18 / 108
復讐の旅、開始!
18.グルージアとヴィンセント
しおりを挟む
目が覚めると、寝落ちる前と同じベッドで服を整えられた状態だった。たぶん、グルーが色々してくれたんだろうな。
「……なるほど、そんなことが。はぁ…ヴィンセント、貴方がそこまで愚かになっているとは思いませんでしたよ」
「うっせぇ…オレは、元々デキたヤツじゃねぇって言ってんだろ……!」
言い争いが聞こえた方を向くと、床に座り込むヴィンセントと、その目の前で仁王立ちするグルーがいた。グルーは俺に背を向けてるから表情は見えないが、ヴィンセントは明らかに顔色が悪く息も切れている。ただグルーに怯えてるだけじゃ無さそうだ。
「グルー…」
「ヤト!すみません、起こしてしまいましたか?」
「あぁ、それはいいんだが…ソイツ、ヴィンセント?の様子がおかしい」
「分かってますが…彼に答える気は無いようです」
本当に調子狂うな。病人相手にイジメなんてしたくは無いんだけどな。まぁでも…命に関わるようなことはしなかったし、愛国心は強いみたいだし、様子がおかしかったから少し話は聞いてみないとダメだよな。
「ヴィンセント、動けるか?」
「あぁ…?」
「無理そうか。分かった、俺がそっちに行く」
なんとかギリギリで動かせた体でヴィンセントに近付き、膝を付いてしゃがんで額に触れた。明らかに低体温症になってるな…。呼吸は浅くて遅いし、目線も少しブレて目元が痙攣してる。
最初に会った時と真逆になってるんだな。さっきまで手が異様に熱くて呼吸は荒く、目は血走っていて熱を持て余しているようだった。
それから、よく観察すると部屋にはいくつかの薬や薬草が置いてある。机に置いてあるコップは使ったばっかりか水滴が付いている。ヴィンセントの左手からも薬の匂いがして見てみたら、棚に置いてある大量の錠剤と同じ黄色の粉が付着していた。
たぶん、俺が寝る前に部屋の反対側に行ったのは薬を飲むためだったんだろうな。ベッドと机は対角線上にあって、その間に薬の並んだ棚があった。
「……薬の副作用で悪寒と頭痛がするんじゃないか?」
「………よく見てんな。この薬がなんだか知ってんのか?」
「いや知らない。ただ、明らかに違和感があったから…」
ヴィンセントは途中から急変していた。最初は俺を警戒して、しっかりと会話が出来ていた。だけど途中から自我が消えたみたいな振る舞いになった。まるで、人間から獣に変わったみたいに。
「お前、もしかしてさっきまで………」
「……貴方達、誰です!?」
わっ!?ちょ、これから肝心なことを聞こうって時に誰!?
声が聞こえたドアの方を見ると、茶髪で塩顔の、垂れたうさ耳の男が立っていた。上下白い服の上から燕尾のベストを着て細いワインレッドのネクタイを締めた、貴族か使用人みたいな兎の獣人だ。
その獣人は『誰です!?』なんて言っておきながら何も聞かずに針のようなナイフを取り出して俺達に向けた。
「控えろリット!手を出すな!」
急に叫んだヴィンセントの言葉に従い、すぐに手を止めナイフをしまった『リット』と呼ばれた兎の獣人。しかし敵意を剥き出しにしたまま俺達を睨むと、グルーを見てすぐに跪いた。
「こ、これは……!申し訳ありませんグルージア陛下!以前のお姿と違ったため気付くのが遅くなってしまいました……!」
…………は。
「……リット、私は既に退位しています。陛下と呼ばないでください」
……………はい?なんて???
一人、頭にハテナを浮かべていると、グルーが渋々と説明をした。
「お伝えするのが遅くなってしまい申し訳ありません、ヤト。私は悪魔の国の先王で、ヴィンセント…獣人の国の王には退位する前に一度会っていたのです」
「………え?ちょ、ちょっと待って!?色々急で混乱するけど、その前にグルーって人間じゃ無かったのか!?」
「はい…てっきり勘付いているかと思ってました。こんな四十代がいると思いますか?まぁ、それでもサバは読んでいますが……」
そりゃあ年齢の話は避ける訳だな!人間じゃ無いってすぐにバレるもんな!え、じゃあ本当はいくつなんだ……?
……で、誰がどこの王だって?
グルーが悪魔の国の(前の)王で、ヴィンセントが獣人の国の王。つまり、ヴィンセントが目的の人物ってことか!?って、それ本人に言ったよな!それで『会わない方がいい』って返されたよな!?
「ヴィンセント…なんで俺に隠してた?」
「はっ、見れば分んだろ?こんな使えねぇヤツ……」
「使えないかどうかを判断するのはお前じゃ無いだろ」
大して知りもしない相手の価値なんぞ分かるか!大体なぁ、ヴィンセントに声を掛けようとしたのはグルーだぞ!?知り合いなら俺に言う前にグルーが協力出来るか出来ないか判断してたってことだよな?それで仲間にするって言ってたなら、グルーからすれば協力する意味がある人物ってことなんだろうが!
……と、直接言えたらいいんだけど。流石にヴィンセントの顔色が悪いから自制した。これじゃあ説教の前に回復優先か。
リットと呼ばれてた兎獣人がヴィンセントに肩を貸して、とりあえずベッドに運んだ。
……あっ!肝心の聞きたいこと途中で遮られて結局聞けてない!あぁもう!頭がこんがらがりそうだ!
「……なるほど、そんなことが。はぁ…ヴィンセント、貴方がそこまで愚かになっているとは思いませんでしたよ」
「うっせぇ…オレは、元々デキたヤツじゃねぇって言ってんだろ……!」
言い争いが聞こえた方を向くと、床に座り込むヴィンセントと、その目の前で仁王立ちするグルーがいた。グルーは俺に背を向けてるから表情は見えないが、ヴィンセントは明らかに顔色が悪く息も切れている。ただグルーに怯えてるだけじゃ無さそうだ。
「グルー…」
「ヤト!すみません、起こしてしまいましたか?」
「あぁ、それはいいんだが…ソイツ、ヴィンセント?の様子がおかしい」
「分かってますが…彼に答える気は無いようです」
本当に調子狂うな。病人相手にイジメなんてしたくは無いんだけどな。まぁでも…命に関わるようなことはしなかったし、愛国心は強いみたいだし、様子がおかしかったから少し話は聞いてみないとダメだよな。
「ヴィンセント、動けるか?」
「あぁ…?」
「無理そうか。分かった、俺がそっちに行く」
なんとかギリギリで動かせた体でヴィンセントに近付き、膝を付いてしゃがんで額に触れた。明らかに低体温症になってるな…。呼吸は浅くて遅いし、目線も少しブレて目元が痙攣してる。
最初に会った時と真逆になってるんだな。さっきまで手が異様に熱くて呼吸は荒く、目は血走っていて熱を持て余しているようだった。
それから、よく観察すると部屋にはいくつかの薬や薬草が置いてある。机に置いてあるコップは使ったばっかりか水滴が付いている。ヴィンセントの左手からも薬の匂いがして見てみたら、棚に置いてある大量の錠剤と同じ黄色の粉が付着していた。
たぶん、俺が寝る前に部屋の反対側に行ったのは薬を飲むためだったんだろうな。ベッドと机は対角線上にあって、その間に薬の並んだ棚があった。
「……薬の副作用で悪寒と頭痛がするんじゃないか?」
「………よく見てんな。この薬がなんだか知ってんのか?」
「いや知らない。ただ、明らかに違和感があったから…」
ヴィンセントは途中から急変していた。最初は俺を警戒して、しっかりと会話が出来ていた。だけど途中から自我が消えたみたいな振る舞いになった。まるで、人間から獣に変わったみたいに。
「お前、もしかしてさっきまで………」
「……貴方達、誰です!?」
わっ!?ちょ、これから肝心なことを聞こうって時に誰!?
声が聞こえたドアの方を見ると、茶髪で塩顔の、垂れたうさ耳の男が立っていた。上下白い服の上から燕尾のベストを着て細いワインレッドのネクタイを締めた、貴族か使用人みたいな兎の獣人だ。
その獣人は『誰です!?』なんて言っておきながら何も聞かずに針のようなナイフを取り出して俺達に向けた。
「控えろリット!手を出すな!」
急に叫んだヴィンセントの言葉に従い、すぐに手を止めナイフをしまった『リット』と呼ばれた兎の獣人。しかし敵意を剥き出しにしたまま俺達を睨むと、グルーを見てすぐに跪いた。
「こ、これは……!申し訳ありませんグルージア陛下!以前のお姿と違ったため気付くのが遅くなってしまいました……!」
…………は。
「……リット、私は既に退位しています。陛下と呼ばないでください」
……………はい?なんて???
一人、頭にハテナを浮かべていると、グルーが渋々と説明をした。
「お伝えするのが遅くなってしまい申し訳ありません、ヤト。私は悪魔の国の先王で、ヴィンセント…獣人の国の王には退位する前に一度会っていたのです」
「………え?ちょ、ちょっと待って!?色々急で混乱するけど、その前にグルーって人間じゃ無かったのか!?」
「はい…てっきり勘付いているかと思ってました。こんな四十代がいると思いますか?まぁ、それでもサバは読んでいますが……」
そりゃあ年齢の話は避ける訳だな!人間じゃ無いってすぐにバレるもんな!え、じゃあ本当はいくつなんだ……?
……で、誰がどこの王だって?
グルーが悪魔の国の(前の)王で、ヴィンセントが獣人の国の王。つまり、ヴィンセントが目的の人物ってことか!?って、それ本人に言ったよな!それで『会わない方がいい』って返されたよな!?
「ヴィンセント…なんで俺に隠してた?」
「はっ、見れば分んだろ?こんな使えねぇヤツ……」
「使えないかどうかを判断するのはお前じゃ無いだろ」
大して知りもしない相手の価値なんぞ分かるか!大体なぁ、ヴィンセントに声を掛けようとしたのはグルーだぞ!?知り合いなら俺に言う前にグルーが協力出来るか出来ないか判断してたってことだよな?それで仲間にするって言ってたなら、グルーからすれば協力する意味がある人物ってことなんだろうが!
……と、直接言えたらいいんだけど。流石にヴィンセントの顔色が悪いから自制した。これじゃあ説教の前に回復優先か。
リットと呼ばれてた兎獣人がヴィンセントに肩を貸して、とりあえずベッドに運んだ。
……あっ!肝心の聞きたいこと途中で遮られて結局聞けてない!あぁもう!頭がこんがらがりそうだ!
10
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
悪役令息に転生したので、死亡フラグから逃れます!
伊月乃鏡
BL
超覇権BLゲームに転生したのは──ゲーム本編のシナリオライター!?
その場のテンションで酷い死に方をさせていた悪役令息に転生したので、かつての自分を恨みつつ死亡フラグをへし折ることにした主人公。
創造者知識を総動員してどうにか人生を乗り切っていくが、なんだかこれ、ゲーム本編とはズレていってる……?
ヤンデレ攻略対象に成長する弟(兄のことがとても嫌い)を健全に、大切に育てることを目下の目標にして見るも、あれ? 様子がおかしいような……?
女好きの第二王子まで構ってくるようになって、どうしろっていうんだよただの悪役に!
──とにかく、死亡フラグを回避して脱・公爵求む追放! 家から出て自由に旅するんだ!
※
一日三話更新を目指して頑張ります
忙しい時は一話更新になります。ご容赦を……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる