【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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ただいま

146話 二十歳

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更に日は流れ、今日は僕とエリーの20歳の誕生日だ
プレゼントを貰ったり、ケーキを食べたりと親しい人達で集まってワイワイした
主役の僕とエリー、ユグドラシル、アズにリージュ、ディンにエルシード
それぞれ会話が盛り上がっている


「姉様…じゃなくてカメリア様!お誕生日おめでとう!」
「リージュ様!ありがとうございます、なんだかんだ久しぶりに話しますね」
「そうですね。ボク…じゃなくて、私も即位の為の勉強やら準備やらで大急ぎですからね」

リージュも今じゃ、同じくらいの背丈だ
3年前はすでに越されてたのに、僕も急激に伸びたから差はほとんど無い
…随分と大人びたな、まだ幼さと明るさは残ってるけど…雰囲気からだいぶ変わった
彼が近い将来この国の頂点に立つ
プレッシャーは凄いだろうけど、僕も応援してる
きっと大丈夫だって思ってる


「カメリアー!おめでとー!」
「おめでとうございます。それと…グド、主役より目立つような事してどうするんですか」
「あはは…ユグドラシルもありがとう。そう言えば2人の誕生日ってあるの?」
「いえ、妖精に誕生日の概念はありません」
「てゆーか、枝として生えた時と意識ができた時と肉体が作られた日って全部バラバラだし…どれが誕生日に当たるかも分かんないんだよなぁ」

流石は妖精、人間の常識や生態とはまるで違う
それにしても…僕達双子にそれぞれ恋人ができてから、2人の距離も縮まった気がする
本当はアズの恋人になってグドが寂しがるかと心配してたけど、グドにも大切な片割れがいるから1人じゃ無いもんね
良かった


「おめでとう、ミリー。今日までに体調が良くなって良かった。ちゃんと祝えたな」
「ディン、ありがとう!気持ちは嬉しいけど無理しないでね?片腕無くて不安定なの、知ってるから」
「あはは、まぁ大丈夫だ。そう言うお前だって、脚がダメになってるだろ?俺の心配より自分の心配をすべきだ」

ディンはあっという間に傷が治って、今は片腕生活に慣れようとしている
義肢を付けようかとも話が出ていて、少しずついい方向に向かっている
まだ寝たきりの時は僕もたくさん手伝いをしたけど、今はもう必要無い程だ
本当に良かった



「ミリー!ハッピーバースデー!」
「おめでとうございます、カメリア様!」
「2人ともありがとう。それとエリーもお誕生日おめでとう!」
「ありがとう!だいぶいい顔になったな、凄く…幸せそうだ」
「そりゃ、凄い幸せだよ?そう言うエリーも……」

そのまま視線をエルシードに向けると、2人は幸せそうに微笑んだ
良かった…大切な姉さんもちゃんと幸せになってる
今までたくさん心配かけたり迷惑かけたりしたけど、幸せそうな姉さんを…エリーを見れて良かった



「ほらミリー、さっきからミリーに何か言いたそうな奴がいるよ。早く行ってあげなよ」

そう言うエリーはアズの方を向いた
そうだね、エリーもエルシードと居たいだろうし、僕もアズと居たい



アズの元に駆け寄ると、真顔でジッと見つめられた
感情が読めずに戸惑うと、アズは僕にシャンパンの入ったグラスを渡した

「誕生日おめでとうございます。今日くらいハメを外したらどうですか?」
「ありがとう。でも僕、お酒弱いんだよね…」
「そうですか……あの、どこか2人になりません?」

他の人がいるからアズが敬語だ
お酒は…3年前のパーティーで毒魔法入りワインを飲んだ時から口にしてない
アズがくれた物にそんな心配はもちろんしてないけど、前飲んだ時に多弁になったから人前で酔うのが怖い



時間的にも丁度解散になって、僕はそのままアズと僕の部屋に来た




「カメリア…せっかくだし、今日の残りは私を好きにしていい。何かして欲しい事はある?」
「して欲しい事?そうだな…いつも色々してもらってるし……」
「今日くらいもっと甘えて。普段、抑えなくてもいいって言っても上手く甘えられないんだろう?せっかくの機会なんだから……」

アズに甘える…
アズにして欲しい事……
いいかな…、でもやっぱり恥ずかしい……

「あ、の……」
「ん?」
「……キス、して欲しい」

本当にアルコールが入ってないのか疑わしい程、顔が熱くなる
僕のお願いを聞いたアズはゆっくりと僕に口付けた


でも、今の僕達がそれだけで済むはずが無かった
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