4 / 8
離れていても、ずっと君を愛し続ける。(4)
しおりを挟む
だが、やがて決心したように口を開いた。
「こんなことを言って、怒らないで聞いてくれるかしら。わたし、ずっと考えていたことがあるの。もしも、許されるのならば、わたしはこのままあなたと暮らしたいと思っている。あなたはどう思う?」
「もちろんだよ。ぼくもそのつもりでここに来た」
「でも、そうしたら、あなたはきっと後悔することになると思うわ」
ぼくの答えを聞いた彼女は、悲しそうに微笑んだ。
「そんなことはないさ」
「いいえ、きっとそうなるわ。だって、あなたはまだ若いもの。この先、どんな素敵な女性に出逢うかもしれない。そして、その人たちと恋に落ちることになるはずよ。その時になって、わたしのせいで傷つくようなことになったら申し訳ないじゃない」
「そんなことにはならないさ。ぼくの心の中には、いつも君がいるんだから。それに、ぼくは今まで一度も恋をしたことがないんだよ。君以外の人に心を奪われたことなど一度としてなかった。だから、心配はいらないよ」
「本当?」
彼女は上目遣いに訊いてきた。
「ああ、本当だとも」
「そう……。わかったわ。じゃあ、これからどうするか決めましょう。どうせ、このままではお互い前に進めないんですから」
彼女はようやく笑ってくれた。ぼくは嬉しかった。
「ありがとう。そう言ってくれて」
「いいのよ。でも、わたしのほうこそお礼を言わなくちゃね。あんな想いのこもった手紙をもらったのは初めてだったから、とても驚いたけど、おかげで目が覚めたわ。本当の愛って何なのかを、やっと思い出すことができた気がするの」
「本当の愛?」
「ええ、愛というのは見返りを求めてはいけないものだってことがよくわかったの。あなたがわたしのことをどれだけ想っていてくれても、それだけで充分すぎるくらい幸せなんだっていうことに気がついた。だから、もうわたしは迷わない。たとえ、この先にどんな辛いことがあったとしても、あなたを信じて生きていくことにするわ」
「うん、それでいいんだよ」
「わたしたちの結婚は許されないでしょう。だけど、それでも構わない。世間から後ろ指さされる関係になったとしても、わたしたちはお互いに支え合って生きていきましょうね」
「そうだね」
ぼくは彼女を引き寄せると、優しくキスをした。
ぼくは、彼女のためにすべてを捧げようと思った。彼女のためなら、ぼくは何を犠牲にしてもかまわない。そして、これから先の人生を彼女と共に歩んでいくのだ。
「こんなことを言って、怒らないで聞いてくれるかしら。わたし、ずっと考えていたことがあるの。もしも、許されるのならば、わたしはこのままあなたと暮らしたいと思っている。あなたはどう思う?」
「もちろんだよ。ぼくもそのつもりでここに来た」
「でも、そうしたら、あなたはきっと後悔することになると思うわ」
ぼくの答えを聞いた彼女は、悲しそうに微笑んだ。
「そんなことはないさ」
「いいえ、きっとそうなるわ。だって、あなたはまだ若いもの。この先、どんな素敵な女性に出逢うかもしれない。そして、その人たちと恋に落ちることになるはずよ。その時になって、わたしのせいで傷つくようなことになったら申し訳ないじゃない」
「そんなことにはならないさ。ぼくの心の中には、いつも君がいるんだから。それに、ぼくは今まで一度も恋をしたことがないんだよ。君以外の人に心を奪われたことなど一度としてなかった。だから、心配はいらないよ」
「本当?」
彼女は上目遣いに訊いてきた。
「ああ、本当だとも」
「そう……。わかったわ。じゃあ、これからどうするか決めましょう。どうせ、このままではお互い前に進めないんですから」
彼女はようやく笑ってくれた。ぼくは嬉しかった。
「ありがとう。そう言ってくれて」
「いいのよ。でも、わたしのほうこそお礼を言わなくちゃね。あんな想いのこもった手紙をもらったのは初めてだったから、とても驚いたけど、おかげで目が覚めたわ。本当の愛って何なのかを、やっと思い出すことができた気がするの」
「本当の愛?」
「ええ、愛というのは見返りを求めてはいけないものだってことがよくわかったの。あなたがわたしのことをどれだけ想っていてくれても、それだけで充分すぎるくらい幸せなんだっていうことに気がついた。だから、もうわたしは迷わない。たとえ、この先にどんな辛いことがあったとしても、あなたを信じて生きていくことにするわ」
「うん、それでいいんだよ」
「わたしたちの結婚は許されないでしょう。だけど、それでも構わない。世間から後ろ指さされる関係になったとしても、わたしたちはお互いに支え合って生きていきましょうね」
「そうだね」
ぼくは彼女を引き寄せると、優しくキスをした。
ぼくは、彼女のためにすべてを捧げようと思った。彼女のためなら、ぼくは何を犠牲にしてもかまわない。そして、これから先の人生を彼女と共に歩んでいくのだ。
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
後悔などありません。あなたのことは愛していないので。
あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」
婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。
理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。
証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。
初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。
だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。
静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。
「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる