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復讐の旅、開始!
29.悪魔の国の代理国王
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気が付けばあっという間に悪魔の国の奥まで来た。移動して、たまに戦って、眠る。それだけ。
悪魔の国の城まで…グルーの実家(?)までもうすぐだ。
城下町を堂々と歩くわけにはいかないと、グルーの案内で遠回りをしてとうとう城に到着した。
「現王の弟に連絡しているので、裏口からすぐに入れます。……ヤト、これから少し、貴方の知る『グルー』はいなくなりますが、どうか驚かないでくださいね」
……どういうことだ?
意味深な言葉を放ってメガネを外したグルー。そのまま一度も俺やヴィンスの方を向かずに大きな裏口に向かった。
表門じゃないと信じられない大きな裏門の前にいる二人の悪魔。槍を持ち、角、羽根、尾までもを綺麗に正した姿勢の門番。
「…グルージア・ラージアが帰還した。門を開けよ」
「「はっ!」」
ラージア?それがグルーの家名?
コソッとヴィンスが説明をしてくれた。『ラージア』は王族の直系の証で、国王や王位継承者は名前の最後に『ジア』が後から付け加えられるらしい。つまり、グルーは後からグルージアという名前になったということだ。
「どうした二人とも。中に入るぞ」
「あ、あぁ……」
言葉が、声が冷たい。これが悪魔の王……。
グルーの後をついて城の中に入った。中にいる人はみんなそれぞれ人間とは違う特徴を持っている。角であったり耳の形であったり四肢であったり……。逆にそういった特徴が無いのは俺とグルーだけだ。でもグルーは姿を偽っている可能性がある。
周りの人はグルーに気付くと深々と頭を下げている。すれ違いざまに挨拶をするのとは訳が違う。その対応からグルーが王様なのだと再度実感する。
部屋に案内され、ヴィンスと並んでソファーに座った。黒い大理石に囲まれた真っ黒な部屋。見渡す限り石材の家具と光沢のある布が使われた家具で揃えられている。
「しばらくここで待っていろ」
「分かった……」
重たい扉の閉まる音と共に、俺はやっと呼吸を思い出したかのように息継ぎをした。冷たい目に冷たい声。怖いよりも悲しく感じるのは、きっとあの目と声が俺に『嫌いだ』と告げているように感じるから。
「ヤト、大丈夫か?」
「あ、あぁ…少し驚いただけ……だぁッ!?ちょ、ヴィンスどうした!?」
呼吸を整えてから心配してくれたヴィンスの方を見ると、顔を真っ青にして耳と尾を丸めてガタガタと震えていた。部屋に来るまでは堂々としてただろ…。相当頑張ってたのか?
「マジムリ。王様モードのアイツはマジでムリ」
あぁ、相当頑張ってたんだな。よく見ると涙目になってる。
……俺が思ってるより、ヴィンスはグルーのことが本当に怖いんだな。
グルーが俺達が怖がらないように配慮してたのか、王という立場であった以上恐ろしく振る舞わなければいけないのか、そこまでは分からないけど……本人の言った通り俺の知る『グルー』では無い事は確かだ。
涙目で震えるヴィンスの頭をそっと抱き寄せて抱きしめた。
「おい、なんのつもりだ」
「……ヴィンスは体温が高いから、暖をとるのに丁度いい」
「オレは暖房か」
……それからは二人とも何も言わなかった。ヴィンスはグルーに感じた本能的な恐怖で、俺はグルーを失うかもしれない恐怖で何も言えなかった。ただ、俺達二人共、心臓の音がとにかくうるさく鳴っていた。
「ヤト、お前体温低いな」
「あ、悪い、冷たかったか?」
「あぁ。だが頭が冷えて落ち着く」
俺も、ヴィンスの体温が高くて温かくて落ち着く。
しばらく身を寄せ合っていると、ノックの音が聞こえてきた、その音でハッと我に帰る。俺…なんか恥ずかしい事してなかったか?
「失礼します」
柔らかい男の声が聞こえ、部屋に入ってきたのは……目の色が赤じゃなくて黒だという違いしかない、グルーと瓜二つの男だった。
「おや…グルージアは不在ですか?」
「あ、あの………どちら様?」
「あぁ、申し遅れました。私の名はユーリ、グルージア陛下の弟で代理の国王をしています」
ん………?今の悪魔の国の王…とは違うのか?グルーは退位してると言った。でもグルーは『陛下』と呼ばれ、弟のユーリは『代理』を名乗った。確かに名乗る時に『ユーリジア』とは言わなかったし、本当に王様じゃ無いようだ。
どういう事だ?グルーはまだ王様なのか?
頭がこんがらがって目が回ってると、ヴィンスが話を進めた。グルーと同じ顔でも目の色と声は違うからそこまで怖くないのだろうか。
「あー、ユーリ王弟殿下…と呼ぶべきか?オレは獣人の国の王ヴィンセントだ。グルージアからは王位を退いたと聞いているが…この国の現国王は誰だ?」
「兄様が退位…?ふっ、あははっ!まだあの人はそんな事を言っているのですか?」
な、思ってたより精神的に幼い?グルーとは全く違う、幼い無邪気さを感じる。でもなんでだろう…胸騒ぎがする。グルー以上に『何か』に恐怖を感じるのはなんでだ?
「グルージア兄様は『魔王の器』ですよ?退位なんて出来るわけ無いじゃ無いですか」
「魔王の器?」
「はい、簡単に説明すると、産まれた時から王になる事を定められる能力を持った人のことです。王家の人たちのほとんどは人間に近い姿を持っています。ですが、魔王の器はもうひとつ…魔王としての姿も持っているのです」
その話を聞いた瞬間ヴィンスはまた怯え始めた。もしかして…見たことあるのか?
「ふふっ、ヴィンセント陛下は兄様と会った事があるのですよね?その時は魔王の姿だったのではありませんか?」
「……思い出したくも無ぇよ…………」
全く想像出来ないけど、とにかく怖いってことは原型も残らないほどの異形だったとか?まぁ、聞いたところで直接見ないとイメージは出来ないか。
「って、兄様と話し合いの約束をしてるんでした!もしかして…入れ違いになったのでしょうか。では私はこれで」
にっこりと笑ったユーリは部屋を出た。
グルーは結局王様なのか辞めたのかも定かじゃなくなってきたな。そして新しく知った『魔王の器』の存在。そう言えばリットがグルーを見た時に「以前と姿が違う」とか言ってたっけ。
…ん?ってことは待てよ?ヴィンスもリットもグルーの姿が違っていても気付いたってことは、そこまで大きく違いがあるわけじゃ無い?
あーもう!グルーは本当に隠し事が多すぎる!俺のことを協力者だと思ってるならそれくらい教えてくれたっていいだろ!
悪魔の国の城まで…グルーの実家(?)までもうすぐだ。
城下町を堂々と歩くわけにはいかないと、グルーの案内で遠回りをしてとうとう城に到着した。
「現王の弟に連絡しているので、裏口からすぐに入れます。……ヤト、これから少し、貴方の知る『グルー』はいなくなりますが、どうか驚かないでくださいね」
……どういうことだ?
意味深な言葉を放ってメガネを外したグルー。そのまま一度も俺やヴィンスの方を向かずに大きな裏口に向かった。
表門じゃないと信じられない大きな裏門の前にいる二人の悪魔。槍を持ち、角、羽根、尾までもを綺麗に正した姿勢の門番。
「…グルージア・ラージアが帰還した。門を開けよ」
「「はっ!」」
ラージア?それがグルーの家名?
コソッとヴィンスが説明をしてくれた。『ラージア』は王族の直系の証で、国王や王位継承者は名前の最後に『ジア』が後から付け加えられるらしい。つまり、グルーは後からグルージアという名前になったということだ。
「どうした二人とも。中に入るぞ」
「あ、あぁ……」
言葉が、声が冷たい。これが悪魔の王……。
グルーの後をついて城の中に入った。中にいる人はみんなそれぞれ人間とは違う特徴を持っている。角であったり耳の形であったり四肢であったり……。逆にそういった特徴が無いのは俺とグルーだけだ。でもグルーは姿を偽っている可能性がある。
周りの人はグルーに気付くと深々と頭を下げている。すれ違いざまに挨拶をするのとは訳が違う。その対応からグルーが王様なのだと再度実感する。
部屋に案内され、ヴィンスと並んでソファーに座った。黒い大理石に囲まれた真っ黒な部屋。見渡す限り石材の家具と光沢のある布が使われた家具で揃えられている。
「しばらくここで待っていろ」
「分かった……」
重たい扉の閉まる音と共に、俺はやっと呼吸を思い出したかのように息継ぎをした。冷たい目に冷たい声。怖いよりも悲しく感じるのは、きっとあの目と声が俺に『嫌いだ』と告げているように感じるから。
「ヤト、大丈夫か?」
「あ、あぁ…少し驚いただけ……だぁッ!?ちょ、ヴィンスどうした!?」
呼吸を整えてから心配してくれたヴィンスの方を見ると、顔を真っ青にして耳と尾を丸めてガタガタと震えていた。部屋に来るまでは堂々としてただろ…。相当頑張ってたのか?
「マジムリ。王様モードのアイツはマジでムリ」
あぁ、相当頑張ってたんだな。よく見ると涙目になってる。
……俺が思ってるより、ヴィンスはグルーのことが本当に怖いんだな。
グルーが俺達が怖がらないように配慮してたのか、王という立場であった以上恐ろしく振る舞わなければいけないのか、そこまでは分からないけど……本人の言った通り俺の知る『グルー』では無い事は確かだ。
涙目で震えるヴィンスの頭をそっと抱き寄せて抱きしめた。
「おい、なんのつもりだ」
「……ヴィンスは体温が高いから、暖をとるのに丁度いい」
「オレは暖房か」
……それからは二人とも何も言わなかった。ヴィンスはグルーに感じた本能的な恐怖で、俺はグルーを失うかもしれない恐怖で何も言えなかった。ただ、俺達二人共、心臓の音がとにかくうるさく鳴っていた。
「ヤト、お前体温低いな」
「あ、悪い、冷たかったか?」
「あぁ。だが頭が冷えて落ち着く」
俺も、ヴィンスの体温が高くて温かくて落ち着く。
しばらく身を寄せ合っていると、ノックの音が聞こえてきた、その音でハッと我に帰る。俺…なんか恥ずかしい事してなかったか?
「失礼します」
柔らかい男の声が聞こえ、部屋に入ってきたのは……目の色が赤じゃなくて黒だという違いしかない、グルーと瓜二つの男だった。
「おや…グルージアは不在ですか?」
「あ、あの………どちら様?」
「あぁ、申し遅れました。私の名はユーリ、グルージア陛下の弟で代理の国王をしています」
ん………?今の悪魔の国の王…とは違うのか?グルーは退位してると言った。でもグルーは『陛下』と呼ばれ、弟のユーリは『代理』を名乗った。確かに名乗る時に『ユーリジア』とは言わなかったし、本当に王様じゃ無いようだ。
どういう事だ?グルーはまだ王様なのか?
頭がこんがらがって目が回ってると、ヴィンスが話を進めた。グルーと同じ顔でも目の色と声は違うからそこまで怖くないのだろうか。
「あー、ユーリ王弟殿下…と呼ぶべきか?オレは獣人の国の王ヴィンセントだ。グルージアからは王位を退いたと聞いているが…この国の現国王は誰だ?」
「兄様が退位…?ふっ、あははっ!まだあの人はそんな事を言っているのですか?」
な、思ってたより精神的に幼い?グルーとは全く違う、幼い無邪気さを感じる。でもなんでだろう…胸騒ぎがする。グルー以上に『何か』に恐怖を感じるのはなんでだ?
「グルージア兄様は『魔王の器』ですよ?退位なんて出来るわけ無いじゃ無いですか」
「魔王の器?」
「はい、簡単に説明すると、産まれた時から王になる事を定められる能力を持った人のことです。王家の人たちのほとんどは人間に近い姿を持っています。ですが、魔王の器はもうひとつ…魔王としての姿も持っているのです」
その話を聞いた瞬間ヴィンスはまた怯え始めた。もしかして…見たことあるのか?
「ふふっ、ヴィンセント陛下は兄様と会った事があるのですよね?その時は魔王の姿だったのではありませんか?」
「……思い出したくも無ぇよ…………」
全く想像出来ないけど、とにかく怖いってことは原型も残らないほどの異形だったとか?まぁ、聞いたところで直接見ないとイメージは出来ないか。
「って、兄様と話し合いの約束をしてるんでした!もしかして…入れ違いになったのでしょうか。では私はこれで」
にっこりと笑ったユーリは部屋を出た。
グルーは結局王様なのか辞めたのかも定かじゃなくなってきたな。そして新しく知った『魔王の器』の存在。そう言えばリットがグルーを見た時に「以前と姿が違う」とか言ってたっけ。
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