31 / 133
レッドムーン
しおりを挟む
私も強くなりたいな。
風呂を出て、リリア王女は自室に戻った。
白いワンピースのナイトウェアを着ている。
リリア王女の部屋は、とても広々としていて、家具は女の子らしくお姫様らしい部屋だ。
アクセサリーを仕舞っているショーケースに目がいく。
一番上の透明で目立つ部分に、志保から貰った髪飾りと、羽月から貰ったネックレスは飾るように仕舞ってある。
ショーケースを開け、笑みを漏らしながら髪飾りを撫でた。ケースを開けてネックレスを手に取る。
途端に、羽月が浮かび思わず赤面してしまう。
ネックレスをショーケースに仕舞い、火照った顔を冷やそうとバルコニーに出た。
——顔を冷やす夜風が、巡る巡った記憶を運んでくる。
魔人も人間も同じ人だよ。命の重さは皆同じ筈なのに……。
同じなのに……。
何で、殺し合わなきゃいけないの?
どうして、同じ人間を差別するの?
何故、仲間の命を軽視出来る?
『道徳心など、狂気の前では何の役にも立たない』
以前、サファイアに言われた言葉が蘇った。
言われた当時は、理解に苦しんだが、今は痛々しく理解出来てしまう。
『間違い続ける、良心を見失った世界で、正しくありたいなら戦って勝つしかない』
戦火なら、人を殺す事は正しいのか……?
この問いに、サファイアが返した答えだ。
『狡さも含めて、強く賢くなりなさい。先ずは知る事だ——』
知らなきゃ何も出来ない。
駆け巡った記憶が、最後に女王である母との会話を引き出し、未だ頼りない背中を押した。
羽月さん達は建前を言わなかった。事実を事実として突き付けてくれた。
——リリア王女の決意は固まった。
魔界の月は赤や紫に光る事がある。今夜の月は鮮血の様に紅く煌々と輝いている。
何れ王になる幼き王女の決意を導く月光か……?
それとも、未だ子供である王女に、危険を知らせる警告の紅なのだろうか……?
風呂を出て、リリア王女は自室に戻った。
白いワンピースのナイトウェアを着ている。
リリア王女の部屋は、とても広々としていて、家具は女の子らしくお姫様らしい部屋だ。
アクセサリーを仕舞っているショーケースに目がいく。
一番上の透明で目立つ部分に、志保から貰った髪飾りと、羽月から貰ったネックレスは飾るように仕舞ってある。
ショーケースを開け、笑みを漏らしながら髪飾りを撫でた。ケースを開けてネックレスを手に取る。
途端に、羽月が浮かび思わず赤面してしまう。
ネックレスをショーケースに仕舞い、火照った顔を冷やそうとバルコニーに出た。
——顔を冷やす夜風が、巡る巡った記憶を運んでくる。
魔人も人間も同じ人だよ。命の重さは皆同じ筈なのに……。
同じなのに……。
何で、殺し合わなきゃいけないの?
どうして、同じ人間を差別するの?
何故、仲間の命を軽視出来る?
『道徳心など、狂気の前では何の役にも立たない』
以前、サファイアに言われた言葉が蘇った。
言われた当時は、理解に苦しんだが、今は痛々しく理解出来てしまう。
『間違い続ける、良心を見失った世界で、正しくありたいなら戦って勝つしかない』
戦火なら、人を殺す事は正しいのか……?
この問いに、サファイアが返した答えだ。
『狡さも含めて、強く賢くなりなさい。先ずは知る事だ——』
知らなきゃ何も出来ない。
駆け巡った記憶が、最後に女王である母との会話を引き出し、未だ頼りない背中を押した。
羽月さん達は建前を言わなかった。事実を事実として突き付けてくれた。
——リリア王女の決意は固まった。
魔界の月は赤や紫に光る事がある。今夜の月は鮮血の様に紅く煌々と輝いている。
何れ王になる幼き王女の決意を導く月光か……?
それとも、未だ子供である王女に、危険を知らせる警告の紅なのだろうか……?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる