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崩れていく、何もかも

33話 髪の毛の長さ

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アズにグドを紹介して1週間
意外にも2人は仲良くしているようだ
最初の3日間は2人とも僕にピッタリと付いていたが、最近ではアズがグドに魔法を教わる迄になった
空き時間になると2人で魔法について話しているようだ

そして、2人の関係以外にも変化が起きた
それはグドが顔を隠し始めたこと
目元を隠すように蔦を顔に巻いたのだ
理由を聞いても

“さぁね♪教えてあーげないっ!”

と言ってふわふわ飛んでいる
人間サイズの時も付けていたから、もし誰かに見られたら色々な意味で大変な事になりそうだ

それでも、グドが来てから空気が軽くなったのは確かだ
馬鹿みたいに明るくて、楽しげで、自然と笑顔が伝染する
僕が笑うとアズも微笑む
だから軽く感じるのだろう



しかし軽くなる空気とは裏腹に、どんどん重くなってしまった
この瞬間に対する執着
どこかで思ってしまったのだろう
変わらないで、と




変わると言えば、


「そう言えばアズ様、どうして髪を切ったのですか?」
「それは……」

何度聞いても教えてくれないこと
髪が短い事でチラついてしまうハルジオンの影
髪や瞳の色が同じと言うだけなのに
それだけでは無い

「僕は長い方が似合うと思うのにな……」

ハッと、しまったと思った
思った事をそのまま声に出してしまった上にタメ口だなんて
以前の身分なら不敬罪にだってなることをしてしまった

「あ、いや、今のは忘れて下さ………」

なんとか訂正しようと思ったら、アズは髪の毛をいじり困ったような顔をしていた

「……なら、切らない方が良かったですね」
「え、あ、似合ってないとかそう言うことでは……!」

考え無しにポロッといった言葉で変に誤解させてしまった
ここで変に亀裂が入るのも呆れられるのも嫌だ
どうしようと焦っていると、アズはじっと僕を見つめた
怒っているだろうかと思っていると、アズは微笑んだ

「カメリアは…きっと短い髪も似合うと思いますよ」
「えぇっと……」

やはり内心苛立っているのだろうか
どれほど優しく言われてもタイミング的に嫌味や皮肉に聞こえる
本人が望んだ髪型にどうこう言うべきでは無さそうだ
なんて気落ちしていると、いつの間にかアズは手の届く距離まで近付いていた


「いつか見てみたいです。どんな姿のカメリアも美しいでしょうから」


そう言って僕の髪の毛をさらりとすくった
まるで本当に見惚れるかのようなアズの瞳に、僕は恥ずかしくなった
きっと今の僕の顔は髪の毛のように紅いだろう
不自然な程に思い切り目線を逸らしてしまった
今のアズを何故か直視できない
初めて見たアズの表情に、その日からハルジオンの影は重ならなくなった
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