【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください

むとうみつき

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二年生 前期

6 眠りの魔道具

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ー 闇魔法って、勿体ないよな

ー 何の話し?

ー 今読んでるライトノベルの話し
闇魔法って洗脳とか魅了とか、危ない技ばっかりだから、使える人間が危険視されてるんだ

ー …へ~

ー 俺がこの世界に転生したら、カッコいい闇魔法の技を開発して、闇魔法を見直させてやるのにな!

ー ふ~ん

ー 闇の力で重力を生んでブラックホールを作るとか!闇の力を凝縮させて爆破させるとか!

ー ………厨二ですか?



闇魔法でブラックホールは作れなかった。
重力を生むことも爆発させることも出来なかった。

でも、違う可能性を見つけた。

この世界、体の怪我や病気を治す方法は沢山ある。
錬金術師や薬師が作る薬を使って治したり、神殿による光魔法の回復や治癒で治したり。
聖魔法に至っては体の欠損を再生させることも出来る。

でも、心の怪我や病気を治す方法はあまりない。
一番効果があるとされているのは、闇の神に祈ること。

「皆様、ここで創生神話を思い出して頂きたいのです。闇魔法は闇の神のお力です。では、闇の神は何を司っておいででしょうか?」

「安寧と癒しだね」

エルダー様がそう言って、私を見てニッコリ笑う。
答えは正解だけど、こんな時まで愛想振りまくの止めてもらえないかな。

「その通りです。闇の神は夜の帳に人々を包み、安寧な眠りに誘い、月の光で癒す神です。
闇の神のお力である闇魔法でも同じことが出来るのではないか、寧ろ、本来の闇魔法は安寧と癒しを与えるものなのではないかと考えたのです」

教室内が大きく騒めく。
私の話しに賛同する声と、懐疑的な声。
ユラン様が手を上げる。

「闇の神のお力を考えると、確かに君の言うことは一理あります。しかし、闇魔法を使うには国王陛下の許可が必要です。癒しの魔術とはいえ闇魔法である以上、簡単に使う訳にはいかないでしょう」

ここでファロット先生が壇上に上がって言った。

「マクウェンさんは学園入学後すぐに、この闇魔法の新たな可能性について話してくれました。
学園内でも闇魔法の使用には制限がありますので、学園長から魔術師団に相談し、すでに国王陛下から許可を頂いています。
この闇魔法の研究については、魔術師団との共同研究という形で、学園でも行わせてもらえることになりました」

ファロット先生に続いて私からも話す。

「この一年、先生方のご指導ご協力のもと、癒しの魔術はかなり形になってきました。ですがまだ検証が足りていません。貴重な授業時間を使わせて頂きこのお話しをしたのは、皆様にご協力をお願いしたいからです」

そう、つまり臨床試験。

「癒しの魔術を直接人に使うことも研究していますが、皆様にご協力頂きたいのは癒しの魔術を使った魔道具です。
心配事や不安があると、夜なかなか眠りにつけなくて辛い思いをしたことのある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
今回、魔道具学の先生にご協力頂き、眠りに導くための魔道具を作製しました。
癒しの魔術で心を落ち着かせ、緩やかに体内の温度を下げることで眠りにつきやすくする効果があります」

私はブローチくらいの大きさの魔道具を、みんなに見えるように持ち上げる。

闇の神の象徴である月のモチーフに魔術式を組み込み、埋め込んだ小さな魔石に魔力を入れると起動するようになっている。

「効果は三十分です。安全面を考えて、どんなに魔力を入れても連続で三十分以上の使用は出来ないようになっています。協力者になって頂く方には、入眠時間や起床時間、魔道具の使用感などのレポートをお願いするようになります」

そこまで言って教室内を見廻す。
みんな目を合わせない。
闇魔法に対する不安が拭えないのか、実験台になるのがイヤなのか…。
このままじゃ協力者が集まらないかもしれない。

教室内の微妙な空気に、どうしようかと考えていたら、ファロット先生が助け舟を出してくれた。

「皆さんにお願いする前に、教師陣で試して安全性は確認しています。今のところ問題は起きていませんし、寧ろ研究漬けで生活リズムが崩れていた先生には、夜眠れるようになったと好評です。
…オーガスト先生とか」

教室内が笑いに包まれる。
オーガスト先生は、今回魔道具作製に協力してくれた魔道具学の先生で、研究ばかりしているので髪はボサボサ伸び放題、目の下のクマはデフォルトで、いつも眠そうにしている。

「皆さんにも少し考える時間が必要でしょう。何しろ未知の魔術なのですから。
マクウェンさんの闇魔法の研究は、学園としても非常に期待しています。なるべく多くの方に協力してもらいたいと考えていますが、被験者として協力するなら多少の覚悟も必要です」

うんうんと頷く生徒達。

おお!凄い!
ファロット先生、ありがとうございます!

「私の研究に協力して頂ける方は、ファロット先生の研究室にいらしてください。詳しい説明の上、魔道具をお渡しします」

ファロット先生を見ると、ニッコリ笑ってくれた。

良かった。
取り敢えず、言わなきゃいけないことは言い切った。

「皆様、本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。ファロット先生も、ありがとうございます。ご協力頂ける方をお待ちしています。どうぞよろしくお願いします」

頭を下げて壇上を降りたところで、終業の鐘が鳴る。

協力者、集まってくれるかな?
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