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ただいま
145話 尽くし尽くされ
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更に時は経ち、僕はもうすぐ20歳になる
あっという間だ
「カーメリアっ!」
「わっ、急に飛びついてきたら危ないってば!」
アズと付き合い始めてもグドとの距離は変わらずだ
最初はアズも妬いてたけど、今じゃ「またか」みたいな空気
恋人よりスキンシップが多いのは本当にいいのだろうか
とは考えつつも、僕がグドを突き放すなんて出来ないけど
まぁ、流石に性的には触れなくなったけど
……たまに服に手を入れてきたりとセクハラはされるけどね
とにかく近くにいたいらしい
暖かくなる季節…
同じ季節に同じ景色を見ること、3年前の僕は無理だと思ってたっけ
ずっと自分が嫌いで、復讐ばっか考えて、自分を使って全部終わらせようとしていた
でも今は、復讐も終わってエリーと再会できた
大人になって、恋人ができて、関わる人が増えて…
得たものも、失ったものも多い
それでも今は幸せだ
少し肌寒い夜
僕はグドを置いてアズの部屋に行った
特に理由は無いけど、強いて言うなら会いたくなったから
部屋に行くと温かい紅茶を振る舞ってくれた
まだ仕事中みたいでずっと書類と睨めっこしているのに、忙しい中僕をもてなしてくれるなんて…罪悪感と嬉さが混ざって変な感じ
「ところで、何か用?」
「ううん、その…アズに会いたかったから……。迷惑だった?」
「まさか。少し待ってて、すぐに仕事終わるから」
アズはなんかアッサリしてる
そりゃ、仕事中だから仕方ないとはいえ、浮かれてるのが僕だけみたいだ
温かい紅茶を飲みながら待ってると、少しずつ微睡んできた
ハーブティーの効果かな……
気付けば結構時間が経っていた
ソファでそのまま寝ちゃったんだ…
でも、毛布がかかってる
アズがかけてくれたんだ
「目が覚めたみたいだな」
「ごめん、いつの間にか寝ちゃってたみたい…」
「私が休ませたんだ。…体、不自由になったからな。大変だろう?」
アズはゆっくり起き上がった僕の額にキスをした
こんなに優しくされて、嬉しいのに…僕は凄い無力だ
「アズ、僕……アズのためにできること、無いかな」
「私のために?気持ちは嬉しいけど、そんなことしなくても……」
「されてばっかは僕が嫌なんだよ」
移動も大変、魔力は二度と使えない僕にできることなんて見つからないけど
でも、されてばっかりは申し訳ないし、愛想尽かされたりしたら嫌だし……
「なら、その…キスしてもいい?」
「うん、もちろん…」
アズは僕にそっとキスをした
何度も口付けて、舌を舐め合う
あれ?これじゃあ僕も満たされて…アズに尽くしてる感が無い
「あ、ず…」
「ん?」
「これじゃあ、アズのための筈なのに僕までよくなっちゃう……」
そう言うと、アズは僕に抱きついて俯いた
あ……アズの心臓速い…
ドキドキしてる?
僕で?
「…キス、そんなに良かった?」
「そりゃあ…」
「なら、もっと……いや、これ以上は抑えられる自信が無いからやめよう」
もっと…しないの?
ってこれじゃあやっぱり僕が欲しがってるだけだ!
どうしよう…僕に出来ること………
何も思い浮かばない
僕はこんなに良くしてもらってるのに…
そう考えていると、ポロポロと涙が落ち始めた
「カメリア?」
「ご、ごめん…僕、アズに何もしてあげられない……」
「それで泣いてるのか…?」
上手く感情がコントロール出来ない
どうしよう、どうしよう…!
アズは僕の涙を拭うと、抱きしめて背中をポンポンと軽く叩き出した
「私は、こうしてるだけで凄く幸せなんだ。そばに居てくれるだけでこんなに嬉しいのにそれ以上を考えてるなんて、あんまり可愛い事をしないでくれ」
い、いいのかな
そんな、本当に…
「そんな風に言われたら、僕も嬉しすぎてどうにかなりそうだよ…」
2人とも、壊れそうなほどに心拍数が上がる
僕の音も伝わってるのかな
……伝わってたらいいな
あっという間だ
「カーメリアっ!」
「わっ、急に飛びついてきたら危ないってば!」
アズと付き合い始めてもグドとの距離は変わらずだ
最初はアズも妬いてたけど、今じゃ「またか」みたいな空気
恋人よりスキンシップが多いのは本当にいいのだろうか
とは考えつつも、僕がグドを突き放すなんて出来ないけど
まぁ、流石に性的には触れなくなったけど
……たまに服に手を入れてきたりとセクハラはされるけどね
とにかく近くにいたいらしい
暖かくなる季節…
同じ季節に同じ景色を見ること、3年前の僕は無理だと思ってたっけ
ずっと自分が嫌いで、復讐ばっか考えて、自分を使って全部終わらせようとしていた
でも今は、復讐も終わってエリーと再会できた
大人になって、恋人ができて、関わる人が増えて…
得たものも、失ったものも多い
それでも今は幸せだ
少し肌寒い夜
僕はグドを置いてアズの部屋に行った
特に理由は無いけど、強いて言うなら会いたくなったから
部屋に行くと温かい紅茶を振る舞ってくれた
まだ仕事中みたいでずっと書類と睨めっこしているのに、忙しい中僕をもてなしてくれるなんて…罪悪感と嬉さが混ざって変な感じ
「ところで、何か用?」
「ううん、その…アズに会いたかったから……。迷惑だった?」
「まさか。少し待ってて、すぐに仕事終わるから」
アズはなんかアッサリしてる
そりゃ、仕事中だから仕方ないとはいえ、浮かれてるのが僕だけみたいだ
温かい紅茶を飲みながら待ってると、少しずつ微睡んできた
ハーブティーの効果かな……
気付けば結構時間が経っていた
ソファでそのまま寝ちゃったんだ…
でも、毛布がかかってる
アズがかけてくれたんだ
「目が覚めたみたいだな」
「ごめん、いつの間にか寝ちゃってたみたい…」
「私が休ませたんだ。…体、不自由になったからな。大変だろう?」
アズはゆっくり起き上がった僕の額にキスをした
こんなに優しくされて、嬉しいのに…僕は凄い無力だ
「アズ、僕……アズのためにできること、無いかな」
「私のために?気持ちは嬉しいけど、そんなことしなくても……」
「されてばっかは僕が嫌なんだよ」
移動も大変、魔力は二度と使えない僕にできることなんて見つからないけど
でも、されてばっかりは申し訳ないし、愛想尽かされたりしたら嫌だし……
「なら、その…キスしてもいい?」
「うん、もちろん…」
アズは僕にそっとキスをした
何度も口付けて、舌を舐め合う
あれ?これじゃあ僕も満たされて…アズに尽くしてる感が無い
「あ、ず…」
「ん?」
「これじゃあ、アズのための筈なのに僕までよくなっちゃう……」
そう言うと、アズは僕に抱きついて俯いた
あ……アズの心臓速い…
ドキドキしてる?
僕で?
「…キス、そんなに良かった?」
「そりゃあ…」
「なら、もっと……いや、これ以上は抑えられる自信が無いからやめよう」
もっと…しないの?
ってこれじゃあやっぱり僕が欲しがってるだけだ!
どうしよう…僕に出来ること………
何も思い浮かばない
僕はこんなに良くしてもらってるのに…
そう考えていると、ポロポロと涙が落ち始めた
「カメリア?」
「ご、ごめん…僕、アズに何もしてあげられない……」
「それで泣いてるのか…?」
上手く感情がコントロール出来ない
どうしよう、どうしよう…!
アズは僕の涙を拭うと、抱きしめて背中をポンポンと軽く叩き出した
「私は、こうしてるだけで凄く幸せなんだ。そばに居てくれるだけでこんなに嬉しいのにそれ以上を考えてるなんて、あんまり可愛い事をしないでくれ」
い、いいのかな
そんな、本当に…
「そんな風に言われたら、僕も嬉しすぎてどうにかなりそうだよ…」
2人とも、壊れそうなほどに心拍数が上がる
僕の音も伝わってるのかな
……伝わってたらいいな
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