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第93話 重い一歩
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モンスターの乱闘を縫うように進む。
這って時間をかけるわけにもいかないため、膝立ちになって移送速度を上げる。
片手の爪だけで振り落とされないようにした。
もう一方の手は迎撃のために空けておく。
複数の変容能力があるため、思ったより不利ではない。
襲いかかるモンスターは、些細な攻撃で地上へと墜落する。
今は最低限の力で凌いで進むのが先決だった。
巨大イソギンチャクを焼き殺し、縦横無尽に突進してくるトビウオを躱して、ひたすら前へと向かう。
余計なことは考えない。
前に進むことだけに没頭する。
ただ機械的に動く。
死ななければそれでいい。
数十メートルを進んだ頃には、脇腹を槍が貫通していた。
右脚の膝は溶けて感覚が失われている。
呼吸をするたびに肺が痛み、むせると血が出た。
ここまでの乱闘で受けた傷だ。
さすがに無傷では突破できなかった。
別に超人的な能力を持ったヒーローではない。
当然のことだ。
死ななかっただけ幸運である。
口端から血をこぼしながら振り返る。
なんとか乱闘の中心部からは抜け出すことができた。
付近にはモンスターがいない。
先ほど鉄塔が直撃したのが見えたので、その時に張り付いていた個体は一掃されただろう。
直撃にダメージで一帯の外殻が粉々になっている。
そこかしこから体液が漏れているので、滑らないように注意しなければいけない。
すぐ隣に気配を感じた。
咄嗟に攻撃しようとして中断する。
蔦を使って外殻に密着するのは紙袋姫だった。
荒い呼吸で消耗しているのが分かるが、サポートに来てくれたらしい。
ヒュージセンチピードが動き出す前に蔦で掴まっていたのだろう。
拘束が解けた時点で力尽きたのかと思いきや、まだなんとか動けるようだ。
この状況で味方がいるのは非常に助かる。
孤軍奮闘には限度があった。
一休みすることすらままならず、気力で踏ん張っている始末だ。
紙袋姫はさっそく移動の補助を始めた。
蔦を伸ばして互いの体を密着させると、そのうち何本かを束にして外殻に突き刺す。
慢性的に爪にかかっていた負荷が途端に軽くなった。
身体を支える役割を蔦が代わってくれたからだ。
これならばさらに動きやすくなり、モンスターの迎撃にも対応しやすくなるだろう。
紙袋姫に礼を言いつつ、二人で移動を再開した。
這って時間をかけるわけにもいかないため、膝立ちになって移送速度を上げる。
片手の爪だけで振り落とされないようにした。
もう一方の手は迎撃のために空けておく。
複数の変容能力があるため、思ったより不利ではない。
襲いかかるモンスターは、些細な攻撃で地上へと墜落する。
今は最低限の力で凌いで進むのが先決だった。
巨大イソギンチャクを焼き殺し、縦横無尽に突進してくるトビウオを躱して、ひたすら前へと向かう。
余計なことは考えない。
前に進むことだけに没頭する。
ただ機械的に動く。
死ななければそれでいい。
数十メートルを進んだ頃には、脇腹を槍が貫通していた。
右脚の膝は溶けて感覚が失われている。
呼吸をするたびに肺が痛み、むせると血が出た。
ここまでの乱闘で受けた傷だ。
さすがに無傷では突破できなかった。
別に超人的な能力を持ったヒーローではない。
当然のことだ。
死ななかっただけ幸運である。
口端から血をこぼしながら振り返る。
なんとか乱闘の中心部からは抜け出すことができた。
付近にはモンスターがいない。
先ほど鉄塔が直撃したのが見えたので、その時に張り付いていた個体は一掃されただろう。
直撃にダメージで一帯の外殻が粉々になっている。
そこかしこから体液が漏れているので、滑らないように注意しなければいけない。
すぐ隣に気配を感じた。
咄嗟に攻撃しようとして中断する。
蔦を使って外殻に密着するのは紙袋姫だった。
荒い呼吸で消耗しているのが分かるが、サポートに来てくれたらしい。
ヒュージセンチピードが動き出す前に蔦で掴まっていたのだろう。
拘束が解けた時点で力尽きたのかと思いきや、まだなんとか動けるようだ。
この状況で味方がいるのは非常に助かる。
孤軍奮闘には限度があった。
一休みすることすらままならず、気力で踏ん張っている始末だ。
紙袋姫はさっそく移動の補助を始めた。
蔦を伸ばして互いの体を密着させると、そのうち何本かを束にして外殻に突き刺す。
慢性的に爪にかかっていた負荷が途端に軽くなった。
身体を支える役割を蔦が代わってくれたからだ。
これならばさらに動きやすくなり、モンスターの迎撃にも対応しやすくなるだろう。
紙袋姫に礼を言いつつ、二人で移動を再開した。
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