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崩れていく、何もかも
37話 私の誕生日
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ジルが部屋を後にしてから10数分が経った
人が来るから待機するようにと言われた僕はソファでグドと話していた
“カメリア!お誕生日おめでとっ!”
「ありがとう、グド!」
“いやぁ、今日は晴れてホントに良かったよ!”
小さな姿で窓枠に座るグド
確かに今日は心地良い天気だ
美しい青空に申し訳程度に飾られた真っ白な雲
窓を開けると暖かな春風が頬を撫でる
季節の変わり目が分かりにくいこの世界では、花と風が季節を塗り替えていく
昨日まではあっという間に熱を冷ます冷たい風が吹いていたのに
“あ、この魔力の気配は!」
グドはパッと人間サイズになり、扉の方に向かった
ガチャリと扉を開けると、扉をノックしようとしているアズがいた
「あ、姉上。お誕生日おめでとうございます」
「アズ様!ありがとうございます!」
僕は窓辺から直ぐにアズの元へ駆け寄った
彼の目の前に行くと、何故か頭をポンと撫でられた
何故だろうか
一応数週間とはいえ僕の方がお兄さんなのに子供扱いされたような気がした
「っと、失礼しました。つい……」
「ついで子供扱いしないでくださいよ」
「え、いや、子供扱いというか……何ででしょう?」
それは僕が知りたいのだが
僕は少しムスッとした
「はは、姉上も色々な顔をする様になりましたね」
「え…そ、そうですかね?」
元々どれだけ仏頂面だったのだろう
確かにあまり感情を表に出さないよう気を付けていたけど……
あ、そうか
「アズ様の前だと気が緩んでしまうみたいですね」
「………それは良かった」
良かった?
まぁアズが良いと言うのなら良いのだろう
窓から刺す朝日のせいだろうか
真っ白なアズの顔は少し赤くなっていた
アズのエスコートで来たのは大きなダイニングルーム
数ヶ月前にハルジオンと共に食事をしていた部屋だ
しかし、僕が見た光景は見慣れたものでは無かった
真っ白なテーブルクロスは赤いレースと赤い花びらで飾られている
椅子は形すらも違う全くの別物だ
そこには既に数人が席についていた
メイド長のガーベラ
執事教育係のリンドー
新騎士団長のロック
第四王子のフリージア
僕はエスコートされるままに席に着いた
第二王子のアスフォデル
護衛騎士グド
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます!後でささやかながら贈り物もありますからね」
柔らかく微笑みながらゆったりとした口調で祝ってくれたガーベラ
「王太子妃様、この度は王太子妃様の誕生した日を共に祝う事ができとても嬉しく存じます」
相変わらずの堅い雰囲気ながらも僅かに口角が上がっているリンドー
「お嬢様!お誕生日おめでとうございます!今日という日があなた様にとって素晴らしい日になる事を心から祈っております」
純粋な笑顔で左胸に拳を当てて礼をするロック
「姉様!お誕生日おめでとう!今日は仕事の事なんか忘れて楽しんでくださいね!」
無邪気な笑顔で僕以上に楽しそうなリージュ
「おいらも、改めておめでとうなっ!あるじ!」
人前では敬語を使えという指示をガン無視したグド
「姉上。この場にいる人たちはみな、『王太子妃』としてでは無く貴方を祝いたいと集まった人たちです」
それぞれから貰った言葉が、笑顔が、とても暖かかった
これ程自分の誕生した日を嬉しく思ったのは初めてだ
みんなにも笑顔で返そうとしたが、あまりの嬉しさに僕は涙を溢してしまった
「…みんな、本当にありがとう」
人が来るから待機するようにと言われた僕はソファでグドと話していた
“カメリア!お誕生日おめでとっ!”
「ありがとう、グド!」
“いやぁ、今日は晴れてホントに良かったよ!”
小さな姿で窓枠に座るグド
確かに今日は心地良い天気だ
美しい青空に申し訳程度に飾られた真っ白な雲
窓を開けると暖かな春風が頬を撫でる
季節の変わり目が分かりにくいこの世界では、花と風が季節を塗り替えていく
昨日まではあっという間に熱を冷ます冷たい風が吹いていたのに
“あ、この魔力の気配は!」
グドはパッと人間サイズになり、扉の方に向かった
ガチャリと扉を開けると、扉をノックしようとしているアズがいた
「あ、姉上。お誕生日おめでとうございます」
「アズ様!ありがとうございます!」
僕は窓辺から直ぐにアズの元へ駆け寄った
彼の目の前に行くと、何故か頭をポンと撫でられた
何故だろうか
一応数週間とはいえ僕の方がお兄さんなのに子供扱いされたような気がした
「っと、失礼しました。つい……」
「ついで子供扱いしないでくださいよ」
「え、いや、子供扱いというか……何ででしょう?」
それは僕が知りたいのだが
僕は少しムスッとした
「はは、姉上も色々な顔をする様になりましたね」
「え…そ、そうですかね?」
元々どれだけ仏頂面だったのだろう
確かにあまり感情を表に出さないよう気を付けていたけど……
あ、そうか
「アズ様の前だと気が緩んでしまうみたいですね」
「………それは良かった」
良かった?
まぁアズが良いと言うのなら良いのだろう
窓から刺す朝日のせいだろうか
真っ白なアズの顔は少し赤くなっていた
アズのエスコートで来たのは大きなダイニングルーム
数ヶ月前にハルジオンと共に食事をしていた部屋だ
しかし、僕が見た光景は見慣れたものでは無かった
真っ白なテーブルクロスは赤いレースと赤い花びらで飾られている
椅子は形すらも違う全くの別物だ
そこには既に数人が席についていた
メイド長のガーベラ
執事教育係のリンドー
新騎士団長のロック
第四王子のフリージア
僕はエスコートされるままに席に着いた
第二王子のアスフォデル
護衛騎士グド
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます!後でささやかながら贈り物もありますからね」
柔らかく微笑みながらゆったりとした口調で祝ってくれたガーベラ
「王太子妃様、この度は王太子妃様の誕生した日を共に祝う事ができとても嬉しく存じます」
相変わらずの堅い雰囲気ながらも僅かに口角が上がっているリンドー
「お嬢様!お誕生日おめでとうございます!今日という日があなた様にとって素晴らしい日になる事を心から祈っております」
純粋な笑顔で左胸に拳を当てて礼をするロック
「姉様!お誕生日おめでとう!今日は仕事の事なんか忘れて楽しんでくださいね!」
無邪気な笑顔で僕以上に楽しそうなリージュ
「おいらも、改めておめでとうなっ!あるじ!」
人前では敬語を使えという指示をガン無視したグド
「姉上。この場にいる人たちはみな、『王太子妃』としてでは無く貴方を祝いたいと集まった人たちです」
それぞれから貰った言葉が、笑顔が、とても暖かかった
これ程自分の誕生した日を嬉しく思ったのは初めてだ
みんなにも笑顔で返そうとしたが、あまりの嬉しさに僕は涙を溢してしまった
「…みんな、本当にありがとう」
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