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極道の姐
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「へえ……こいつはすげえ! さすがに香港一ってだけはあるな。とんでもねえ金額貯め込んでやがる……! 周焔が掻っ払ってくれた俺の金にたっぷりと利子を付けて返してもらえそうだ!」
ニヤニヤとしながら操作を続けるフリをする。
すると、画面には僚一からのメッセージが飛び込んできて、冰はハッと瞳を見開いた。
冰、よく聞け。
俺は今、お前のいる部屋の天井裏にいる。
金を移す操作を終えたら、適当に恨み言を並べて風、焔の順に銃をぶっ放せ。
着弾と同時にヤツらの縄が切れるように俺が上から狙撃する。
撃つタイミングはお前に任せる。
冰はチラりと天井を見やると、そのまま周兄弟にも『上だ』というように視線を動かした。
そして、しばらくの後、無事に金を移し終えたことを知らしめる為に、ロンと静雨に向かって歓喜の言葉を投げ掛けた。
「は! やったな、大成功だ! アンタらのお陰で金はこの通り無事に戻ったぜ!」
それを聞いて、ロンも静雨も瞳を輝かせる。
「やりましたね、兄貴!」
「おめでとう! すごいわ!」
「これもすべてアンタらのお陰だ! 約束通り礼は弾ませてもらうぜ!」
二人を喜ばせた後で、冰は兄弟に向かって再び銃口を向けた。
「さて……と! 金も無事に戻ったことだし、アンタらには消えてもらうとするか。なぁに、そう簡単には殺りゃしねえよ。まずは片腕からもらおうか? 次に脚、その次にはドテっ腹に一発。せいぜい苦しんで逝くがいいさ!」
上からは僚一が縄を吹っ飛ばすべく狙ってくれている。冰は兄弟を一撃で殺すことはしないとロンらに念押しすべく、わざと腕、脚の順に撃つことを強調した。
着弾と共に血糊が噴き出し、縄が解ければこっちのものだ。部屋にはロンと静雨しか敵はいない。張とボスの男らはさすがに扉の外で待機させられていたものの、兄弟に自由が戻ればロンらを取り押さえるのは可能だろう。ましてや天井裏には僚一が控えているのである。即刻飛び降りてきて拘束してくれるだろう。
冰は兄弟に目配せをすると、マグナムを構えてまずは風へと向けた。
「年功序列だ。お兄様、アンタにゃ恨みはねえが覚悟してもらおう」
言うと同時に狙いを定めて、天井の僚一にタイミングを知らせると、冰は思い切って引き金を引いた。
凄まじい発砲音と共に風を簀巻きにしていた縄が外れ、腕の周囲に血飛沫が飛び散る。冰の発射と同時に僚一が天井裏からの狙撃で縄を吹っ飛ばしたのだ。
風は床へと転げ落ち、ひとまずは激痛に悶え転がるフリをしてみせる。それを見届けると、間髪入れずに今度は周に向かって発砲した。
「キャアーーーッ……! やめて……ッ! やめてーーー! 焔を撃たないでッ!」
脅しではなく本当に風を撃ったことでさすがに驚いたのだろう。静雨が狂気のような悲鳴を上げて床へとしゃがみ込んでしまった。とっさに『焔を撃たないで』と叫んだところをみると、本心ではまだ周に対する想いが残っていたのかも知れない。
ニヤニヤとしながら操作を続けるフリをする。
すると、画面には僚一からのメッセージが飛び込んできて、冰はハッと瞳を見開いた。
冰、よく聞け。
俺は今、お前のいる部屋の天井裏にいる。
金を移す操作を終えたら、適当に恨み言を並べて風、焔の順に銃をぶっ放せ。
着弾と同時にヤツらの縄が切れるように俺が上から狙撃する。
撃つタイミングはお前に任せる。
冰はチラりと天井を見やると、そのまま周兄弟にも『上だ』というように視線を動かした。
そして、しばらくの後、無事に金を移し終えたことを知らしめる為に、ロンと静雨に向かって歓喜の言葉を投げ掛けた。
「は! やったな、大成功だ! アンタらのお陰で金はこの通り無事に戻ったぜ!」
それを聞いて、ロンも静雨も瞳を輝かせる。
「やりましたね、兄貴!」
「おめでとう! すごいわ!」
「これもすべてアンタらのお陰だ! 約束通り礼は弾ませてもらうぜ!」
二人を喜ばせた後で、冰は兄弟に向かって再び銃口を向けた。
「さて……と! 金も無事に戻ったことだし、アンタらには消えてもらうとするか。なぁに、そう簡単には殺りゃしねえよ。まずは片腕からもらおうか? 次に脚、その次にはドテっ腹に一発。せいぜい苦しんで逝くがいいさ!」
上からは僚一が縄を吹っ飛ばすべく狙ってくれている。冰は兄弟を一撃で殺すことはしないとロンらに念押しすべく、わざと腕、脚の順に撃つことを強調した。
着弾と共に血糊が噴き出し、縄が解ければこっちのものだ。部屋にはロンと静雨しか敵はいない。張とボスの男らはさすがに扉の外で待機させられていたものの、兄弟に自由が戻ればロンらを取り押さえるのは可能だろう。ましてや天井裏には僚一が控えているのである。即刻飛び降りてきて拘束してくれるだろう。
冰は兄弟に目配せをすると、マグナムを構えてまずは風へと向けた。
「年功序列だ。お兄様、アンタにゃ恨みはねえが覚悟してもらおう」
言うと同時に狙いを定めて、天井の僚一にタイミングを知らせると、冰は思い切って引き金を引いた。
凄まじい発砲音と共に風を簀巻きにしていた縄が外れ、腕の周囲に血飛沫が飛び散る。冰の発射と同時に僚一が天井裏からの狙撃で縄を吹っ飛ばしたのだ。
風は床へと転げ落ち、ひとまずは激痛に悶え転がるフリをしてみせる。それを見届けると、間髪入れずに今度は周に向かって発砲した。
「キャアーーーッ……! やめて……ッ! やめてーーー! 焔を撃たないでッ!」
脅しではなく本当に風を撃ったことでさすがに驚いたのだろう。静雨が狂気のような悲鳴を上げて床へとしゃがみ込んでしまった。とっさに『焔を撃たないで』と叫んだところをみると、本心ではまだ周に対する想いが残っていたのかも知れない。
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