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しおりを挟む「なんだ?!」
「なんだとは随分な物いいですわね?お父様」
「リリー?!」
鍵が壊されたドアから入ってきたのはクラウスとリリーだった
その後ろにはさらにブラッドとシェイド公爵の姿もちらりと見えた
「国王とあろうお方が…はぁ…自分の父親が犯罪者になるなんて思いもしなかったわ」
「リリー!これはどういうことだ!」
「どういうことも…今お父様は犯罪者でしてよ?罪なき淑女に手を出すなんて」
リリーは父親である国王を軽蔑した目で見下していた
メルージュは助けが来たことでほっとしたのかその場に座り込んだ
すかさずクラウスがやってきて着ていたブレザーをかぶせてくれた
「ありがとうクラウス」
「遅くなってすまなかった。リリー殿下を呼ぶのに時間がかかってしまって…」
「いいの。助けに来てくれてありがとう」
安心したメルージュはそっとクラウスに寄り掛かった
「ええい!離せ!私は国王だぞ!イライザは、イライザはどこだ?!」
「国王?笑わせないで、あなたは今この瞬間から罪人よ?…イライザも拘束していますわ。仲良く牢にぶち込んであげますわ」
衛兵に押さえつけられた国王はリリーに対して喚き散らしていた
同じく衛兵に拘束されているイライザが連れてこられた
「お兄様?!どういうことですの?!」
「そんなもの私が聞きたい!」
兄妹そろって喚き散らすその姿は無様だった
リリーはそんな2人を見てため息をついた
「国王ならびにラランド侯爵夫人、未成年への監禁、及び暴行未遂で拘束いたします」
ーーー
あれから数ヶ月後
本日はリリーの戴冠式と王位即位を祝うパーティーが開かれる
準備を終えたクラウスとメルージュはリリーに呼ばれ王城に来ていた
「待ってたわ2人とも」
「お待たせしました」
「いいのよ。そこに座って」
18歳を迎えたリリーは前国王である父が急逝し、その若さで王位を継ぐ事になった
と、周囲にはそう発表している
「こんな時に話すことでもないけれど、つい先日あの2人の刑が執行されたわ」
「そう、ですか。」
「話さないほうがよいかしら?」
「いいえ。全てお聞かせください」
少し重い空気の中リリーは話し始めた
リリーの父である国王は横領に加え政務の放棄、実の妹への性的虐待から退位を余儀なくされた
最後まで喚き散らしていた元国王は呆気なく死刑判決が下ったがリリーはそれを許さなかった
死で簡単に楽にさせるつもりなどなかったのだ
表向きでは国王は病で急逝とされた
真実は身分剥奪のもと鉱山での強制労働
国内で最も過酷と言われるその現場に肥え太った元国王が耐えられるはずもなく1ヶ月後に落石で即死したと報せが届いた
そしてイライザは国王からの性的虐待はあったが本人がそれを利用し国政を傾けさせたこと、そして今は亡きラランド侯爵夫人の殺害、未成年への監禁、虐待を理由に同じく死刑判決が下ったがこちらも国が運営する娼館の下っ端として働かされることが決まった
高級娼婦と違い下っ端娼婦は常に客引きをさせられ心身共に疲弊しやすい環境下にある
今まで王妹としてチヤホヤされてきたイライザは2ヶ月も経たないうちに娼館の中で自ら首を吊っていたと報告があった
イライザと国王の娘であるエマの処遇は難航を示した
特別大きな罪を犯しているわけでもなく、むしろ被害者でもあるエマではあったが、メルージュに対する態度や、次期国王であるリリーに対する不敬から国内一厳しいと言われる修道院へ入ることが決まった
「以上、3名の処遇ね。エマ以外は自業自得という言葉があってるわ」
「私は母の仇をとれて清々しい気持ちですが、リリー殿下へのご負担が大きくなり申し訳ない気持ちです」
「それなら心配無用よ。私たちも目の上のタンコブがとれて随分と楽になったわ。まだまだ王妃や公爵たちから手を借りることがあるとは思うけれど、あの父親よりはましな政治をするつもりよ」
クスクス笑うリリーにつられてメルージュもクスッと笑う
もしかしたら母はこんな形での復讐は願っていなかったかもしれない
だがメルージュはそれでもよかった
結局は母の仇と、いいつつ自分自身が納得したいがために周りを巻き込んでしまっていたのかもしれない
それでも今の気持ちは晴れやかであるし、煩わしい存在がなくなったことは嬉しかった
「お母様。安らかにお眠りくださいね」
メルージュはそっと目を閉じた
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