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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
辺境伯領での夜会 2
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辺境伯領の夜会で、何か美味しい物でも食べようと思ったのに…
「ちょっとアンタ!死んだんじゃなかったの?」
えっ?私に言ってる?声を掛けて来た人を見ると、アラフォーかな?くすんだピンクのパサついた髪に、ピンクの瞳の、昔は可愛かったかもしれないマダム?がいた。古めのド派手なドレスを着て、多分酔っているよね。お酒臭いし、目が据わってるもん。もしかして、おば様が絡んで来ると言っていた男爵夫人かな?フィークス卿を見ると、黙って頷く。へぇ、このマダムね。とりあえず、黙って話を聞いてみる?
「私はねぇ、本当は王家か、公爵家とかの高位の貴族と結婚するはずだったのよぉ!それなのに、アンタのせいでぇ、田舎のビンボー男爵のぉ、オヤジの後妻に無理やり嫁がされたのぉ!このかわいい私が!この気持ちがぁ、アンタに分かる?ひっく。」
酔っ払いマダム、声がデカいから皆んなに注目されている。ん?よく見ると、マダムの少し後ろに、レジーナやおじ様・おば様がいるわね。えっ?泳がせろって言ってる?はいはい、もう少し喋らせますよ。
「アンタなんてぇ、婚約者に全く相手にされて無かったくせにぃ。身分が高いからってぇ、ずるいのよぉ。あの後に、死んだって聞いてぇ、清々したと思っていたのにぃー!ちょっとぉ、何とか言ったらどうなのよぉ?」
マダムは私に向かって来る。フィークス卿は前に出ようとするが、ストップをかけておく。ワザとやられるのが、一番手っ取り早いからね。
酔っ払いマダムの大したことない力で、肩をドンと押される。私はか弱いフリをして、ワザと倒れ、床に横座りの状態になる私。これでいいかしら?おば様からオッケーが出ているわね。よし、悲劇のヒロインになりきるわよ!
「ひどいわ!どうして、こんな事をなさるの?」
涙は出てこないけど、泣きそうな声?で言ってみた。
おじ様やおば様が、こっちに向かって歩いて来る。よし、これでいいのね。しかし、その時だった。
「これは何をしているんだ!」
横から凄まじい殺気を漂わせてやって来たのは…、なんと公爵閣下だった。いや、貴方はお呼びでないから。しかも、かなり怖いから。
「大丈夫か?こんなよく分からない女に絡まれて、怖かっただろう。」
そう言って、床に座り込んだままの私の手を引き、立ち上がらせてくれる。恐ろしすぎる公爵閣下にビクビクしながら、お礼を伝えるが…
「顔色が悪いな。こんなに怯えて、かわいそうに。もう、怖くないぞ。」
そう言って、私を抱き寄せる公爵閣下。ひぃー!貴方が怖すぎなんだって!顔から血の気が引く私。
「この女を捕らえろ!王族に手を出すなんて、反逆罪だ!」
側近の騎士達が、マダムを捕らえる。
「レオ様!私です。貴族学園で一緒だった、エイミー・ケールです。今はエイミー・ホールですわぁ。」
なんと!公爵閣下の同級生だったらしい。っていうか、そろそろ離してよ!さり気なく、公爵閣下の胸を押して離れようとするが、ガッチリと抱き締められて、抜け出せない。レジーナ達に助けてと視線を送るが。こら!目が笑ってるな!ん?もう少し我慢してって言ってるの?おば様まで。
「エイミー・ケールだって?あの貴族学園時代の迷惑女か!お前のせいで、私は……。」
「ひっく。どうして、レオ様はそんな女を庇うのですかぁ?嫌っていたし、婚約も望んでいなかったじゃないですかぁ。ひっく。」
「誰が嫌っていただって?婚約も私自身が望んだものだ!」
更に殺気立つ公爵閣下。
「おい!今すぐ王宮に早馬を飛ばせ。エイミー・ケール元男爵令嬢が、フォーレス侯爵令嬢に危害を加えたと、王太子殿下に報告して、処分はどうするか指示を仰げ。それとマディソン卿に、お前の生温い処分のせいだと伝えてこい。」
何か大袈裟になってない?
早く離してー!
「辺境伯閣下、この女の処分がハッキリするまで、牢に入れておいてもよろしいか?」
「勿論です。処分はそちらにお任せします。」
「それと、ホール男爵夫人とは、親族の縁を切らせていただく。今後、一切関わらないでくれ。」
縁切りしたかったのね。ホール男爵夫人は騎士達に連行されて行った。とりあえず、これで終わりだよね?そろそろ本気で離して欲しいが…
「ずっとこんな風に、つらい思いをさせてしまっていたのだな。私が、あの迷惑女を野放しにしたばかりに。今更、謝って許されることではないが…。本当にすまなかった。あの頃に、君に酷い態度をとった事をずっと後悔している。全部私のせいだ。私のせいで君は……。」
私を抱きしめたまま、懺悔してるの?何なの!誰かと勘違いしてない?ますます、意味が分からなくて、死にそうになる私。その時、
「シールド公爵閣下!そちらは、フォーレス侯爵令嬢ですわ。貴方が幸せに出来なかった、元婚約者の令嬢とは別人です。フォーレス侯爵令嬢が戸惑っていますので、そろそろ離してあげて下さいませんか?」
冷静な声が聞こえてくる。公爵閣下もハッとして、離してくれた。ふぅー。やっと解放されたわ!声の主を見ると、レジーナによく似た長身の美人さんがいる。オ○カルみたいな美形の奥様だわ!かっこいい!
「フィークス卿、フォーレス侯爵令嬢はとてもお疲れの様ですから、別室で休ませてあげなさい。後で、スイーツや飲み物を運ばせるから、待っててね。」
初対面の私に、優しく微笑んでくれる奥様。なんだか、ほっとして涙が。人前で泣くなんてみっともないから、堪えないと。
「ありがとうございます。失礼致します。」
そのままフィークス卿に別室に案内される私。今日の夜会は思った以上だったわね。私は人間観察がしたかっただけなのに、なぜ巻き込まれるのか?はぁー、疲れたわ。
あの酔っ払い男爵夫人も公爵閣下も、ある意味で怖いわね。
「マリーベル嬢、大丈夫か?」
「はい。あまりに意味が分からなすぎて、疲れました。」
涙が出てくる。もうすぐ帰るから、楽しく過ごしたかったのに。すると、フィークス卿が頭をポンポンしてくれる。それをされたら、余計に涙が…
「頑張ったよな。」
フィークス卿は、優しく私を抱きしめてくれた。何だか安心するわー。
少しすると、私が好きなサンドイッチやケーキ、ミルクティーが運ばれてくる。どれも美味しそうだわ。沢山あったので、フィークス卿と2人で美味しく頂いた。
次の日、昨日私に絡んで来た娼婦のような男爵令嬢は、辺境伯家の夜会に、今後は出入り禁止にしたと聞いた。元々、評判が悪い令嬢だったから、排除してくれてありがとねーと、おば様に言われた。
ピンクの酔っ払い男爵夫人は、かなりの遠縁らしい。嫁いで来た時から、トラブルメーカーだったらしく、ずっと縁切りしたかったらしい。だから泣く子も黙る公爵閣下が出て来て、大袈裟に捕まえてくれて助かったと言っていた。だから、あなた達は傍観者になっていたのか!こっちは、訳分からなくて涙を流したと言うのに!
「マリー、本当にごめんね!でも、私達もあの後、大変だったのよ。昨日、公爵閣下にマリーを離すようにハッキリと言ってくれた人、覚えている?あの人はお父様の妹の、ローズおば様って言うんだけどね。あの後、3人でローズおば様からお説教よ。公爵に抱きしめられている理由も分からず、怯えて真っ青な顔をしているのに、助けてあげないなんて、可哀想だわって。ホール男爵夫人は、昔から大嫌いで消えてくれて嬉しいけど、マリーに囮をやらせるなんて、酷すぎるって。ねぇ、お父様?」
「ああ、マリーには本当に迷惑をかけて、申し訳なかったね。でもそのおかげで、これからのうちの夜会は平和になりそうだ。ローズは、昔から怒ると恐ろしいからな。まさか、公爵に向かってあそこまで言うとは…。親友のスペンサー嬢にそっくりのマリーを、放っておけなかったのだろうな。」
「マリーは可愛いから、ローズちゃんも助けたくなっちゃったのよ。そう言えば、今度来る時は、お茶をご一緒したいと言っていたわ。だから、また来るのよ。次の夜会は、きっと平和で楽しい夜会にするからね。」
昨日のオス○ルみたいな、長身の美人は、レジーナのおば様だったのね。似ていると思ったけど。でも、助けてくれて、嬉しかったな。
「ええ、また来ますわ。ここは第二の故郷ですから。そのローズ様にもよろしくお伝えください。助けてくれて嬉しかったと。」
「ローズちゃんも喜ぶわね。」
そして次の日、私はフォーレス侯爵領に旅立つのであった。
疲れている私を見た、セバスチャンは、慌ててお医者を呼んでいた。相変わらず過保護だわ。セバスチャンも変わらず元気で良かった。
フォーレス侯爵領でのんびり過ごし、新学期になる少し前に王都に戻る私だった。
「ちょっとアンタ!死んだんじゃなかったの?」
えっ?私に言ってる?声を掛けて来た人を見ると、アラフォーかな?くすんだピンクのパサついた髪に、ピンクの瞳の、昔は可愛かったかもしれないマダム?がいた。古めのド派手なドレスを着て、多分酔っているよね。お酒臭いし、目が据わってるもん。もしかして、おば様が絡んで来ると言っていた男爵夫人かな?フィークス卿を見ると、黙って頷く。へぇ、このマダムね。とりあえず、黙って話を聞いてみる?
「私はねぇ、本当は王家か、公爵家とかの高位の貴族と結婚するはずだったのよぉ!それなのに、アンタのせいでぇ、田舎のビンボー男爵のぉ、オヤジの後妻に無理やり嫁がされたのぉ!このかわいい私が!この気持ちがぁ、アンタに分かる?ひっく。」
酔っ払いマダム、声がデカいから皆んなに注目されている。ん?よく見ると、マダムの少し後ろに、レジーナやおじ様・おば様がいるわね。えっ?泳がせろって言ってる?はいはい、もう少し喋らせますよ。
「アンタなんてぇ、婚約者に全く相手にされて無かったくせにぃ。身分が高いからってぇ、ずるいのよぉ。あの後に、死んだって聞いてぇ、清々したと思っていたのにぃー!ちょっとぉ、何とか言ったらどうなのよぉ?」
マダムは私に向かって来る。フィークス卿は前に出ようとするが、ストップをかけておく。ワザとやられるのが、一番手っ取り早いからね。
酔っ払いマダムの大したことない力で、肩をドンと押される。私はか弱いフリをして、ワザと倒れ、床に横座りの状態になる私。これでいいかしら?おば様からオッケーが出ているわね。よし、悲劇のヒロインになりきるわよ!
「ひどいわ!どうして、こんな事をなさるの?」
涙は出てこないけど、泣きそうな声?で言ってみた。
おじ様やおば様が、こっちに向かって歩いて来る。よし、これでいいのね。しかし、その時だった。
「これは何をしているんだ!」
横から凄まじい殺気を漂わせてやって来たのは…、なんと公爵閣下だった。いや、貴方はお呼びでないから。しかも、かなり怖いから。
「大丈夫か?こんなよく分からない女に絡まれて、怖かっただろう。」
そう言って、床に座り込んだままの私の手を引き、立ち上がらせてくれる。恐ろしすぎる公爵閣下にビクビクしながら、お礼を伝えるが…
「顔色が悪いな。こんなに怯えて、かわいそうに。もう、怖くないぞ。」
そう言って、私を抱き寄せる公爵閣下。ひぃー!貴方が怖すぎなんだって!顔から血の気が引く私。
「この女を捕らえろ!王族に手を出すなんて、反逆罪だ!」
側近の騎士達が、マダムを捕らえる。
「レオ様!私です。貴族学園で一緒だった、エイミー・ケールです。今はエイミー・ホールですわぁ。」
なんと!公爵閣下の同級生だったらしい。っていうか、そろそろ離してよ!さり気なく、公爵閣下の胸を押して離れようとするが、ガッチリと抱き締められて、抜け出せない。レジーナ達に助けてと視線を送るが。こら!目が笑ってるな!ん?もう少し我慢してって言ってるの?おば様まで。
「エイミー・ケールだって?あの貴族学園時代の迷惑女か!お前のせいで、私は……。」
「ひっく。どうして、レオ様はそんな女を庇うのですかぁ?嫌っていたし、婚約も望んでいなかったじゃないですかぁ。ひっく。」
「誰が嫌っていただって?婚約も私自身が望んだものだ!」
更に殺気立つ公爵閣下。
「おい!今すぐ王宮に早馬を飛ばせ。エイミー・ケール元男爵令嬢が、フォーレス侯爵令嬢に危害を加えたと、王太子殿下に報告して、処分はどうするか指示を仰げ。それとマディソン卿に、お前の生温い処分のせいだと伝えてこい。」
何か大袈裟になってない?
早く離してー!
「辺境伯閣下、この女の処分がハッキリするまで、牢に入れておいてもよろしいか?」
「勿論です。処分はそちらにお任せします。」
「それと、ホール男爵夫人とは、親族の縁を切らせていただく。今後、一切関わらないでくれ。」
縁切りしたかったのね。ホール男爵夫人は騎士達に連行されて行った。とりあえず、これで終わりだよね?そろそろ本気で離して欲しいが…
「ずっとこんな風に、つらい思いをさせてしまっていたのだな。私が、あの迷惑女を野放しにしたばかりに。今更、謝って許されることではないが…。本当にすまなかった。あの頃に、君に酷い態度をとった事をずっと後悔している。全部私のせいだ。私のせいで君は……。」
私を抱きしめたまま、懺悔してるの?何なの!誰かと勘違いしてない?ますます、意味が分からなくて、死にそうになる私。その時、
「シールド公爵閣下!そちらは、フォーレス侯爵令嬢ですわ。貴方が幸せに出来なかった、元婚約者の令嬢とは別人です。フォーレス侯爵令嬢が戸惑っていますので、そろそろ離してあげて下さいませんか?」
冷静な声が聞こえてくる。公爵閣下もハッとして、離してくれた。ふぅー。やっと解放されたわ!声の主を見ると、レジーナによく似た長身の美人さんがいる。オ○カルみたいな美形の奥様だわ!かっこいい!
「フィークス卿、フォーレス侯爵令嬢はとてもお疲れの様ですから、別室で休ませてあげなさい。後で、スイーツや飲み物を運ばせるから、待っててね。」
初対面の私に、優しく微笑んでくれる奥様。なんだか、ほっとして涙が。人前で泣くなんてみっともないから、堪えないと。
「ありがとうございます。失礼致します。」
そのままフィークス卿に別室に案内される私。今日の夜会は思った以上だったわね。私は人間観察がしたかっただけなのに、なぜ巻き込まれるのか?はぁー、疲れたわ。
あの酔っ払い男爵夫人も公爵閣下も、ある意味で怖いわね。
「マリーベル嬢、大丈夫か?」
「はい。あまりに意味が分からなすぎて、疲れました。」
涙が出てくる。もうすぐ帰るから、楽しく過ごしたかったのに。すると、フィークス卿が頭をポンポンしてくれる。それをされたら、余計に涙が…
「頑張ったよな。」
フィークス卿は、優しく私を抱きしめてくれた。何だか安心するわー。
少しすると、私が好きなサンドイッチやケーキ、ミルクティーが運ばれてくる。どれも美味しそうだわ。沢山あったので、フィークス卿と2人で美味しく頂いた。
次の日、昨日私に絡んで来た娼婦のような男爵令嬢は、辺境伯家の夜会に、今後は出入り禁止にしたと聞いた。元々、評判が悪い令嬢だったから、排除してくれてありがとねーと、おば様に言われた。
ピンクの酔っ払い男爵夫人は、かなりの遠縁らしい。嫁いで来た時から、トラブルメーカーだったらしく、ずっと縁切りしたかったらしい。だから泣く子も黙る公爵閣下が出て来て、大袈裟に捕まえてくれて助かったと言っていた。だから、あなた達は傍観者になっていたのか!こっちは、訳分からなくて涙を流したと言うのに!
「マリー、本当にごめんね!でも、私達もあの後、大変だったのよ。昨日、公爵閣下にマリーを離すようにハッキリと言ってくれた人、覚えている?あの人はお父様の妹の、ローズおば様って言うんだけどね。あの後、3人でローズおば様からお説教よ。公爵に抱きしめられている理由も分からず、怯えて真っ青な顔をしているのに、助けてあげないなんて、可哀想だわって。ホール男爵夫人は、昔から大嫌いで消えてくれて嬉しいけど、マリーに囮をやらせるなんて、酷すぎるって。ねぇ、お父様?」
「ああ、マリーには本当に迷惑をかけて、申し訳なかったね。でもそのおかげで、これからのうちの夜会は平和になりそうだ。ローズは、昔から怒ると恐ろしいからな。まさか、公爵に向かってあそこまで言うとは…。親友のスペンサー嬢にそっくりのマリーを、放っておけなかったのだろうな。」
「マリーは可愛いから、ローズちゃんも助けたくなっちゃったのよ。そう言えば、今度来る時は、お茶をご一緒したいと言っていたわ。だから、また来るのよ。次の夜会は、きっと平和で楽しい夜会にするからね。」
昨日のオス○ルみたいな、長身の美人は、レジーナのおば様だったのね。似ていると思ったけど。でも、助けてくれて、嬉しかったな。
「ええ、また来ますわ。ここは第二の故郷ですから。そのローズ様にもよろしくお伝えください。助けてくれて嬉しかったと。」
「ローズちゃんも喜ぶわね。」
そして次の日、私はフォーレス侯爵領に旅立つのであった。
疲れている私を見た、セバスチャンは、慌ててお医者を呼んでいた。相変わらず過保護だわ。セバスチャンも変わらず元気で良かった。
フォーレス侯爵領でのんびり過ごし、新学期になる少し前に王都に戻る私だった。
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