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学園では
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シャーリーとラウラが通っている貴族の女学校がある。
名を聖クリスティアナ学園と言った。
学園途中でも結婚により途中退学する者も多く、シャーリーもその予定だった。
しかし、婚約者ジェイクは妹ラウラによって奪われ学園を退学しなくても良くなった。
今日は件のパーティーから2晩明けた月曜日の事だった。
シャーリーが学園に入るや否や大勢の女生徒に囲まれた。
話題は勿論……
「ロビン王太子殿下とあの後どうなったの?」
「えっと……」
何もなかったと言えど、一緒にベッドで1晩寝た。
これはどのように説明すれば良いのだろうか。
シャーリーは爛々と目を輝かせるクラスメイトに向かって冷静にこたえる。
「何もなかったですわ」
事実何もなかったのだ。
純潔は守られているのはベッドに何もなかった事で証明されている。
「うそー」
「そんなはずないですわ」
クラスメイト達は信用しない。
すると矢継ぎ早にクラスメイト達が話し掛けてくる。
「何もなかった事はないでしょう」
「あのロビン王太子殿下だもの」
「何かあったに決まってる」
「最後までしちゃいましたか?」
「「キャーー!」」
在らぬ事まで噂されているようだった。
そんな中
「ロビン王太子殿下が朝帰りしてるの見ましたわ。
勿論、シャーリーさんの家から」
「「キャーー!」」
この発言にクラスメイト達は火が着いたように更に囃し立てる。
「やっぱり男女の仲に」
「シャーリーさん凄~い」
「どう?初めてって痛いですの?」
「「キャーー!」」
完全に玩具にされている。
「えっと、だから何もなかったですって」
「嘘ですわ~」
「嘘をついても駄目ですわよ」
シャーリーが何とかクラスメイト達をなだめようとするも空しく更にからかわれるのだった。
そんな中、暗い顔をした女生徒が1人後ろを通っていった。
ラウラだ。
更にはラウラの後ろにはロイ子爵とジェーン子爵夫人が着いて歩いている。
退学手続きをするためだ。
ラウラは恨めしそうにシャーリーを横目で見ていた。
ジェイクとはあの晩から会っていない。
前までは熱心にラウラと密会していたと言うのに。
全ては。
「お姉様のせいだわ」
両親は姉が王太子殿下のお手付きになったと喜んでいるし、側妃くらいにはしてもらえるのではと淡い期待を持っている。
それに何よりもムカつくのは。
「まるで私の婚約発表が無かったみたいになってる」
誰1人ラウラに声を掛ける者はなかった。
せいぜい、学校で家庭科を教えている先生に挨拶をした程度だ。
ラウラは両親と共に学園長室へ向かっていく。
そうこうしている内に学園長室前まで着いた。
コンコンッ
ノックをする。
中から声が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼致します」
ロイ子爵がそう言ってドアを開けた。
そして、開口一番言う。
「この度は私の娘ラウラが結婚する運びとなりまして」
「はい。そうですか」
学園長は事務手続きのように淡々とした口調で言った。
「おめでとうございます」
「妊娠もしておりまして」
「それはそれはおめでとうございます」
完全に感情の籠っていないおめでとうございますだった。
それにラウラはカチンときた。
しかし、言い返す言葉も思い付かなかったので黙っていた。
「ではこの書類に判子を押して貰い、退学手続きを」
学園長は慣れた様子で書類を取り出して、コンコンッと判子をつく場所を伝える。
「はい。分かりました」
ロイ子爵が判子を押していく。
ラウラはその様子を見ている内に吐き気がしてきた。
「う"っ」
ゲボーッ
書類に思いきり吐いてしまった。
「これはこれは」
その時、初めて学園長が眉を傾げた。
「すみません。私の娘が」
ロイ子爵は必死に頭を下げる。
ジェーン子爵夫人も同様に頭を下げる。
しかしながらラウラだけはふんぞり返って一切謝らなかった。
それどころか、心の中では学園長に対して反感の気持ちが残っていた。
「こらっラウラ!謝りなさい」
怒ったロイ子爵が言う。
「は~い。すみませんでした~」
全然謝っている様子がない。
これにロイ子爵は更に怒る。
「すみませんでした!だろうが!」
すると怒られ慣れていないラウラの目に涙が溜まり始める。
「うっうっだって。だって」
この時ばかりはさっとジェーン子爵夫人が間に入った。
「つわり中なんですからあまり叱らないであげてください」
「しかし……」
ロイ子爵は頭を抱える。
すると学園長が声を掛ける。
「書類はまだまだたくさんありますので」
「ふえっふえええん」
ラウラが声を出して泣き始めた。
こうなると機嫌を取り戻すまでが長い。
学園長室ではいつまでもラウラの泣き声が響き渡っていた。
名を聖クリスティアナ学園と言った。
学園途中でも結婚により途中退学する者も多く、シャーリーもその予定だった。
しかし、婚約者ジェイクは妹ラウラによって奪われ学園を退学しなくても良くなった。
今日は件のパーティーから2晩明けた月曜日の事だった。
シャーリーが学園に入るや否や大勢の女生徒に囲まれた。
話題は勿論……
「ロビン王太子殿下とあの後どうなったの?」
「えっと……」
何もなかったと言えど、一緒にベッドで1晩寝た。
これはどのように説明すれば良いのだろうか。
シャーリーは爛々と目を輝かせるクラスメイトに向かって冷静にこたえる。
「何もなかったですわ」
事実何もなかったのだ。
純潔は守られているのはベッドに何もなかった事で証明されている。
「うそー」
「そんなはずないですわ」
クラスメイト達は信用しない。
すると矢継ぎ早にクラスメイト達が話し掛けてくる。
「何もなかった事はないでしょう」
「あのロビン王太子殿下だもの」
「何かあったに決まってる」
「最後までしちゃいましたか?」
「「キャーー!」」
在らぬ事まで噂されているようだった。
そんな中
「ロビン王太子殿下が朝帰りしてるの見ましたわ。
勿論、シャーリーさんの家から」
「「キャーー!」」
この発言にクラスメイト達は火が着いたように更に囃し立てる。
「やっぱり男女の仲に」
「シャーリーさん凄~い」
「どう?初めてって痛いですの?」
「「キャーー!」」
完全に玩具にされている。
「えっと、だから何もなかったですって」
「嘘ですわ~」
「嘘をついても駄目ですわよ」
シャーリーが何とかクラスメイト達をなだめようとするも空しく更にからかわれるのだった。
そんな中、暗い顔をした女生徒が1人後ろを通っていった。
ラウラだ。
更にはラウラの後ろにはロイ子爵とジェーン子爵夫人が着いて歩いている。
退学手続きをするためだ。
ラウラは恨めしそうにシャーリーを横目で見ていた。
ジェイクとはあの晩から会っていない。
前までは熱心にラウラと密会していたと言うのに。
全ては。
「お姉様のせいだわ」
両親は姉が王太子殿下のお手付きになったと喜んでいるし、側妃くらいにはしてもらえるのではと淡い期待を持っている。
それに何よりもムカつくのは。
「まるで私の婚約発表が無かったみたいになってる」
誰1人ラウラに声を掛ける者はなかった。
せいぜい、学校で家庭科を教えている先生に挨拶をした程度だ。
ラウラは両親と共に学園長室へ向かっていく。
そうこうしている内に学園長室前まで着いた。
コンコンッ
ノックをする。
中から声が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼致します」
ロイ子爵がそう言ってドアを開けた。
そして、開口一番言う。
「この度は私の娘ラウラが結婚する運びとなりまして」
「はい。そうですか」
学園長は事務手続きのように淡々とした口調で言った。
「おめでとうございます」
「妊娠もしておりまして」
「それはそれはおめでとうございます」
完全に感情の籠っていないおめでとうございますだった。
それにラウラはカチンときた。
しかし、言い返す言葉も思い付かなかったので黙っていた。
「ではこの書類に判子を押して貰い、退学手続きを」
学園長は慣れた様子で書類を取り出して、コンコンッと判子をつく場所を伝える。
「はい。分かりました」
ロイ子爵が判子を押していく。
ラウラはその様子を見ている内に吐き気がしてきた。
「う"っ」
ゲボーッ
書類に思いきり吐いてしまった。
「これはこれは」
その時、初めて学園長が眉を傾げた。
「すみません。私の娘が」
ロイ子爵は必死に頭を下げる。
ジェーン子爵夫人も同様に頭を下げる。
しかしながらラウラだけはふんぞり返って一切謝らなかった。
それどころか、心の中では学園長に対して反感の気持ちが残っていた。
「こらっラウラ!謝りなさい」
怒ったロイ子爵が言う。
「は~い。すみませんでした~」
全然謝っている様子がない。
これにロイ子爵は更に怒る。
「すみませんでした!だろうが!」
すると怒られ慣れていないラウラの目に涙が溜まり始める。
「うっうっだって。だって」
この時ばかりはさっとジェーン子爵夫人が間に入った。
「つわり中なんですからあまり叱らないであげてください」
「しかし……」
ロイ子爵は頭を抱える。
すると学園長が声を掛ける。
「書類はまだまだたくさんありますので」
「ふえっふえええん」
ラウラが声を出して泣き始めた。
こうなると機嫌を取り戻すまでが長い。
学園長室ではいつまでもラウラの泣き声が響き渡っていた。
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