【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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ただいま

148話 愛おしい人達

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うーん…今、何時……
重たい瞼を開けると、隣でアズが眠っていた
寝顔…綺麗だな
まつ毛長いし、肌も陶器みたいで……
そっとアズの顔に触れた
この頬が昨夜、真っ赤に染まってた
この目で真っ直ぐ見つめられて…
この口で、たくさん口付けをした

唇をそっとなぞると、ぺろりと舐められた

「ふふっ、何してるんだ?」
「ぇ…ぁ…起きて……?」
「起きてるよ、おはよう」
「おはよ…ございます……」


あ、あぁ………
恥ずか死ぬ……




涙目の起床
ゆっくり体を起こす
いつの間にか後始末が全部終わってる……

「動ける?昨夜、無理をさせたけど…」
「あ、あれ……いつも以上に脚に力が入らない……」
「だよな、ごめん」

まさか、立つことすら出来なくなるとは
そのまま部屋で朝食をとり、あとは1日寝たきりになってしまった
アズは僕の側に居てくれようとしたけど仕事があるから部屋に戻った


「大丈夫か?」
「あ、おかえり、グド」

僕がアズと付き合い始めてからグドは自分の部屋を持った
基本的に僕の側にいるけど、寝泊まりは使用人部屋でしている
グドなりの配慮なんだろうな
グドはいつだって僕を最優先にするから
段々と距離が遠くなってる様にも感じてどこか寂しいけど

僕にとってグドは、アズと変わらず大切な存在だ
アズは僕の恋人で、側に居たいとか触れたいとか思う
けど、グドは僕にとって『側に居て当然』の存在だ
大切な人と言うよりかは、僕のかけらのような
グドと言う存在がいて、ようやく僕が成り立つ様なそんな不思議な感覚
きっとグドは僕の目で足で、僕はグドの心臓だから…なのかも


「カメリア、あんまし無茶したらダメだからな?」
「無茶って?」
「夜のことだ。ほどほどにしないと、また今みたいな状態になるぞー」

あ、当たり前みたいに知ってた
何も言ってなければ綺麗に片付けられてるのに
心でも読まれた?

「えぇっと…」
「俺が気付かないと思った?カメリアの身に起きた変化は大体分かるからな。……あいつ、ディンの時も」
「え…気付いてたの?」
「まぁな、実はあの日ジルに見つかって呼び出しくらってたんだけど…お前の身に異変が起きたことに気付いても何も出来なかった」

そう…だったんだ
僕の知らないとこで色々としてたんだ
たぶん、他にも僕の知らない何かを裏でしてたのかも

それにしても、グドは表情豊かだけど最近は困った様な顔をする事が多い
今もそう
ディンとのことで何も出来なかったと悔しそうにしている
それでも僕に出来ることは変わらず、側に居続けること
いつだって助けてくれるグドに何かしてあげたいと思っても、何も出来ないことがもどかしい

「ま、とりあえず今日は寝とけ!」
「そうだね、何も出来そうに無いし…。グド、ここに居てね」
「言われなくても!」

あ、嬉しそうに笑った
側にいることでグドが喜ぶなら、いくらだって一緒にいる
……なんて思っておきながら、ただ僕がグドと一緒にいたいだけかもだけど
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