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東京へ行った仔犬「クリス」
しおりを挟む「飼い主にネグレクトされて、繋ぎっぱなしでゴハンも水も貰えない仔犬を助けてもらえませんか?」
そんな相談がきたのは、2022年のこと。
仔犬は誰かがどこかで貰ってきて、1人暮らしの老人に押し付けたものだという。
おばぁは犬を飼うつもりなんてこれっぽっちもなくて、世話はせずに放置。
すぐに気付いた近所の人が可哀想に思って餌や水を与えてくれたから、仔犬は生き永らえていた。
「この犬いらないからアンタ貰っていけ」
おばぁは何度も言っていたという。
奇しくも同時期に、関東の犬ボラさんから小さめの犬なら引き取れるという話がきた。
仔犬は2022年1月生まれだそうで、相談がきた頃は生後半年くらい。
6月の時点で体重は6キロ、小さめ中型犬に育ちそうな子だった。
(東京で1歳になった頃の体重は11キロ)
仔犬の相談者さんにレスキューの旨を伝えて、ネグレクト飼い主に「飼育放棄証明書」を書かせて、仔犬は空輸まで我が家で預かり開始。
仔犬の医療費も空輸代も、全て受け入れ先の団体が負担してくれた。
我が家に来た仔犬に付けた仮名は「クリス」。
相談者さんが「クリちゃん」と呼んでいたのを、少しカッコよく(?)してみた感じ。
その仮名は受け入れ先の犬ボラさんに引き継がれ、関東へ行ってからもクリスの名で紹介されていた。
ネグレクトという過酷な体験をしたけれど、クリスはニコニコとよく笑う可愛い子だった。
我が家の愛犬たちと同じ犬舎で仲良く暮らせる社交的な性格。
知らない場所では少し尻込みするけれど、ドッグランではすぐに慣れて走り回っていた。
人懐っこくて、呼んでも呼ばなくても寄ってきて甘える。
うちの子にしてもいいかも~って思うくらい、魅力的な仔犬クリス。
島内の譲渡会には1回参加させたけれど、残念ながらお声はかからなかった。
クリスは2022年7月17日、石垣島から旅立った。
旅立ちの日、相談者さんもクリスを見送りに来てくれた。
クリスは「一体これからなにをされるの?」と終始フリーズ。
石垣空港で旅立ち前の記念撮影をしたときは、いつもの笑顔は見られなかった。
知らない場所に知らないことばかりで、怖かったのかもしれない。
羽田空港に着いたときの画像も見せてもらったら、なんだか悲壮な顔になっていた。
クリスは受け入れ先の生活にすぐ慣れて、ワンパク坊やになったらしい。
関東でしばらく募集を続けた後、2023年3月5日、里親さんが決まり保護犬生活を卒業。
現在は新しい家族のもとで暮らしている。
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