる。
「燃えろ、燃エロ、モエロォォ!!」
炎を纏った手を地面に突き刺す。地面が割れ、炎の柱が噴き上がる。
まるで、憤怒の炎。
「させない」
「ッ!?」
藤香が呪力を纏わせた刀を、湖琴の胴体へと突き刺す。
毒が刀から湖琴の身体へと伝わり、やがて湖琴は悶え苦しみ始めた。
「ガァァァーーーー!」
藤香の毒を受けた湖琴は、その身体を爆発させる。爆風で体勢を崩しそうになったが、姿勢を低くして何とか堪える。
「おいおい、冗談だろう…」
爆風が晴れた場所に立っていたのは、怪物のような面を顔に付け、手足が怪物のような形へと変わった湖琴の姿だった。かろうじて人の姿を保ってはいるが、その姿は火の怪物、否、火の大神と言っても過言ではなかった。
しかし、湖琴の毒は確実に効いている。生憎、俺の刀は火を司っている。火を纏った敵とは相性が悪い。
「御剣!」
藤香の声に反応する。途端、一気に目の前に現れた湖琴が、俺の身体をその異形の手で鷲掴みにする。
「く、がはっ!」
あまりにも強い力で握られ、口から血を吐き出す。
両手が身体と一緒に包まれている所為で、身動きが取れなかった。
「ヒトリノコラズ、ハイ二ナレ」
湖琴は俺を掴みながら、掴んでいる手に炎を纏わせる。
仮面の隙間から見える湖琴の目は、紫の光に覆われている。
「お前は、どうして、そこまで、憎しみに、囚われている…」
「ワタシハ、ワタシハ…」
「ハアァァ!!」
藤香が俺を掴んでいた手を斬りつける。しかし、もともと力の弱い藤香の剣術では、湖琴の異形化した腕を斬り落とせなかった。
「ソノテイドデワタシヲ!」
「その通り。だから仕組んだの」
「ナンダト…ッ!?」
湖琴の腕には、無数の術符が貼り付けられていた。
「ナッ!?」
「もう遅いわ」
術符は一斉に爆発し、湖琴の腕は水の大爆発によって吹き飛ばされる。
腕が吹き飛ばされたお陰で、何とか手の中から脱出することができた。
「キサマラァ!!」
「残念だけど、もう王手が掛かっているわ」
腕を吹き飛ばされ、ふらついた湖琴が立った地面には、術式が描かれていた。
「霊符、拘束」
すると、地面から現れた無数の光の腕が、湖琴の両足を鷲掴みにして固定する。
「御剣、今よ」
「任された」
俺は再び刀を鞘に納める。そして、必死に腕を振り払おうとする湖琴を見据える。
身体のそこから湧き出るような熱気。
業火に火が纏ったのを感じた後、俺は一気に駆けだす。
そして。
「一閃!」
湖琴の首を切り裂いたとき、俺は不思議な感覚に包まれた。
◇
私は、緋ノ国が憎かった。
私から全てを奪い尽くした奴らは、緋ノ国から皇国に名を変えた。
でも、私の家族は帰って来ない。
寂しかった。孤独だった。
爺やがいてくれたおかげで、私は孤独を糧に呪術師となり、斎国で五将軍の一人となることができた。
復讐を果たすことができる。そう思っていた。
そう思っていた。
でも、目の前にいる奴らは、何かが違った。ただ自らの欲求のために戦っていたあの時の緋ノ国の兵士とは違い、奴らは違う。
そうか、奴らは、奴らは守るべきものの為に戦っていたんだ。
気づかせてくれた。復讐は、憎悪の連鎖を生むだけだ。
連鎖はここで断ち切らなければ。
蓮兄ぃ、みんな。最後はこんな終わり方でごめん。
私もそっちで、みんなとまた笑って過ごせるのかな…
◇
流れ込んできたのは、湖琴の記憶だろうか。
俺は倒れそうになった湖琴を抱き抱えてやる。すでに元の人の姿に戻っていたが、彼女はもう息をしていなかった。
「終わったわね…」
藤香がそう言った時、どこからか手を叩く音が聞こえてきた。
「いやぁ、まさか。火の大神を堕とした者を屠るとは、いいものを見させてもらいました」
「誰だ、お前は」
視線の先には、口元だけが見える黒装束の者が立っていた。
「ですが、あなたが彼女を倒した所為で、こちらの予定が大幅に狂ってしまいました。予定は修正せねばなりません。どんな手を使ってでも、ね」
黒装束はそう言うと、懐から赤い液体の入った瓶を取り出す。俺たちがその正体を問おうとするより前に、蓋を開けて中身の赤い液体を飲み干した。
「さてさて、楽しい時間はここからですよ」
ここ利水にあっても、戦況は佳境を迎えつつあった。
皇であり第六軍の指揮を担う瑞穂が、自ら妖鬼を討ち倒したのと刻を同じくして、戦場の両端では、部隊を引き連れて敵本陣へと向かう御剣と藤香の姿があった。
二人は互いに意思疎通していたわけではなく、ほぼ同時に部隊を率いて前進していた。
彼らが動き出したきっかけ、それは戦場という特殊な場面でしか感じることのできない感覚。もはや、本能に近いものであった。
回り込んでくる敵を迎え撃つ為に布陣していた斎国兵たちが、左右から同時に進行してくる御剣たちを捉える。
彼らは斎国軍の中でも体格に恵まれた兵士たちで構成されており、彼らが並び作る布陣は、まるで壁のようになっていた。
「敵が来たぞ!」
「返り討ちにしてやれ!」
両方向からの突撃は、守備を固めていた斎国側にとって容易に迎え討つことができた。しかし、先頭を行くのは互いに戦闘に長けた御剣と藤香であり、彼ら斎国軍に二人の突撃を止める術はなかった。
二人を先頭に、鋒矢の陣を組んだ剣翔隊と藤花隊は、まるで弓から放たれた一本の矢のように、勢いを失することなく敵陣の横っ腹へと食らいついた。
「何をしている。何のために両翼を本陣の周りに布陣させたか分かっているの」
湖琴はそう言って部下を睨みつける。
彼女の残忍な性格と、火傷の痕も相まってか、その恐ろしい表情を向けられた部下は、足が小刻みに震えるほど恐怖した。
「も、申し訳ございません湖琴様。なにぶん、相手の動きが想定以上に早かったため…」
「言い訳は要らない。円陣を組んで態勢を立て直せ。前線はそのままに、本陣の周囲を囲め」
「は、はっ!承知しました!」
「湖琴よ、儂に本陣の防御を任せてはくれまいか」
湖琴の前に現れたのは白髪の老兵。その手には、一本の槍が携えられていた。
◇
当初から俺は敵軍の隙を探っていた。
はたから見れば、ねずみ一匹すら入り込むことが難しいほど、密接に組まれた陣形ではある。しかし、そんな一見完璧そうに見える陣形の中にも、陣形を形成する人同士、または部隊同士の繋ぎ目が存在する。
そこを叩き、陣形を崩すことで生まれるものがある。
それが、本陣を叩く機会。
俺と藤香の率いる二つの隊は、両翼の翼端に配置された。しかし、その機会を得るために、ほぼ同時に横陣の配置場所から飛び出していた。
目指すは、敵将湖琴の首。これまでの状況から鑑みて、敵将に夜襲を仕掛けて来た湖琴がいることについては検討はついていた。
同時に、敵軍の様子からして、指揮官である湖琴を討ち取れば、全軍は圧倒的な指揮系統を失い、動くことはできても俺たちに対抗することは難しいだろう。
隊の先頭を走り、一気に陣中を駆け抜ける。馬上では尺の短い刀は不利であるため、尺の長い槍を振るう。
すれ違いざまに突き出された騎兵の槍を、上半身を仰反ることで避ける。そして、その体勢のまま槍を横に振るい、騎兵の胴鎧に柄を叩きつけた。
「ぎゃっ!?」
騎兵はすれ違いの勢いも相まって、宙を飛んだのち地面へと落下する。槍は突くものだという者もいるが、正しい使い方は相手をその尺を活かして叩くことである。
素人農民、槍持てば練兵。槍さえあれば、昨日まで素人の農民兵が、武人を殺すこともできる。槍とは、使い手を選ばない。
昔から刀一筋だった俺に、もしもの時のためにと槍術を指南してくれた姉さんには感謝しかない。
持って生まれたこの身体能力と、槍が合わされば、馬が倒れない限り道を切り開く事が出来る。
「童が、調子に乗りよって!」
その声と同時に、目の前に槍の剣先が迫る。
その剣先を紙一重で躱し、槍を突き出してきた老兵の懐に迫る。しかし、老兵は突き出した槍をすぐに持ち替え、柄の部分で肉薄する俺を打ってきた。
「くっ!?」
その攻撃を受けてしまった俺は、予想以上の力の強さに、後方へと仰け反って体勢を崩してしまう。
「御剣隊長!?」
「大丈夫だ!」
部下の声に応じて体勢を立て直す。視線を戻すと、先程の老兵はすでに目の前まで迫っており、片手が俺の顔を覆い隠す。
桁違いの力だった。片手で顔を持たれた俺は、身体が宙に浮く。しかし、そのまま振り落とされるより前に、槍の柄で老兵の腹を殴り、その手から脱する。
「無駄な足掻きじゃ」
俺は地に足を着け、前を見据える。老兵は槍を馬上で華麗に振るい、剣先を俺に向けてから高々と吠える。
「斎国軍槍術指南役、この八昌が相手じゃ!」
「皇国皇瑞穂之命が従者、御剣」
「ほう、貴様があの御剣か。なるほどな、迦ノ国の泰縁を倒した実力は伊達じゃないらしいのう」
八昌は槍を振るうと、馬上から攻撃を繰り出して来た。
馬の突撃を横に避ける。すると、避けた隙を見計らって、馬上から何度も槍を突き出してくる。
こちらから攻撃しようとするが、すべて隙のない動きのため攻撃を受けるのが精一杯であった。
「隊長を助けるぞ!」
「おおっ!」
「止めろ!来るんじゃない!」
八昌に攻撃しようとした騎馬兵たちが、いとも簡単にその鎧を貫かれて落馬する。その槍術の前に、誰も近づけずにいた。
「な、なっ!」
「騎馬兵がいとも簡単に…」
「その程度で儂を屠ろうなど、笑止!汝等は、斎国兵を列国最弱と侮っておるようじゃな。確かに我が国は元は宇都見国で最弱の種族、華河族の出身ばかり。胡ノ国を立ち上げた同胞とは違い、大国の傀儡と成り下がった弱者よ。じゃが、違う!」
八昌は拳を握り、自らの胸甲に押し当てる。
「我らは幾度となく大和との戦をくぐり抜けて来た猛者。貴様らのような田舎百姓なんぞに負けることなど、断じてないわ!」
その言葉は、俺たちの心に二つの感情を呼び起こした。
一つは無論、強敵を前にした恐怖心。まさに、自らが狩られる立場であることを認識させられた。
そしてもう一つ。
怒りだ。
「くっ!?」
俺は持っていた槍を八昌目掛けて勢いよく投げつけた。
八昌はそれを槍で弾くが、同時に刀を抜き飛びつくように八昌へと斬りかかる。
槍を弾く金属音、そして刀の斬撃を槍で受けた鈍い音が響き渡る。
「せりゃあ!!」
斬撃を受けた八昌は、力任せに身体を押し返してくる。宙で身体を捻り、天地が逆さまになりながら下から斬り上げる。
「くっ、かっ!?」
斬り上げた刀身は、八昌の槍を弾き、その胴を鎧ごと斬り裂いた。
"浅いっ!?"
しかし、距離が遠かったため、斬撃に手応えは少なかった。
間合いを取り、そして八昌を睨みつける。この敵にこれ以上の時間を掛けてはいられなかった。反対側の藤香率いる藤花隊と足並みを合わせなければ、本陣にいるはずの湖琴を討ち取ることなど出来ない。
"業火、力を貸してくれ"
手にした愛刀に想いを念じる。すると、刀身が紅く輝きを放ち、次第に帯びた熱が体へと伝わってくる。
この感覚は二度目だ。あの時、崇城平野で泰縁と戦った時以来の感覚だった。
「面白い、主の刀は呪装刀か。その刀から感じる呪力の力、見事なものよ」
居合いの構えから、ゆっくりと目を閉じる。
八昌はその隙を見逃さずに、俺の元へと馬で駆け出す。
唯一、父から教わった剣技。
すべてを一撃に掛ける、居合い。
「さぁ来い童、串刺しにしてくれよう!」
そして、ゆっくりと目を開ける。
ゆらゆらと動く視界の所為か、八昌の動きがまるで止まって見えた。
鞘から引き出した刀身は、一寸の狂いもなく吸い込まれるように八昌の胴を斬りつけた。
「………」
すれ違ったのち、刀身に付いた血を払い、鞘へと収める。
「見事なり」
馬上の八昌は、その一言だけを言い残し、馬から倒れるように落ちた。
◇
激しく身体が揺れた所為で私は目を覚ます。
「起きたかこのじゃじゃ馬女!」
開口早々罵倒して来たのは、私を馬の後ろに乗せ、四方から迫りくる敵を薙刀で倒していく日々斗だった。焦っている所為か、何を言っているか分からなかった。
「やったぞこん畜生!お前は妖鬼を倒したんだ!でもその所為でこの有り様だ、どうしてくれる!」
「このまま進むわ」
「何言って、お前、この状況が!?」
私は日々斗を刺そうとした騎馬兵を斬り倒す。
「がはっ!」
「はぁ、はぁ、助かったわ!」
「さぁ、行くわよ日々斗。ここを突破して、二人の救援に向かうわ」
「勝手にしろ!畜生、お前たち、絶対に皇に敵を近づけるな!」
不思議な空間で事実を知ってしまった私は、後には引けない。こうなった以上、自らの運命に従って突き進むだけだった。
◇
八昌が討ち取られたという報が、湖琴のいる陣中に舞い込んでくる。
「爺や…」
湖琴にとって、八昌は特別な存在であった。身内を水郭で失った彼女を引き取り、将軍になるまで面倒を見てきた人物が八昌であった。
そんな存在が、突然いなくなる。彼女のもとに、彼女のことを理解している者はもう誰も残っていなかった。
「こ、湖琴様、どこへ」
湖琴は立ち上がると、部下の言葉を無視して本陣の天幕から出る。
その視線の先には、怒濤の進撃で本陣へと迫る二つの部隊。
「貴様らはそうやって、私から大切なものばかり奪っていくのだな…」
湖琴の周りに、紅き煉獄の炎となった呪力が溢れ出す。
「許さんぞ。一人残らず灰にしてやろう…」
その湖琴を、彼女から見えないところで見つめる黒装束の者がいた。
「ふふ、せいぜい場を掻き立ててくださいね」
その者は不気味な笑みをこぼした。
◇
両翼から本陣に向けて突撃を開始した御剣と藤香の両隊は、ついに本陣を目の前に捉えるほどに接近した。
本陣を囲むのは、守備隊らしく精強な身体を持ち、統率のとれた精鋭ばかり。
「藤香、無事だったか」
「うん、何とか」
二人は馬を降りると、合流し、部隊を一つに纏めた。
「全員、俺たちが戻るまでここを死守せよ」
「お任せください隊長殿。お二人が戻って来られるまで、雑兵ひとりたりとも通しはしませんよ」
「藤香隊長、どうかご無事で」
「うん、ありがと」
二人は部下たちに見送られ、陣形の先頭に立つ。
「行くぞ、藤香」
「うん」
御剣と藤香は、乱戦となっている本陣周辺を一気に駆け抜け、天幕が張られている場所へと近づく。
そこへ近づくにつれて、熱気が増していた。
「藤香!上だ!」
御剣の声で藤香が避けると、その場所に火球が落下してくる。
あれほど青かった空は真っ黒に染まり、そこから火球が二人を目掛けて落下してくる。
それを避けながら進むと、一際禍々しい呪力の渦が空へと巻き上がっている場所へと辿り着いた。
「湖琴…」
二人の視線の先には、紅き炎を纏い、まるで火の鳥のように宙に浮かぶ湖琴の姿があった。
「燃やし尽くしてやる。お前たちも、皇国人も、皇国も、全て…」
「大神堕とし、どうやら火の大神に魅入られたみたいね…」
「大神堕としだろうが関係ない。ここで奴を倒し、決着をつけるぞ」
刀を抜き、二人は同時に湖琴へ向かって駆けだす。
「燃えろ、燃えろ、燃えろ!」
湖琴は宙に浮かびながら、炎を纏った両腕を振るう。すると、両腕に纏われた炎が地面に打ち付けられるように伸びて二人を狙う。
打ち付けられた場所から炎が噴き上がる。その合間にも、漆黒の空からは火球が降り注ぐ。
このままでは、一方的な戦いになってしまう。
「藤香、奴を地面に落とせないか!?」
「やってみる」
藤香は懐からあるものを取り出す。
それは、人の形に切り抜かれた形代を取り出す。その表面には、千代の術式である五芒星と、水の祝詞が書かれていた。
藤香はその形代を指に挟み、宙に浮かぶ湖琴へと投げつける。すると、投げつけられた形代は、一直線に湖琴へと飛来する。
刹那、形代は湖琴に命中すると同時に、水の大爆発を起こした。
「くっ…」
その衝撃に湖琴は地面に落下する、すかさず俺たちは地面に落ちてきた湖琴へと斬りかかり、その紅蓮の身体に刃を通す。
「がはっ!」
しかし、湖琴はすぐに身体を起こすと、回転しながら炎の渦を発生させる。
巻き込まれないよう、横に跳び炎の渦から逃がれる。
「燃えろ、燃エロ、モエロォォ!!」
炎を纏った手を地面に突き刺す。地面が割れ、炎の柱が噴き上がる。
まるで、憤怒の炎。
「させない」
「ッ!?」
藤香が呪力を纏わせた刀を、湖琴の胴体へと突き刺す。
毒が刀から湖琴の身体へと伝わり、やがて湖琴は悶え苦しみ始めた。
「ガァァァーーーー!」
藤香の毒を受けた湖琴は、その身体を爆発させる。爆風で体勢を崩しそうになったが、姿勢を低くして何とか堪える。
「おいおい、冗談だろう…」
爆風が晴れた場所に立っていたのは、怪物のような面を顔に付け、手足が怪物のような形へと変わった湖琴の姿だった。かろうじて人の姿を保ってはいるが、その姿は火の怪物、否、火の大神と言っても過言ではなかった。
しかし、湖琴の毒は確実に効いている。生憎、俺の刀は火を司っている。火を纏った敵とは相性が悪い。
「御剣!」
藤香の声に反応する。途端、一気に目の前に現れた湖琴が、俺の身体をその異形の手で鷲掴みにする。
「く、がはっ!」
あまりにも強い力で握られ、口から血を吐き出す。
両手が身体と一緒に包まれている所為で、身動きが取れなかった。
「ヒトリノコラズ、ハイ二ナレ」
湖琴は俺を掴みながら、掴んでいる手に炎を纏わせる。
仮面の隙間から見える湖琴の目は、紫の光に覆われている。
「お前は、どうして、そこまで、憎しみに、囚われている…」
「ワタシハ、ワタシハ…」
「ハアァァ!!」
藤香が俺を掴んでいた手を斬りつける。しかし、もともと力の弱い藤香の剣術では、湖琴の異形化した腕を斬り落とせなかった。
「ソノテイドデワタシヲ!」
「その通り。だから仕組んだの」
「ナンダト…ッ!?」
湖琴の腕には、無数の術符が貼り付けられていた。
「ナッ!?」
「もう遅いわ」
術符は一斉に爆発し、湖琴の腕は水の大爆発によって吹き飛ばされる。
腕が吹き飛ばされたお陰で、何とか手の中から脱出することができた。
「キサマラァ!!」
「残念だけど、もう王手が掛かっているわ」
腕を吹き飛ばされ、ふらついた湖琴が立った地面には、術式が描かれていた。
「霊符、拘束」
すると、地面から現れた無数の光の腕が、湖琴の両足を鷲掴みにして固定する。
「御剣、今よ」
「任された」
俺は再び刀を鞘に納める。そして、必死に腕を振り払おうとする湖琴を見据える。
身体のそこから湧き出るような熱気。
業火に火が纏ったのを感じた後、俺は一気に駆けだす。
そして。
「一閃!」
湖琴の首を切り裂いたとき、俺は不思議な感覚に包まれた。
◇
私は、緋ノ国が憎かった。
私から全てを奪い尽くした奴らは、緋ノ国から皇国に名を変えた。
でも、私の家族は帰って来ない。
寂しかった。孤独だった。
爺やがいてくれたおかげで、私は孤独を糧に呪術師となり、斎国で五将軍の一人となることができた。
復讐を果たすことができる。そう思っていた。
そう思っていた。
でも、目の前にいる奴らは、何かが違った。ただ自らの欲求のために戦っていたあの時の緋ノ国の兵士とは違い、奴らは違う。
そうか、奴らは、奴らは守るべきものの為に戦っていたんだ。
気づかせてくれた。復讐は、憎悪の連鎖を生むだけだ。
連鎖はここで断ち切らなければ。
蓮兄ぃ、みんな。最後はこんな終わり方でごめん。
私もそっちで、みんなとまた笑って過ごせるのかな…
◇
流れ込んできたのは、湖琴の記憶だろうか。
俺は倒れそうになった湖琴を抱き抱えてやる。すでに元の人の姿に戻っていたが、彼女はもう息をしていなかった。
「終わったわね…」
藤香がそう言った時、どこからか手を叩く音が聞こえてきた。
「いやぁ、まさか。火の大神を堕とした者を屠るとは、いいものを見させてもらいました」
「誰だ、お前は」
視線の先には、口元だけが見える黒装束の者が立っていた。
「ですが、あなたが彼女を倒した所為で、こちらの予定が大幅に狂ってしまいました。予定は修正せねばなりません。どんな手を使ってでも、ね」
黒装束はそう言うと、懐から赤い液体の入った瓶を取り出す。俺たちがその正体を問おうとするより前に、蓋を開けて中身の赤い液体を飲み干した。
「さてさて、楽しい時間はここからですよ」
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