【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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新しい生活

115話 悪化

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やけにスッキリとした目覚め
昨夜はよく眠れたみたいだ

「おはよ、暇だったから朝ごはん作っておいたぞー」
「おはようグド、いい匂いがするね」

ディンはまだ眠ってるみたい
まだ朝早いし、もう少しゆっくり寝かせておこう


いつも通りにグドを見送り、先に洗濯だけ終わらせた
今日は曇り空で降るかどうかわからないから室内干しだ
乾くまで時間があるから洗濯は朝にしないといけない


今日は買い物に行くから出かける準備をした
少し大きめのマントを羽織ってフードを深く被る
赤髪はどうしても目立つから隠した方がいいと思った
けど、マントで体つきが隠れているせいか町の人からは女性だと思われている
そんなに童顔だろうか

とりあえず家を開けるから声はかけておくべきか

「ディン、起きて…ディン?なっ、ひどい熱!」

ずっと眠ってると思ってたディンは、高熱で意識が無かった
すぐにハンドタオルを濡らして額に乗せた
ただ、高熱のわりに汗はかいていない
水分が足りていないのかも

「ディン、少し待ってて。すぐに薬を買ってくるから」


僕は家を飛び出して町に向かった
往復で早くても二時間
急がないと……!





服屋によってから薬を買いに行った
解熱剤と鉄剤、それから傷薬を買った

「あら、ミリーじゃないの。どこか怪我でもしたの?」
「あ、お姉さん。実は怪我人を保護して、その人の薬を買いに来たんです」

僕に声をかけたのは薬屋の婦人だ
以前、包帯を買いに来た時に店で起きてたトラブルを解決してから良くしてもらっている
トラブルと言っても、悪質な客を拳で黙らせただけだけど

「まぁ怪我人?その人の容体は?」
「傷だらけで森に入ってたみたいで、体中にあざと塞がりきってない切り傷がありました。雨の中倒れてたせいか高熱が出て、今は意識がありません」
「なるほど…よくあるパターンね」

それからまた細かく状態を伝えると、氷のうと湿布、それから追加の包帯と吸飲みを選んでくれた

「いい?絶対に安静にさせて、清潔にすること。それと脱水を起こさないよう水分は無理矢理でも飲ませなさい。薬は食前、胃が空の時に飲ませるように」
「ありがとうございます。こんなに色々…また後日お礼させてください」
「それは今後もこの店を贔屓にしてくれるってことかしら?」
「はい、もちろんです」

お姉さんはこの町や周辺のことを教えてくれたりもした人だ
おかげでこの町にもすぐに慣れた
ご近所と言うには遠すぎるけど、何かと助けられている


食糧は今回は諦めて、急いで家に帰った
ディンは余計にうなされていた
すぐ氷のうに水と氷を入れて額に乗せた
吸飲みを使って水を飲ませようとしたけど、ディンは歯を食いしばっているから飲み口が上手く入らない
鼻を塞いで無理矢理口を開けさせた
ようやく水を飲ませることが出来た

「ゔぅ…」
「目が覚めた?」
「……エル…か……?」

エル?誰かの名前?
……あれ、やっぱりディンの瞳が赤色だ
それも今はずっと固定で赤色
前見えた時は紫と交互に変わってたのに…あれ?

赤色の瞳って知ってる気がする


「エル…すぐ、助けるからな……」
「ディン?……また寝た」

何があったんだろう
エルって人に何かあった?

過去か今かわからないけど、ディンに何があったんだろうか
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