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シローネとクローネの町
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「それで、依頼というのは?」
「うむ。実はここ、フィラデルフィアの北側、浜辺沿いに進んでいくと、シローネとクローネという
二つの町が橋を挟んで存在するように造られている。そこから多くの学生がフィラデルフィアへ
毎年訪れて入学しておるのだが……」
「そのギルドへ先ほどの話を持っていけばいいの?」
「まぁ待ちなさい。それだけで全員入学させる資金を工面してやるわけにはいかんだろう?
この二つの町に最近よからぬ集団がいるようでな。
それを調査してきてほしい。もし手に負えない程の相手であれば、ここへ立ち戻り、娘に報告
してくれ。私兵を出す手筈を整える」
「父上。それなら僕もついて行き、必要とあらばのろしを上げて応援を呼びます。
いかがですか?」
「お前は大学で授業があるだろう?」
「もう本年分は全て済ませました。大学では殆ど稽古をしております」
「ううむ。ならば許可しよう。お前も見分を広める時期に来ているのかもしれんしな。
では改めて諸君、よろしく頼む」
「拝命しました! 俺たちに任せてください。新しい町、楽しみだぁーい!」
「あんたね……簡単に言うけどそんな簡単な仕事じゃないと思うわよ?」
「でも、入学資金免除ですよ!? しかも入学試験とかないんじゃないですか?」
「ああ、試験は人格として足りているかかどうかを判断するものが殆どだ。こちらで免除申請は出してやる。
おっとついでにもう一つ。ここと違ってシローネ、クローネは魔族との取引も盛んだ。
取引するなら珍しいものを持っていくといいぞ」
「そうでした! ご主人、あれをジェイフ卿に献上しましょう!」
「そうだった! 直ぐに渡すね」
「うん? 何かくれるってのかい?」
「つまらぬものですよ。俺からのほんの気持ちです」
ご主人に渡しておいたペーパーナイフ。一応ナイフなので直接ジェイフ卿に渡すのではなく、ヨナさん
経由で渡しました。
「ほう……これはショートソードか? いや、それにしては短いし、刃もついてねえ。
精工な作りだな。細工も細かい。暗器にしても少々扱いにくそうだが……これは一体なんだ?」
「ペーパーナイフという代物ですよ。紙に折り目をつけて、それを挟み込み切ると、綺麗に切れます」
「随分と珍しい物だが、本当にもらってもいいのか?」
「ええ。俺たちにはガラク……必要なくなったものなので」
「ううむ、こいつは他の貴族が欲しがりそうな一品だぜ。今回は頂いておくか。
もしまた面白い物が合ったら持ってきてくれ。他の貴族に流して利益をお前たちにやろう。
ここでは戦いに使えるものが一番だがな。ガッハッハッハ!」
「さすがは辺境伯。武器や防具は大学で造るんですよね? それなら……町を守るようなものとか?」
「何? お前さん、そんな方法知ってるのか?」
「うーん。俺は土木工事屋さんじゃないのでそこまでは知らないですけどね。
ああでも、美味しいパン屋があったら彼らの仕事もはかどるんだろうなぁ……」
「ほう……随分と気になる話を沢山持ってるようだが……この召喚獣、譲ってくれんか?」
「それは絶対ダメです! あれ? 召喚獣って譲れるの?」
「ふふふ。父上にからかわれてるだけだよ。基本的には召喚獣の譲渡は出来ないからね。
契約主が死んだりしたら、話は別だけど」
「喋るウルフには憧れたもんだ。だからどうしても欲しいが、こいつは俺には懐かんようだしな。
言ってみただけだ。少しショートの村周辺を探してみるってのもいいのかもしれんが、忙しくてな」
「父上、召喚の事について彼女たちに詳しく話しても?」
「ああ、構わんよ。ジェイフ家は代々召喚の家系だ。お前の友なら存分に夜を語明かすがいい。
では仕事に戻る。今夜はここでゆっくりしていきなさい」
おお、辺境伯邸にお泊り!? これはいい記念になりそうです。
ふかふかベッドとかあるのかなー。それにしても召喚獣の家系……気になりますね。
メイドさんぽい人にお部屋まで案内された俺たちは、旅の疲れをいや……あれ、誰かいる?
「来たかのぅ。魔術招来、タンドリースネーク、メキチカ!」
「フシュールルルル!」
突然巨大な茶色いヘビを招来した!?
何だこの老人! しかもタンドリーチキンアンドメキシカンピラフみたいな呼び出し方でした!
ちょっと美味しそうです。
「ここで終わるサ?」
「うんうん、そうよね続き気になるわよね」
「お爺さんが気になるサ。でも早く寝たいサ」
「私も同じよ。それにしても大学費用免除はありがたいわぁ……」
「サルサもシロンと同じくらい悪い顔するサ……」
「うむ。実はここ、フィラデルフィアの北側、浜辺沿いに進んでいくと、シローネとクローネという
二つの町が橋を挟んで存在するように造られている。そこから多くの学生がフィラデルフィアへ
毎年訪れて入学しておるのだが……」
「そのギルドへ先ほどの話を持っていけばいいの?」
「まぁ待ちなさい。それだけで全員入学させる資金を工面してやるわけにはいかんだろう?
この二つの町に最近よからぬ集団がいるようでな。
それを調査してきてほしい。もし手に負えない程の相手であれば、ここへ立ち戻り、娘に報告
してくれ。私兵を出す手筈を整える」
「父上。それなら僕もついて行き、必要とあらばのろしを上げて応援を呼びます。
いかがですか?」
「お前は大学で授業があるだろう?」
「もう本年分は全て済ませました。大学では殆ど稽古をしております」
「ううむ。ならば許可しよう。お前も見分を広める時期に来ているのかもしれんしな。
では改めて諸君、よろしく頼む」
「拝命しました! 俺たちに任せてください。新しい町、楽しみだぁーい!」
「あんたね……簡単に言うけどそんな簡単な仕事じゃないと思うわよ?」
「でも、入学資金免除ですよ!? しかも入学試験とかないんじゃないですか?」
「ああ、試験は人格として足りているかかどうかを判断するものが殆どだ。こちらで免除申請は出してやる。
おっとついでにもう一つ。ここと違ってシローネ、クローネは魔族との取引も盛んだ。
取引するなら珍しいものを持っていくといいぞ」
「そうでした! ご主人、あれをジェイフ卿に献上しましょう!」
「そうだった! 直ぐに渡すね」
「うん? 何かくれるってのかい?」
「つまらぬものですよ。俺からのほんの気持ちです」
ご主人に渡しておいたペーパーナイフ。一応ナイフなので直接ジェイフ卿に渡すのではなく、ヨナさん
経由で渡しました。
「ほう……これはショートソードか? いや、それにしては短いし、刃もついてねえ。
精工な作りだな。細工も細かい。暗器にしても少々扱いにくそうだが……これは一体なんだ?」
「ペーパーナイフという代物ですよ。紙に折り目をつけて、それを挟み込み切ると、綺麗に切れます」
「随分と珍しい物だが、本当にもらってもいいのか?」
「ええ。俺たちにはガラク……必要なくなったものなので」
「ううむ、こいつは他の貴族が欲しがりそうな一品だぜ。今回は頂いておくか。
もしまた面白い物が合ったら持ってきてくれ。他の貴族に流して利益をお前たちにやろう。
ここでは戦いに使えるものが一番だがな。ガッハッハッハ!」
「さすがは辺境伯。武器や防具は大学で造るんですよね? それなら……町を守るようなものとか?」
「何? お前さん、そんな方法知ってるのか?」
「うーん。俺は土木工事屋さんじゃないのでそこまでは知らないですけどね。
ああでも、美味しいパン屋があったら彼らの仕事もはかどるんだろうなぁ……」
「ほう……随分と気になる話を沢山持ってるようだが……この召喚獣、譲ってくれんか?」
「それは絶対ダメです! あれ? 召喚獣って譲れるの?」
「ふふふ。父上にからかわれてるだけだよ。基本的には召喚獣の譲渡は出来ないからね。
契約主が死んだりしたら、話は別だけど」
「喋るウルフには憧れたもんだ。だからどうしても欲しいが、こいつは俺には懐かんようだしな。
言ってみただけだ。少しショートの村周辺を探してみるってのもいいのかもしれんが、忙しくてな」
「父上、召喚の事について彼女たちに詳しく話しても?」
「ああ、構わんよ。ジェイフ家は代々召喚の家系だ。お前の友なら存分に夜を語明かすがいい。
では仕事に戻る。今夜はここでゆっくりしていきなさい」
おお、辺境伯邸にお泊り!? これはいい記念になりそうです。
ふかふかベッドとかあるのかなー。それにしても召喚獣の家系……気になりますね。
メイドさんぽい人にお部屋まで案内された俺たちは、旅の疲れをいや……あれ、誰かいる?
「来たかのぅ。魔術招来、タンドリースネーク、メキチカ!」
「フシュールルルル!」
突然巨大な茶色いヘビを招来した!?
何だこの老人! しかもタンドリーチキンアンドメキシカンピラフみたいな呼び出し方でした!
ちょっと美味しそうです。
「ここで終わるサ?」
「うんうん、そうよね続き気になるわよね」
「お爺さんが気になるサ。でも早く寝たいサ」
「私も同じよ。それにしても大学費用免除はありがたいわぁ……」
「サルサもシロンと同じくらい悪い顔するサ……」
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