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フィラデルフィアの宿屋なのです
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サルサさんを先頭に、某ドラゴンを退治しない物語のように直列一列で
歩き出す俺たち一行。
職業は先頭から順番に魔、地雷、犬、猫、召、カ。腹は街中だと相変わらず
入れないので再び猫へと消えていきました。合体してるの!?
「ザッザッザッザッ。ドンドン、ドンドンドン」
「ちょっとシロン。うるさいわよ」
「だってぇー! 効果音が無いんです! 味気ないじゃないですかー!」
「何よ効果音って。もうちょっとで宿屋だから大人しくしてなさい」
「ここの宿屋はどんなとこなんですか?」
「宿屋にどんなとこって言われてもねぇ。そうね、港町の宿屋は、潮風に耐えられるよう
それなりの強化素材と魔法道具が使われてるわ。ここフィラデルフィアは学校があるから
魔道具の研究が盛んなのよ。タコの宝物をもらったら学校に行ってみるのもいいわね」
「真珠に珊瑚……早く欲しいですぅ」
「加工してこの町で売って大儲けね。ダーズワンチィエン!」
「えへへ。紅珊瑚をニャトルちゃんの頭飾りに加工してもらってー。真珠は
残った宝石と合わせてニャトルちゃんとシロンちゃんのお揃い……でもそれだと
ニャトルちゃんとシロンちゃんが結婚……うん、悪くないわ!」
「ご主人が恐慌呪文を唱えだしたぞ、ニャトル」
「シロンと結婚なんて恐慌呪文どころか破滅呪文だニャ……」
二人でふぅとため息を吐く。否定してもキラキラモードご主人には何も聞こえないことを
俺たちは理解している。
「さぁ着いたわよ。ここがフィラデルフィアおすすめの宿屋。
ミネル・バビスチェよ!」
「何か魔法の服みたいな名前ですね! でっかいサメ見たいなマークがある看板だなぁ」
「シャーク! よくきたな。旅人か?」
「うわ! 看板のサメが喋った!? シャークってあんたそれ」
「シャーーク! ふむ、先頭の者はここへ泊まった事があるな。
リピーターなら話は別だ。一割引きでいいだろう。中のカゴメに伝えておく」
「えー? 泊まった事があるって、私ここ以外の宿使ってないのよ? 酷くない?」
「シャーーク……ほう。それは失礼した。では一割と三分安くし……」
「三割引きよね。こんなに連れてきたのよ」
「三割!? それはちょっと……」
「あら、じゃあ違う場所に泊まろうかしら。残念ねぇ。ここの海鮮料理絶品なのになー」
「……シャーク。それでは二割と五分で……」
「仕方ないわね。それでいいわ」
「あ、ありがとうございます……」
タジタジになるサメ。なんでだ? なんで俺たちが権力者みたいになったんだ!?
サルサさん。恐ろしいよー!
「やったわ。ダメ元でもやってみるものね」
「サルサは商売人泣かせよー。あんな嬉しい事言われたら、折れてしまうよー
ドゥァンヂェ」
「ちょっとだけ気が引けるし、その分食事は一杯食べようね!」
「そうですね。サメさん少し涙目でしたし」
宿屋の中に入ると、カゴメと呼んでいたものらしきカゴメ……ではなく巨大フクロウのような
鳥っぽいのがいました。人じゃない! 今のところ人を見ていません!
「ほいー。シャークから聞いとるよ。常連で夜も眠れぬほどうちの料理が楽しみな
客で、特別価格二割五分引いた金額……はて、二割五分? 間違えたのかな。
でもそう告げたならもう戻せない。全部で何名かな。えーと一、二、三、四、五、六。
六名かな」
「何言ってるのかしら? 私にルビー、ラフィー、カエサルで四名よ」
「でもそっちのホワイトウルフとネコは」
「ニャー」
「ワン」
「ぺ、ペットなんですぅ……よしよし」
「はて? 全部で六名と……シャークが間違えたのかな。それじゃ四名で
何拍予定です?」
「ひとまず一週間かしらね」
「朝食はつけますか?」
「朝夕お願いしたいわ。ここよりおいしい店はあまりないし」
「ふうむ。ですと二割五分引きで一泊銀貨四枚。合計銀貨六十四枚」
「私たち多く追加で注文したりするのよね。それとここのいい評判を
あちこちばらまくお手伝いをするわ。銀貨六十枚でどう?」
「ええ? 宣伝をしてくださる? 本当に?」
「ええ。ギルド所属だし、学校にも行くつもりよ」
「でしたら……うーん。いいでしょう。その代わり、替えのシーツは
持っていきますが、ベッドメイクはご自身たちでお願いします。
それで銀貨六十枚にしましょう」
「やったわ! はいこれお金。全員後で回収するわね」
「やりましたね! ご主人」
「よかったニャー」
「あれ、何か今そちらの方々も喋ったような」
「ええ、喋るわよ。喋れるペットなの」
「そ、それはまた珍しく……うーん。宿屋の宿泊カウントをどうするべきか
後でシャークと話そう……」
大幅に宿代を値引いた俺たち一行。さすがに値切りすぎて胃に穴が開きそうです。
サルサさん、怖い人!
寝床を確保した俺たちは、明日早速ギルドに向かいます。
そして酒場で情報収集だ! 密猟者め、覚悟しておけー!
歩き出す俺たち一行。
職業は先頭から順番に魔、地雷、犬、猫、召、カ。腹は街中だと相変わらず
入れないので再び猫へと消えていきました。合体してるの!?
「ザッザッザッザッ。ドンドン、ドンドンドン」
「ちょっとシロン。うるさいわよ」
「だってぇー! 効果音が無いんです! 味気ないじゃないですかー!」
「何よ効果音って。もうちょっとで宿屋だから大人しくしてなさい」
「ここの宿屋はどんなとこなんですか?」
「宿屋にどんなとこって言われてもねぇ。そうね、港町の宿屋は、潮風に耐えられるよう
それなりの強化素材と魔法道具が使われてるわ。ここフィラデルフィアは学校があるから
魔道具の研究が盛んなのよ。タコの宝物をもらったら学校に行ってみるのもいいわね」
「真珠に珊瑚……早く欲しいですぅ」
「加工してこの町で売って大儲けね。ダーズワンチィエン!」
「えへへ。紅珊瑚をニャトルちゃんの頭飾りに加工してもらってー。真珠は
残った宝石と合わせてニャトルちゃんとシロンちゃんのお揃い……でもそれだと
ニャトルちゃんとシロンちゃんが結婚……うん、悪くないわ!」
「ご主人が恐慌呪文を唱えだしたぞ、ニャトル」
「シロンと結婚なんて恐慌呪文どころか破滅呪文だニャ……」
二人でふぅとため息を吐く。否定してもキラキラモードご主人には何も聞こえないことを
俺たちは理解している。
「さぁ着いたわよ。ここがフィラデルフィアおすすめの宿屋。
ミネル・バビスチェよ!」
「何か魔法の服みたいな名前ですね! でっかいサメ見たいなマークがある看板だなぁ」
「シャーク! よくきたな。旅人か?」
「うわ! 看板のサメが喋った!? シャークってあんたそれ」
「シャーーク! ふむ、先頭の者はここへ泊まった事があるな。
リピーターなら話は別だ。一割引きでいいだろう。中のカゴメに伝えておく」
「えー? 泊まった事があるって、私ここ以外の宿使ってないのよ? 酷くない?」
「シャーーク……ほう。それは失礼した。では一割と三分安くし……」
「三割引きよね。こんなに連れてきたのよ」
「三割!? それはちょっと……」
「あら、じゃあ違う場所に泊まろうかしら。残念ねぇ。ここの海鮮料理絶品なのになー」
「……シャーク。それでは二割と五分で……」
「仕方ないわね。それでいいわ」
「あ、ありがとうございます……」
タジタジになるサメ。なんでだ? なんで俺たちが権力者みたいになったんだ!?
サルサさん。恐ろしいよー!
「やったわ。ダメ元でもやってみるものね」
「サルサは商売人泣かせよー。あんな嬉しい事言われたら、折れてしまうよー
ドゥァンヂェ」
「ちょっとだけ気が引けるし、その分食事は一杯食べようね!」
「そうですね。サメさん少し涙目でしたし」
宿屋の中に入ると、カゴメと呼んでいたものらしきカゴメ……ではなく巨大フクロウのような
鳥っぽいのがいました。人じゃない! 今のところ人を見ていません!
「ほいー。シャークから聞いとるよ。常連で夜も眠れぬほどうちの料理が楽しみな
客で、特別価格二割五分引いた金額……はて、二割五分? 間違えたのかな。
でもそう告げたならもう戻せない。全部で何名かな。えーと一、二、三、四、五、六。
六名かな」
「何言ってるのかしら? 私にルビー、ラフィー、カエサルで四名よ」
「でもそっちのホワイトウルフとネコは」
「ニャー」
「ワン」
「ぺ、ペットなんですぅ……よしよし」
「はて? 全部で六名と……シャークが間違えたのかな。それじゃ四名で
何拍予定です?」
「ひとまず一週間かしらね」
「朝食はつけますか?」
「朝夕お願いしたいわ。ここよりおいしい店はあまりないし」
「ふうむ。ですと二割五分引きで一泊銀貨四枚。合計銀貨六十四枚」
「私たち多く追加で注文したりするのよね。それとここのいい評判を
あちこちばらまくお手伝いをするわ。銀貨六十枚でどう?」
「ええ? 宣伝をしてくださる? 本当に?」
「ええ。ギルド所属だし、学校にも行くつもりよ」
「でしたら……うーん。いいでしょう。その代わり、替えのシーツは
持っていきますが、ベッドメイクはご自身たちでお願いします。
それで銀貨六十枚にしましょう」
「やったわ! はいこれお金。全員後で回収するわね」
「やりましたね! ご主人」
「よかったニャー」
「あれ、何か今そちらの方々も喋ったような」
「ええ、喋るわよ。喋れるペットなの」
「そ、それはまた珍しく……うーん。宿屋の宿泊カウントをどうするべきか
後でシャークと話そう……」
大幅に宿代を値引いた俺たち一行。さすがに値切りすぎて胃に穴が開きそうです。
サルサさん、怖い人!
寝床を確保した俺たちは、明日早速ギルドに向かいます。
そして酒場で情報収集だ! 密猟者め、覚悟しておけー!
応援ありがとうございます!
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