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うっかり来た猫「ハチベエ」
しおりを挟むちょっと目つきの悪い黒白ハチワレ男子「ハチベエ」。
彼はもともと別の場所でゴハンを食べていた猫だった。
前エピソードのキジトラたちがいた別荘。
ハチベエは、そこに居着いた猫。
しかしどういうわけか、我が家の庭にやってきた。
うっかり来ちゃったハチベエは、そのまま庭に居着いてしまった。
実は別荘から我が家に来る猫は他にも複数あり、もしかして「にゃんこネットワーク」で情報が流れてるんじゃないかと思う今日この頃。
こちらとしては、自宅にみんな来てくれるんなら車で別荘まで行かずに済むからいいんだけど。
スリゴロのキジトラはともかく、懐いてない猫まで来るのはどういうことなのか?
ハチベエも全然懐いてない猫。
目が合っただけで「シャーッ!」と言う。
そんなに嫌いなら、なんでうちに来るんだ?
ゴハンなら別荘で待ってればもらえるよ?
ハチベエは前エピソードの「コー」と仲良くなった。
親子でも兄弟でもないけれど、いつも寄り添っている。
オスの成猫同士が遭遇したらナワバリ意識が出てケンカになりそうだけど。
去勢するとオスっ気が無くなり、ケンカが減るらしい。
ハチベエとコーは互いに頭をすり寄せあったり、毛づくろいしたり、くっついて寝ていたりする。
優しい世界がうちの庭で展開されているのを、近所の人が見てカップルと間違えていた。
オホモダチということにしておこうか。
そんな仲良しの2匹だけど、ゴハンの時は違う。
というかハチベエだけが違う。
我が家では1匹1匹小皿に入れてゴハンをあげるのだけど、ハチベエだけが全ての皿に1回ずつ顔を突っ込む。
離して並べても、置く皿、置く皿、追いかけてきて顔を突っ込む。
普段は近付くのを嫌ってシャーッと言うくせに、ゴハンのときはまるでストーカーのようだ。
1ヶ所で落ち着いて食え!
コーはといえば、がっつくハチベエを軽く引きながら眺めている。
2024年2月。
我が家の庭にマンゴーの花咲く頃、ハチベエは命を終えた。
10日ほど姿を消し、我が家にも別荘にもゴハンを食べに来なくて、どうしたんだろう? と思っていたら、月桃の茂みの中で息絶えていた。
いなくなる前日までゴハンをしっかり食べていたので、多分交通事故だろう。
ハチベエは高齢っぽい猫で年齢不明、餌やり期間は2年ほど。
2024年のマンゴーは、軽く50個を超える豊作となった。
庭で永眠したハチベエが、ゴハンのお礼をしたんだろうと近所の人が言う。
お礼はありがたく頂いたけれど、もう少し長生きしてくれてもいいのに。
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