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カードの真価
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「……これは」
町の方からルディの声が聞こえた気がした。
声のした方を見るとルディとペナ、そしてこの町の住人であろう人たちが唖然とした表情で立ち尽くしている姿があった。
俺はそんな彼女たちを見て大きく手を振って一歩踏み出す。するとべちゃっという水っぽい音が鳴り、気付けば自分が立ってる地面の至る所に血溜まりと肉会が転がっている。
「うわ、汚っ」
服や靴にも結構血が付いちゃってるし……簡単に汚れを落とせる魔法ってたしかあったよな?……調べてみるか。
スマホで調べながら血溜まりをジャンプして避け、ルディたちがいるところまで移動した。
「こっちは終わったぞ。もう魔物が見当たらないけど、モンパレはもう終わったのか?」
俺が近付くと恐怖からその場で尻餅を突いたりたじろいだりする者が見られた。この魔物の肉塊だらけの光景もあるだろうが、このホラーっぽい仮面を被ってるのもあるからか?どちらにしてもここにいる奴らを怖がらせちまったな。
「え、えぇ……この町の近くにはもう魔物は見当たらないですが……まさか一人で全部?」
「いや、向こう半分はニトが終わらせてるだろ。俺がやったのはもう囲んでた奴らのうちの半分だけだ」
「そういうことじゃ……あなたの底が見えない力は何となく感じていましたが、これだけの量の魔物をこの短時間で倒したというのですか?これを……人間がであるあなたが……?」
……そういえば魔族は魔力、獣人は肉体の強さって特徴があるけれど、人間の特徴って何なんだ?
「ま、実際に見た光景が全てであり事実だろ。俺様の町に住んでんなら否定するんじゃなく受け入れることもしろよ、俺様をそうしたようによ」
向こうの掃討も終わったのか、ニトがやってきて会話に割って入ってくる。
「も、もちろん否定するわけじゃない! 事実この町を守ってくれたことに感謝してるさ……でもあんな仮面を被った得体の知れない相手を信用しろって言われてもそう簡単には……」
「ならこれはどうだ?」
そう言ってダイスから貰ったカードを見せる。これはダイスから信用された証であり、それを託された人物と認識されれば少しは信用されるだろうと思った。しかしそれを見た者たちの反応は予想していたものとは違った。
俺が提示したカードを視認したのとほぼ同時にルディとペナを含めた全員がすぐにその場に跪く。
「え、なんで……?」
「お前、そのカードの意味を知らないのか?」
「これって魔王から信用された証なんじゃないのか?」
俺がそう聞くと唯一動じていないニトがクククと笑う。
「たしかに間違ってはいない……だがそんな単純な意味でもない。それはどれかの魔王から全てにおいて信頼され、同時に肉親と同意義となり得る。つまりそれを持ってるお前をバカにすれば、そのカードを託した魔王がバカにされたのと同じになり、お前が敵視した相手はその魔王の敵となる。それだけの代物なんだって説明されなかったのか?」
そこまでの説明はされなかったな……だから渡された時に下手な使い方をするなと強めに言われたわけか。
このカードを持ってる俺が変な行動を取れば、これを渡したダイスの悪評へと繋げてしまうと。
しかしダイスは「許可証」としか言わなかった。ニトが言ったようにそこまでちゃんと説明しなかったのは……多分わざとだな。
説明しない上で俺がどんな行動をするかや本当に信用できるかを見極めるために必要な説明を省いたのだろう。
「それこそ『信用されてた』んだろ」
「そうかぁ……?そういうもんなのか……」
「うーん」と首を捻るニト。そういやコイツも魔王だからカードを渡す側だったな。
「俺様だったらお前みたいな怪しい奴には絶対渡さないんだがな!」
うーん、立場があるとはいえコイツも中々失礼なこと言いやがるな……
「別にお前に信用しろってせがんでるわけじゃないからいいんだけどよ。でもこれがあるんだから多少怪しさがあっても勘弁してくれない?」
「それはまぁ……信用とかそういう以前にVIP待遇せにゃならんのだが、こっちは」
「魔王様をもてなすのと同義ですからね……本来ならニト様のお城の客間にご案内させていただいた上で食事などを出したりするのが最低限なのですが……」
ニトは嫌々という感じに、ルディが困った表情で説明に俺は首を横に振る。
「いや、やること終わったんなら俺帰るし。お前らにおもてなしされる暇あったら帰ってヴェルネに罵倒された方が有意義な時間になるわ」
「あなた、本当にヴェルネ様好き過ぎません?もはや何かしらの呪いにかけられてるんじゃなくて?」
「お前にだけは言われたくないな」
怪訝な疑うルディにそう言い返すとニトがケラケラと横で笑う。
なんだかなと思いつつ周囲を見渡す。あれ、ディールは?
アイツに色々見せてやりたいと思って連れて来たけど、結局放って置いてしまったことに遅れて気付いたのだが、その姿が見当たらない。
拗ねてどこかへ行ってしまったのだろうか?
「オオォォォォォォッ!」
そう考えているとどこからか大きな咆哮のような声が聞こえ、次の瞬間には俺たちの頭上を通り過ぎる。
ソレを見ると巨大な鳥のような奴が転がるように地面に落ちていた。
そしてその鳥を追いかけるようにディールが現れた。
鋭利な爪と歯を剥き出しにしている
「な、なんだアレは!?」
「魔物同士が潰し合ってる……?」
「あの人型は見たことないけど、あっちの鳥は不死鳥のエンカじゃないのか!?」
「エンカって……化け物じゃねえか!なんでこんなところに……もしかしてあのエンカがモンパレのボスなのか?」
「あんなのが暴れたらこの町の結界だって流石に……」
エンカと呼ばれる巨大な鳥を見た町の奴らが絶望する。
ディール……何やってんだアイツは?
町の方からルディの声が聞こえた気がした。
声のした方を見るとルディとペナ、そしてこの町の住人であろう人たちが唖然とした表情で立ち尽くしている姿があった。
俺はそんな彼女たちを見て大きく手を振って一歩踏み出す。するとべちゃっという水っぽい音が鳴り、気付けば自分が立ってる地面の至る所に血溜まりと肉会が転がっている。
「うわ、汚っ」
服や靴にも結構血が付いちゃってるし……簡単に汚れを落とせる魔法ってたしかあったよな?……調べてみるか。
スマホで調べながら血溜まりをジャンプして避け、ルディたちがいるところまで移動した。
「こっちは終わったぞ。もう魔物が見当たらないけど、モンパレはもう終わったのか?」
俺が近付くと恐怖からその場で尻餅を突いたりたじろいだりする者が見られた。この魔物の肉塊だらけの光景もあるだろうが、このホラーっぽい仮面を被ってるのもあるからか?どちらにしてもここにいる奴らを怖がらせちまったな。
「え、えぇ……この町の近くにはもう魔物は見当たらないですが……まさか一人で全部?」
「いや、向こう半分はニトが終わらせてるだろ。俺がやったのはもう囲んでた奴らのうちの半分だけだ」
「そういうことじゃ……あなたの底が見えない力は何となく感じていましたが、これだけの量の魔物をこの短時間で倒したというのですか?これを……人間がであるあなたが……?」
……そういえば魔族は魔力、獣人は肉体の強さって特徴があるけれど、人間の特徴って何なんだ?
「ま、実際に見た光景が全てであり事実だろ。俺様の町に住んでんなら否定するんじゃなく受け入れることもしろよ、俺様をそうしたようによ」
向こうの掃討も終わったのか、ニトがやってきて会話に割って入ってくる。
「も、もちろん否定するわけじゃない! 事実この町を守ってくれたことに感謝してるさ……でもあんな仮面を被った得体の知れない相手を信用しろって言われてもそう簡単には……」
「ならこれはどうだ?」
そう言ってダイスから貰ったカードを見せる。これはダイスから信用された証であり、それを託された人物と認識されれば少しは信用されるだろうと思った。しかしそれを見た者たちの反応は予想していたものとは違った。
俺が提示したカードを視認したのとほぼ同時にルディとペナを含めた全員がすぐにその場に跪く。
「え、なんで……?」
「お前、そのカードの意味を知らないのか?」
「これって魔王から信用された証なんじゃないのか?」
俺がそう聞くと唯一動じていないニトがクククと笑う。
「たしかに間違ってはいない……だがそんな単純な意味でもない。それはどれかの魔王から全てにおいて信頼され、同時に肉親と同意義となり得る。つまりそれを持ってるお前をバカにすれば、そのカードを託した魔王がバカにされたのと同じになり、お前が敵視した相手はその魔王の敵となる。それだけの代物なんだって説明されなかったのか?」
そこまでの説明はされなかったな……だから渡された時に下手な使い方をするなと強めに言われたわけか。
このカードを持ってる俺が変な行動を取れば、これを渡したダイスの悪評へと繋げてしまうと。
しかしダイスは「許可証」としか言わなかった。ニトが言ったようにそこまでちゃんと説明しなかったのは……多分わざとだな。
説明しない上で俺がどんな行動をするかや本当に信用できるかを見極めるために必要な説明を省いたのだろう。
「それこそ『信用されてた』んだろ」
「そうかぁ……?そういうもんなのか……」
「うーん」と首を捻るニト。そういやコイツも魔王だからカードを渡す側だったな。
「俺様だったらお前みたいな怪しい奴には絶対渡さないんだがな!」
うーん、立場があるとはいえコイツも中々失礼なこと言いやがるな……
「別にお前に信用しろってせがんでるわけじゃないからいいんだけどよ。でもこれがあるんだから多少怪しさがあっても勘弁してくれない?」
「それはまぁ……信用とかそういう以前にVIP待遇せにゃならんのだが、こっちは」
「魔王様をもてなすのと同義ですからね……本来ならニト様のお城の客間にご案内させていただいた上で食事などを出したりするのが最低限なのですが……」
ニトは嫌々という感じに、ルディが困った表情で説明に俺は首を横に振る。
「いや、やること終わったんなら俺帰るし。お前らにおもてなしされる暇あったら帰ってヴェルネに罵倒された方が有意義な時間になるわ」
「あなた、本当にヴェルネ様好き過ぎません?もはや何かしらの呪いにかけられてるんじゃなくて?」
「お前にだけは言われたくないな」
怪訝な疑うルディにそう言い返すとニトがケラケラと横で笑う。
なんだかなと思いつつ周囲を見渡す。あれ、ディールは?
アイツに色々見せてやりたいと思って連れて来たけど、結局放って置いてしまったことに遅れて気付いたのだが、その姿が見当たらない。
拗ねてどこかへ行ってしまったのだろうか?
「オオォォォォォォッ!」
そう考えているとどこからか大きな咆哮のような声が聞こえ、次の瞬間には俺たちの頭上を通り過ぎる。
ソレを見ると巨大な鳥のような奴が転がるように地面に落ちていた。
そしてその鳥を追いかけるようにディールが現れた。
鋭利な爪と歯を剥き出しにしている
「な、なんだアレは!?」
「魔物同士が潰し合ってる……?」
「あの人型は見たことないけど、あっちの鳥は不死鳥のエンカじゃないのか!?」
「エンカって……化け物じゃねえか!なんでこんなところに……もしかしてあのエンカがモンパレのボスなのか?」
「あんなのが暴れたらこの町の結界だって流石に……」
エンカと呼ばれる巨大な鳥を見た町の奴らが絶望する。
ディール……何やってんだアイツは?
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