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極道の姐
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一方、ロンもまさか本当にマグナムをぶっ放すとは思っていなかったのだろう。真っ青になりながら、それでも情けない姿は見せたくないのか、懸命にひきつった笑顔を見せながら震えている。
そんな二人を捕らえるのは容易いことだ。すかさず周兄弟が起き上がって二人を拘束し、床へとねじ伏せた。と同時に天井から飛び降りてきた僚一がロンと静雨の意識を刈り取って気絶させる。
周兄弟は長時間ずっと食事も与えられずに簀巻きにされていたわけである。なんとか拘束には成功したものの、さすがに意識を刈り取るまでは骨が折れると踏んでの僚一の配慮だった。
「よし! 冰、よくやった」
僚一が笑顔をみせると、冰の方は緊張の糸が切れたのか、ヘナヘナと側にあったソファに崩れ込んでしまった。そんな彼の元へと駆け寄り、周が思い切り抱き締める。
「冰! 冰、よくやってくれた! 心配掛けてすまなかったな」
「白……白龍……! 白龍……!」
冰の瞳は無意識にあふれ出た涙でいっぱいになっていた。ギュッと愛しい胸板にしがみつき、声を上げて号泣する。
「白龍……! 白龍! よかった! 本当に無事で良かった……!」
「ああ、ああ。お前のお陰だ。ありがとうな、冰……!」
冰はもう感極まって言葉にならないのだろう。救出の為の演技とはいえ、この世で一等愛する周に銃口を向けてしまったことも、彼にとってはこの上なく心痛むことだったに違いない。
「ごめ……ッ、ごめんね白龍……! 俺、俺……」
言葉にせずともその思いは充分過ぎるほど周には伝わっていた。
「冰、冰! お前には感謝しかねえ! 本当によく頑張ってくれた。こんな状況だがお前との掛け合いが本当に楽しかったぜ」
周は持てる愛情をすべてというくらいに強く強く冰を抱き締めながらそう言った。
「お、お兄様にも……失礼なことを……俺、本当にすみませんッ!」
抱き締められて少し我を取り戻したのか、兄の風にも必死に謝罪を口にする。
「とんでもねえ! お前が助けに来てくれなかったら、今頃はどうなっていたか! 冰、俺も心から礼を言うぞ! お前の芝居も見事だった。俺も焔同様、お前との掛け合いを存分に楽しませてもらったぞ!」
「お兄様……!」
風と周の二人に抱き締められて、冰はますます涙がとめられずにいた。
と、その時だ。階下のロビーから何やらザワザワとした騒音が聞こえてきたのに耳を済ませば、どうやら風にとっては聞き慣れた声の人物のようである。『えいやー!』という凛々しい声と共に、男たちが『ぐわッ!』と床に突っ伏すような鈍音が立て続けに響く。体術で倒したと思われる。
「まさか……あいつ……」
風が廊下へ駆け出ると、ロビーから吹き抜けの階段を駆け上がってくる妻の姿が瞳に飛び込んできて驚かされる羽目となった。
「黒龍! 黒龍ー! 何処ッ!?」
見れば、拳法の技で見張りの男たち数人をなぎ倒した妻の高美紅がスカートを捲し上げて駆け上がってくるのが分かった。
そんな二人を捕らえるのは容易いことだ。すかさず周兄弟が起き上がって二人を拘束し、床へとねじ伏せた。と同時に天井から飛び降りてきた僚一がロンと静雨の意識を刈り取って気絶させる。
周兄弟は長時間ずっと食事も与えられずに簀巻きにされていたわけである。なんとか拘束には成功したものの、さすがに意識を刈り取るまでは骨が折れると踏んでの僚一の配慮だった。
「よし! 冰、よくやった」
僚一が笑顔をみせると、冰の方は緊張の糸が切れたのか、ヘナヘナと側にあったソファに崩れ込んでしまった。そんな彼の元へと駆け寄り、周が思い切り抱き締める。
「冰! 冰、よくやってくれた! 心配掛けてすまなかったな」
「白……白龍……! 白龍……!」
冰の瞳は無意識にあふれ出た涙でいっぱいになっていた。ギュッと愛しい胸板にしがみつき、声を上げて号泣する。
「白龍……! 白龍! よかった! 本当に無事で良かった……!」
「ああ、ああ。お前のお陰だ。ありがとうな、冰……!」
冰はもう感極まって言葉にならないのだろう。救出の為の演技とはいえ、この世で一等愛する周に銃口を向けてしまったことも、彼にとってはこの上なく心痛むことだったに違いない。
「ごめ……ッ、ごめんね白龍……! 俺、俺……」
言葉にせずともその思いは充分過ぎるほど周には伝わっていた。
「冰、冰! お前には感謝しかねえ! 本当によく頑張ってくれた。こんな状況だがお前との掛け合いが本当に楽しかったぜ」
周は持てる愛情をすべてというくらいに強く強く冰を抱き締めながらそう言った。
「お、お兄様にも……失礼なことを……俺、本当にすみませんッ!」
抱き締められて少し我を取り戻したのか、兄の風にも必死に謝罪を口にする。
「とんでもねえ! お前が助けに来てくれなかったら、今頃はどうなっていたか! 冰、俺も心から礼を言うぞ! お前の芝居も見事だった。俺も焔同様、お前との掛け合いを存分に楽しませてもらったぞ!」
「お兄様……!」
風と周の二人に抱き締められて、冰はますます涙がとめられずにいた。
と、その時だ。階下のロビーから何やらザワザワとした騒音が聞こえてきたのに耳を済ませば、どうやら風にとっては聞き慣れた声の人物のようである。『えいやー!』という凛々しい声と共に、男たちが『ぐわッ!』と床に突っ伏すような鈍音が立て続けに響く。体術で倒したと思われる。
「まさか……あいつ……」
風が廊下へ駆け出ると、ロビーから吹き抜けの階段を駆け上がってくる妻の姿が瞳に飛び込んできて驚かされる羽目となった。
「黒龍! 黒龍ー! 何処ッ!?」
見れば、拳法の技で見張りの男たち数人をなぎ倒した妻の高美紅がスカートを捲し上げて駆け上がってくるのが分かった。
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