上 下
11 / 43
復讐の旅、開始!

11.旅の始まりは森の中

しおりを挟む
結局異世界モンスターの転移の原因は不明。
そもそも俺が異世界ともといた世界を行き来できる理由もいまだに不明だからな。

その時店の奥、マギの工房部屋から怪しげな笑みを浮かべた不審者が姿を現した。

「ふっふっふっ…ついに私の夢が一つ実現する日が来ましたよ!その名も魔導外骨格!」

工房の中に入るとそこには体長3メートル程の白銀の鎧が置かれていた。

「これを完成させるに大量のミスリルと魔法石が必要だったため製作を断念していた魔導装備なんですが、店長のおかげで完成させることができました!あと店番が暇でたっぷり時間があ離ましたからね!」


暇で悪かったな…


「早速試験運転です!」

魔導外骨格は胴体部分に操縦者が乗り込む形になっている。

「魔導外骨格機動!」

ミスリルの機体にマナが注がれると全体が青白く輝きゆっくりと立ち上がり瞳に真紅のあかりが灯る。
悔しいがかっこいい!瞳が光ることに何の意味があるのか謎だがとりあえずかっこいい!

「驚くのはこれからですよ!」

背中に生えた翼のようなパーツが緑に光り暴風が巻き起こると機体はゆっくりと地面から浮かび上がる。

飛べるのか!?

そのまま10メートルほど上昇すると今度は上空を旋回し始める。

「どうですか?魔導外骨格の飛行機能は!!」

控えめに言って最高だと言わざるを得ない。これぞ浪漫装備だ!

……なんか徐々に高度が落ちてきてないか?


や、やばい!こっちに突っ込んでくるぞ!

俺は咄嗟に両手を合わせ腕にガルヴォルンを纏う。そして空から降ってくる機体をしょうめんから受け止める。
数十メートル地面を引きずられたが何とか止めることができた。

中から目を回したマギがアンデットのように這いずり出てくる。

「うう…気持ち悪い…飛行機能は燃費が悪いみたいですね」

「まぁいくらミスリルが軽い金属とはいえこの巨体だからな。風で浮かすには無理があるだろ」

「しかし軽量化すると装甲が薄くなるし、代わりの素材もこれといっていい物がないし…いや飛ぶための動力を風以外のものにすればいいのかも!?物を反発させる力!斥力を使えば少ないマナで飛行が可能かも!というわけで店長!重力魔法に必要な闇の魔法石の調達お願いします!」

いいように使われている気もするがまぁいいか。こんなに楽しそうな研究付き合わないなんて損だしな。

今回のターゲットは死霊騎士だ。ダンジョンの奥地にある谷底にアンデット系モンスターの溜まり場があり底に出没するらしい。
今回の狩りのお供は暗闇のエルフであるエオルだ。というか残りの二人は死神がややトラウマになっているのかついて来なかった。

「この辺はワイトが湧くんだけど、マギが作ってくれた光の魔法石の入ったランタンなら低級モンスターは近寄って来れないから大丈夫よ」

さすが暗闇のエルフ。道案内してくれる背中が逞しく見える。
そしてマギの魔道具の力もあって道中はモンスターとの戦闘もなく快適だ。

「そろそろ休憩にしようか?」

俺はマジックバックから食料と薪、焚き火台を取り出し火を起こす。
二人で焚き火を囲むとまるでキャンプ気分だ。
スキレットで目玉焼きと厚切りのベーコンを焼くと食パンの上に乗せる。
お湯も沸かしホットコーヒーを淹れるとあたりにいい香りが漂う。

「いい香りがするとおもったら君か。また会ったね」

前回店を訪ねてくれた金色の瞳の魔族だ。

「そういえば前回名乗ってなかったね。僕の名はバロル。多分お仲間のエルフから聞いてると思うけど魔族だよ。そんなに警戒しなくても危害を加えるつもりはないから大丈夫だよ」

「それにヒトから嫌われている魔族とエルフから地下に閉じ込められた暗闇のエルフ、僕たち似ていると思わないかい?」

「思わないわ。私たちを地下に閉じこめたなんて何世代も前の話だし、今は自由に外に出れる。私は誰も恨んではないわ」

「そうだね。僕たち魔族は存在するだけで厄災を呼ぶ。永遠に嫌われる存在である僕だちとは違うか」

何て悲しそうな顔をするんだ…

「少なくとも俺は嫌ってないぜ。腹が減ってるからそんな暗い気分になるんだ。こっちにきて一緒に飯食おうぜ」

俺は淹れたてのコーヒーと目玉焼きとベーコンの乗ったパンを渡す。

「そうね…一緒に食べましょう」

「「「いただきます」」」

同じ飯を食べると不思議と仲良くなれる。腹が減ってることはやはり良くない。体も心も不健康になる。

デザートは焼きマシュマロだ。ただマシュマロを焼いただけだろと馬鹿にしないでほしい。食感も味も香りも全くの別物。そして何より焼く作業が楽しい!一度ぜひ試してほしい。

「ありがとう。とても美味しかったよ。ところで二人はなんでこんなところに?」

バロルに今回の目的である闇の魔法石とそれを得るための死霊騎士討伐を伝える。

「なるほど…もしよかったら僕もお供していいかい?きっと力になるはずだよ」

魔族とパーティーを組むか…面白い。
俺たちは同じ釜の飯を食った仲間だ。それにヒトと魔族、もしかしたら共存できるヒントが見つかるかもしれない。

「ああ!頼むよ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て運命の相手を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ──────────── ※感想、いいね大歓迎です!!

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?

「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。 王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り 更新頻度=適当

匂いがいい俺の日常

とうふ
BL
高校1年になった俺の悩みは 匂いがいいこと。 今日も兄弟、同級生、先生etcに匂いを嗅がれて引っ付かれてしまう。やめろ。嗅ぐな。離れろ。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...