君を愛するつもりはないと言われた私は、鬼嫁になることにした

せいめ

文字の大きさ
上 下
25 / 125

カフェで金儲け

しおりを挟む
 先日、念願のカフェをオープンさせた私。

 情報ギルドで、色々なタイプのイケメンの募集して、社員教育を徹底し、接客態度やマナーなどを完璧にさせた。
 
 お客様のターゲットは、金も時間もある富裕層のマダムに決めた!広めの半個室にして、ソファーもテーブルも匠のこだわりの物を置き、お得意様だけの完全個室もある。
 テーブルごとに担当スタッフを指名出来るようにして、人気の出たスタッフには、ボーナスをあげようと思う。前世のホストクラブの要素をすこーしだけ入れたカフェだ。お客様が夢を見れるようにね。

 スタッフの制服も品良く、カッコよく見えるデザインをデザイナーと相談して決めた。

 食べ物と飲み物は、前世の知識を少しだけ入れた物を出すことにした。本当に少しだけ。あまりにも見慣れない食べ物や食べ方にしちゃうと、すぐに受け入れてもらえないだろうからね。
 スイーツを甘さ控えめにしたり、普通の紅茶が一般的だったのを、ドライフルーツや花びらを入れてフレーバーティーにするとかそれくらいのことだ。

 そのカフェがマダム達の評判になり、王妃殿下がお忍びで来られたりして、すぐに社交界で有名になる。
 そして、あっという間に予約の取れない人気店になってしまったのだ。

 調子に乗った私は、若者向けに可愛い女の子を揃えた異世界版メイド喫茶をオープンさせた。その店も人気店になり、私は順調に個人資産を増やすことに成功している。
 これなら離縁しても、1人で何とかやっていけるかな。離縁後に住む家も欲しくなってきたし、引き続き金儲けは頑張ろう。

 しかし私個人でやっているつもりでも、世間からしたら、ロジャース伯爵夫人がやっているから、ロジャース伯爵家が潤っているように見えるらしい。

 ロジャース伯爵家は全く関係ないのに。この国では、領地経営の収入は家のものになるが、個人でやる事業は個人の物になるみたいだから。それなのに、ロジャース伯爵家が潤っていると勘違いして、伯爵様にまで媚を売る人が続出しているようなのだ。

 私達の結婚は、私が強く望んで結ばれた結婚だというのが世間での共通認識だ。間違いはないのだけどね…、あの時は好きだったから。
 金持ちの小娘が、金を積んで強引に結婚したから、伯爵様は夫人を愛してないのかも…。じゃあ、第二夫人狙っちゃう?伯爵様を落とせば、伯爵様を愛している小娘は強くは言えないだろうから…と、そんな考えの女狐もチラホラ現れているらしいとギルから教えられた。
 正直、勝手にすればいいと思っている。また第二夫人候補が現れたら、喜んで身を引く予定でいるし。
 ふふっ、次はどんな女が現れるのかしら…。


 カフェ経営などで忙しい日々を送っていると、家庭内別居状態の伯爵様が私の執務室にやって来たようだ。
 何の用?

「エレノア…、忙しいところすまないな。」

 話を直接するのは、王妃殿下の夜会以来だったかな。

「いえ。何か御用でしょうか?」

 一瞬、表情が曇ったような気がする。何か言いにくいこと?

「今度、友人の侯爵家で夜会がある。友人やその奥方達がエレノアに会いたがっているようだから、ぜひエレノアを連れて来て欲しいと頼まれた。
 一緒に行ってくれないか…?」

 伯爵様の友人?私は会いたくないんだけど。

 どうせ会っても、早く跡取りをとか言われるんでしょ。梅・梅って五月蝿く言われそうでヤダ!
 新婚生活の話を聞かれたとしても、家庭内別居の話は出来ないし、ご夫人方は私の店が流行っていて予約がとれないから、何とかして欲しいとか頼まれそうだよね。
 何で結婚詐欺師の友人方のご機嫌取りに行かなければならないのか。
 伯爵様の仲良し友人は私の敵…。

 鬼嫁としてハッキリ言わせてもらおうか。

「それは絶対に行かなければならない夜会なのでしょうか?
 王族主催の夜会と茶会は仕方がありませんが、それ以外のものは2人一緒での参加は、出来ればご遠慮したいと思っています。お飾りの妻にそこまで求められるのは困りますわ。」

「私はエレノアをお飾りの妻などと思ってない……。
 付き合いの長い友人が主催する夜会だから、私は参加したいと思っている。私が行くのにエレノアが行かないと、何を噂されるかわからないから、一緒に参加してほしい。」

 …なら行くなよ、と言いたい。

 いずれ離縁する予定でも、今から不仲なのを噂されたくはない気持ちはあるけどね。白い結婚が認められるまで、あと一年半はあるし。
 でもなぁ、いくら旦那でも、この人と参加するのは疲れるんだよね。

「……では少しだけ。ダンスは一曲だけにして、私と伯爵様のご友人方との付き合いは、最低限にさせて下さい。」

「……分かった。」


 あー、行きたくない。適当にやってさっさと帰って来よう。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな
恋愛
 子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。 公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。  クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。  クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。 「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」 「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」 「ファンティーヌが」 「ファンティーヌが」  だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。 「私のことはお気になさらず」

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

不遇な王妃は国王の愛を望まない

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。 ※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷 ※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

処理中です...