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崩れていく、何もかも
38話 僕の誕生日
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いつも通りバランス重視のご馳走を食べ、沢山のプレゼントと言葉を貰い、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった
気付けば空は赤く染まり、日は沈んでいた
これで終わりなのかと少し寂しく感じてしまう
あれほど嫌っていた誕生日なのに
席を離れ、アズとグドと共に部屋へ向かった
「姉上、少し寄り道をしても?」
「いいですよ」
何故かアズの寄り道に付き添う事になった
向かった先は庭園
外に出ると既に星がたくさん見えていた
こんな時間に外に出るのはいつぶりだろうか
「ほんと、今日は晴れてよかった」
朝に言った言葉を繰り返すグド
このタイミングでその言葉を言った理由は、すぐに分かった
庭園の東屋
騎士団長から剣をもらった場所でもあるそこは、柔らかな光を放つ甘い香りのキャンドルが掛かっていた
そして、テーブルの上には3人分のティーセットと少し小さめのホールケーキ
ケーキには蝋燭が立てられている
「姉上…いえ、カメリア。改めてお祝いしましょうか」
「この東屋、防音魔法が掛けられてるからアイリスのフリをしなくていいんだよ。ってことで、おめでと!カメリア!」
嗚呼、この2人はなんでここまでしてくれるのだろうか
名前も、姿も、何もかもが本当の僕で誕生日を祝ってくれている
これは夢なのだろうか
「夢じゃないよ。これは現実。カメリアはこんなにも大切にされてるんだ。例えお前が自分自身を大切に出来なくても、愛せなくても、おいらたちがその分までちゃんと大切にするからな!」
グドはずるい
僕の心が読めるから、僕の欲しい言葉も1番痛い言葉も分かる
「カメリア、貴方の誕生を祝わせてください。私は貴方に出会えて本当に嬉しいのですから」
良いのだろうか
僕がここまで思われても
僕はどんどん欲張りになっていく
「ありがとう。アズ様、グド。僕も2人の事が大切で、大好き」
大きな幸せを噛み締めて、3人でケーキを囲って座った
それにしても、この世界に『バースデーケーキ』は無いはずだ
ケーキはあれど、蝋燭を刺しチョコプレートにメッセージを書くことは無い
どころかケーキに刺す蝋燭も無い筈だ
まさか……
「アズ様、このケーキって……」
「グドが教えてくれたんですよ。異国ではケーキに細い蝋燭を刺し、誕生日を迎える人が火を吹き消すと」
だろうなとは思った
異国では無く異世界の行事だけど
僕は火吹き消し、3等分に切ったケーキをみんなで食べた
懐かしさのあるこの感覚を、この世界で僕のそばに居てくれる大切な人達と共に過ごした
もうすぐ誕生日のアズは、誕生日当日に遠出するらしい
あまり祝えない事が凄く残念だけどプレゼントはアズが喜んでくれそうなものをあげたい
部屋に戻ってから僕は寝る暇も惜しんで考え始めた
気付けば空は赤く染まり、日は沈んでいた
これで終わりなのかと少し寂しく感じてしまう
あれほど嫌っていた誕生日なのに
席を離れ、アズとグドと共に部屋へ向かった
「姉上、少し寄り道をしても?」
「いいですよ」
何故かアズの寄り道に付き添う事になった
向かった先は庭園
外に出ると既に星がたくさん見えていた
こんな時間に外に出るのはいつぶりだろうか
「ほんと、今日は晴れてよかった」
朝に言った言葉を繰り返すグド
このタイミングでその言葉を言った理由は、すぐに分かった
庭園の東屋
騎士団長から剣をもらった場所でもあるそこは、柔らかな光を放つ甘い香りのキャンドルが掛かっていた
そして、テーブルの上には3人分のティーセットと少し小さめのホールケーキ
ケーキには蝋燭が立てられている
「姉上…いえ、カメリア。改めてお祝いしましょうか」
「この東屋、防音魔法が掛けられてるからアイリスのフリをしなくていいんだよ。ってことで、おめでと!カメリア!」
嗚呼、この2人はなんでここまでしてくれるのだろうか
名前も、姿も、何もかもが本当の僕で誕生日を祝ってくれている
これは夢なのだろうか
「夢じゃないよ。これは現実。カメリアはこんなにも大切にされてるんだ。例えお前が自分自身を大切に出来なくても、愛せなくても、おいらたちがその分までちゃんと大切にするからな!」
グドはずるい
僕の心が読めるから、僕の欲しい言葉も1番痛い言葉も分かる
「カメリア、貴方の誕生を祝わせてください。私は貴方に出会えて本当に嬉しいのですから」
良いのだろうか
僕がここまで思われても
僕はどんどん欲張りになっていく
「ありがとう。アズ様、グド。僕も2人の事が大切で、大好き」
大きな幸せを噛み締めて、3人でケーキを囲って座った
それにしても、この世界に『バースデーケーキ』は無いはずだ
ケーキはあれど、蝋燭を刺しチョコプレートにメッセージを書くことは無い
どころかケーキに刺す蝋燭も無い筈だ
まさか……
「アズ様、このケーキって……」
「グドが教えてくれたんですよ。異国ではケーキに細い蝋燭を刺し、誕生日を迎える人が火を吹き消すと」
だろうなとは思った
異国では無く異世界の行事だけど
僕は火吹き消し、3等分に切ったケーキをみんなで食べた
懐かしさのあるこの感覚を、この世界で僕のそばに居てくれる大切な人達と共に過ごした
もうすぐ誕生日のアズは、誕生日当日に遠出するらしい
あまり祝えない事が凄く残念だけどプレゼントはアズが喜んでくれそうなものをあげたい
部屋に戻ってから僕は寝る暇も惜しんで考え始めた
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