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第107話 日常をただ過ごすだけ
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その日は探索に向かわず、自宅で寛いでいた。
別に疲れたり、大きな怪我をしたわけではない。
たまには時間を作って休息しようと思ったのである。
使い慣れた自室は心が休まる。
液晶テレビはアクション映画を垂れ流しにしていた。
近所のレンタルショップから盗んだ物だ。
三十年ほど前の作品で、不朽の名作として知られている。
テレビで何度も放送されているため、当然ながら展開は知り尽している。
それでも楽しめるだけのポテンシャルがあった。
現在は額縁でパズルを組み立てながら視聴している。
室内はとても静かだ。
三人の殺人鬼はそれぞれに貸した部屋を使っており、今頃は外出しているのではないか。
インドア派の者はおらず、昼夜問わず狩りに出向いている時も少なくない。
おかげで室内でのリラックスがしやすいので助かっている。
テレビから聞こえる銃撃音を聞きつつ、デスクトップパソコンを起動させる。
作りかけのパズルを置いて、ブックマークしたサイトを巡回した。
世界に関する最新の情報を集めるためだ。
デマも混ざっているので鵜呑みにはできないものの、貴重なことが記載されている場合もある。
情報の一つが生死を左右する時は少なくないので、サイト巡回は半ば日課のようになっていた。
特に大切なのは殺人鬼をまとめたサイトだ。
近所に出没した者をピックアップするのに役立つ。
大抵は警戒するだけでなく、他の三人に情報を共有して標的にしていた。
殺人鬼は手強い代わりに変容の効率も良い。
最近はモンスターも減少傾向にあるため、ちょうどいい獲物は逃がしたくないのだ。
基本的には早い者勝ちで、後から文句を言わないルールにしている。
今だと"蜘蛛鎖鎌"と"バーニング"が近所を徘徊していた。
どちらも殺人鬼としては中級だ。
四人の誰が遭遇しても、返り討ちにされることはまずない。
今晩にでも殺害報告があるのではないか。
映画を意識を向けつつサイトを閲覧する。
マウスを握る手が途中で止まった。
画面に映るのは、新規で登録された殺人鬼の一覧だ。
隠し撮りされたと思しき画像は、他でもない自分が被写体だった。
これはマンションの罠を張っている風景だろう。
遠くの高所から拡大して撮られたもののように見える。
さすがに無視できないので詳細ページを開く。
通称は"大家"と"罠師"らしい。
どちらも心当たりがある。
マンションを独占し、殺人鬼すらも仕留める罠を設置しているのが原因だろう。
ページ内では当然のように殺人鬼として紹介されている。
まるで危険人物のような書かれ方だが、その自覚は無かった。
ただ今の生活を守りたいだけである。
それ以上は何も求めていない。
削除申請をしようか迷ったが、やめておいた。
どうせ消されないし、勝手に言わせておけばいい。
サイトを見て襲ってくる人間がいるのなら殺すだけだ。
そのための術は心得ている。
たとえ銃火器を持った集団が相手でも全滅するだけの自信はあった。
いくらでもやりようがある。
とうとう殺人鬼の認定を受けてしまったわけだが、別にそれ以上の感想はない。
今後も自分の生活を続けるだけだ。
世界は不可逆の変貌を遂げて狂ってしまった。
原因は未だに分からず、どこかの誰かが究明を試みている。
もっとも、そんなことは自分に関係ない。
奇想天外な冒険活劇は彼らに任せておけばいい。
自分には自分の人生がある。
果たしていつ終わるのか見当も付かないが、気ままに生きるだけだ。
別に疲れたり、大きな怪我をしたわけではない。
たまには時間を作って休息しようと思ったのである。
使い慣れた自室は心が休まる。
液晶テレビはアクション映画を垂れ流しにしていた。
近所のレンタルショップから盗んだ物だ。
三十年ほど前の作品で、不朽の名作として知られている。
テレビで何度も放送されているため、当然ながら展開は知り尽している。
それでも楽しめるだけのポテンシャルがあった。
現在は額縁でパズルを組み立てながら視聴している。
室内はとても静かだ。
三人の殺人鬼はそれぞれに貸した部屋を使っており、今頃は外出しているのではないか。
インドア派の者はおらず、昼夜問わず狩りに出向いている時も少なくない。
おかげで室内でのリラックスがしやすいので助かっている。
テレビから聞こえる銃撃音を聞きつつ、デスクトップパソコンを起動させる。
作りかけのパズルを置いて、ブックマークしたサイトを巡回した。
世界に関する最新の情報を集めるためだ。
デマも混ざっているので鵜呑みにはできないものの、貴重なことが記載されている場合もある。
情報の一つが生死を左右する時は少なくないので、サイト巡回は半ば日課のようになっていた。
特に大切なのは殺人鬼をまとめたサイトだ。
近所に出没した者をピックアップするのに役立つ。
大抵は警戒するだけでなく、他の三人に情報を共有して標的にしていた。
殺人鬼は手強い代わりに変容の効率も良い。
最近はモンスターも減少傾向にあるため、ちょうどいい獲物は逃がしたくないのだ。
基本的には早い者勝ちで、後から文句を言わないルールにしている。
今だと"蜘蛛鎖鎌"と"バーニング"が近所を徘徊していた。
どちらも殺人鬼としては中級だ。
四人の誰が遭遇しても、返り討ちにされることはまずない。
今晩にでも殺害報告があるのではないか。
映画を意識を向けつつサイトを閲覧する。
マウスを握る手が途中で止まった。
画面に映るのは、新規で登録された殺人鬼の一覧だ。
隠し撮りされたと思しき画像は、他でもない自分が被写体だった。
これはマンションの罠を張っている風景だろう。
遠くの高所から拡大して撮られたもののように見える。
さすがに無視できないので詳細ページを開く。
通称は"大家"と"罠師"らしい。
どちらも心当たりがある。
マンションを独占し、殺人鬼すらも仕留める罠を設置しているのが原因だろう。
ページ内では当然のように殺人鬼として紹介されている。
まるで危険人物のような書かれ方だが、その自覚は無かった。
ただ今の生活を守りたいだけである。
それ以上は何も求めていない。
削除申請をしようか迷ったが、やめておいた。
どうせ消されないし、勝手に言わせておけばいい。
サイトを見て襲ってくる人間がいるのなら殺すだけだ。
そのための術は心得ている。
たとえ銃火器を持った集団が相手でも全滅するだけの自信はあった。
いくらでもやりようがある。
とうとう殺人鬼の認定を受けてしまったわけだが、別にそれ以上の感想はない。
今後も自分の生活を続けるだけだ。
世界は不可逆の変貌を遂げて狂ってしまった。
原因は未だに分からず、どこかの誰かが究明を試みている。
もっとも、そんなことは自分に関係ない。
奇想天外な冒険活劇は彼らに任せておけばいい。
自分には自分の人生がある。
果たしていつ終わるのか見当も付かないが、気ままに生きるだけだ。
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