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第5章:黒髪の少女

第52話:探知魔法と精神魔法

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「王様、お城に図書館みたいなものはある?」
「書庫だニャ。魔法関係ならこの練習場の隣の建物にあるニャン」
「本を借りに行ってもいい?」
「もちろんニャ」

魔法練習を終えた後、エカは王様にお願いした。
ソナの辛い記憶は、まだ全てが消えたわけじゃない。
昨夜の出来事を警戒して、エカはソナを護る魔法を探しに行った。

「来ると思ってたよ」

書庫ではジャミ様が待っていた。

「どれ、ばぁばがこんな時に役立つ魔法を伝授してあげようかね」

そう言うと、ジャミ様は本棚がある方へ手をかざした。

探知シェルシェ

起動言語キーワードで発動したのは、探し物を見つける初歩の魔法。
手から白い光が伸びて、求める物がある場所まで導いてくれる。

ジャミ様は光が示す方へ歩いてゆくと、本棚から1冊の魔法書を取り出して戻って来た。

「今の魔法はこの本に載ってるよ。他にも罠探知、毒探知、敵探知もあるから、2人で一緒に覚えておきな」
「「はい」」

エカと揃って答えたソナは、早速見た魔法を再現し始める。

「わたし、侍女さんたちが使ってた魔法も覚えたい……探知シェルシェ

ソナの手から光の筋が伸びる。
それを辿って、ソナは求める魔法書を見つけた。

【制作魔法の基礎と応用】

そんなタイトルが書いてある魔法書には、侍女さんたちが使っていた衣服を作る魔法も載ってる。

「ばぁば、これ借りてもいい?」
「ああいいよ。いろんな物が作れるように勉強しな」

ソナが聞いたら、ジャミ様は快諾してくれた。


ソナが持つ魔法理解マジコンプリのギフトは、実はエカも持ってる。
ジャミ様が使ってみせた魔法は、エカもすぐ使えるようになった。


探知シェルシェ

見つけたい物を思い浮かべて、エカが起動言語キーワードを言う。
エカは手から伸びた白い光を辿り、1冊の本を棚から取り出した。

【精神魔法の基礎と応用】

そんなタイトルの本の内容は、召喚獣が使う念話と同じ、声を出さずに意志を伝える魔法を基本に、相手の精神に干渉する魔法が多かった。
その中の1つが、まさにエカが求める魔法だ。

「この本、お借りします」
「いいよ、持って行きな」

ジャミ様の許可を得て、エカは本を持ち帰った。

エカが求めるのは、夢や記憶に干渉する魔法だ。
昨夜ボクがしたように、ソナの悪夢に入って助けたいと考えているみたいだよ。
ボクの場合は、ソナが死亡または仮死状態の時のみ干渉出来る。
つまり、昨夜みたいに心臓が止まってからしか助けられない。
エカは、そうなる前にソナを助けたいんだ。


その日の夜も、エカとソナは寄り添ってベッドに入った。
昨夜はソナが懇願しての添い寝だったけど、今夜はエカからの添い寝希望だ。

「ソナが怖い夢を見たらすぐ助けられるように、傍にいるよ」
「ありがとう。エカ、大好き」

エカに腕枕してもらったソナは、安心して眠りに落ちる。
その額に口元を寄せて、エカは魔法を発動した。

癒しの夢ソワンレーヴ

音声ではなく、念話で言う起動言語キーワード

エカは、ソナが見始めた夢に自らの魔力を染み込ませた。
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