裏切りの蜜は甘く 【完結】

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SIDE セイ

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静流達が出張から帰ってきた日、パパとママが一般組員の偵察に行った

けど帰ってきたと思ったら二人とも顔色が真っ青で今にも倒れそうだった

すぐに静流とバイタルチェックをしたけど問題なく、けども大分様子がおかしい

ママなんてブツブツずっと呟いてるし、パパは金魚みたいに口をパクパクしてるし

報告を促すと、ママは一点を見つめて一瞬敬語がぬける

パパも金魚状態のまま


話し方は何でもいいからと伝えたら、パパが喋りだしたんだけど、パパの言葉遣いがメチャクチャ悪かった

しかも普段は喜怒哀楽を態度にも言葉にも出さないのに凄く感情的だった


静流と光一さんは面白がってたけど、俺達はめちゃくちゃ驚いた




「セーイ。何考えてんの?」


後ろからギュッと抱きしめられる


「んー、今日のパパに驚いたなぁって。」


「ああ。パパとの馴れ初めはまだ教えてなかったっけ?」


「うん、聞いたことない」


静流が腕を放し、ベッドへと誘導する

大人しくついていきベッドに入ると腕枕をしてくれた


「パパとはね、ある会社の接待の席で出会ったんだ。接待役の社員の部下でね、パパの事を馬鹿にしててしまいにはセクハラを俺の前で始めたんだよ。
つい手に持ってたお猪口をその上司に投げつけちゃってね、上司がキレて殴りかかってこようとしたんだ。
光一が一緒だったから、俺は動かなかったんだけど、光一より先に動いたのがパパだった。
パパったら、自分の上司に馬乗りになってボコボコにしちゃってさぁ。」


静流はクスクス笑う


「上司をボコボコにするなんて、もう会社で働けないじゃん」


「うん、だから俺がスカウトしたんだ。勿論入社テストは受けて貰わなきゃいけなかったけどね。
真っ直ぐな漢らしい男で、あの大きな体で俊敏に動く、力も申し分なかったし、光一からももっと鍛えたら使えるってお墨付きも貰ったし。
パパに試験を受けるか聞いたら、受けるって言ってくれたんだ。」


そうだったのか

パパって元々会社員だったんだね


「そう言えば、専属組員の入社テストってどんなのなの?命懸けって言ってたけど。」


前から気になってたんだよね。


「テストはまず体力テスト。ストレッチをしてからランニング10kmして、すぐ罠ありのアスレチック100mを2分でクリアして貰う。ストレッチからアスレチック完了まで45分以内に終わらなければ失格。
まぁ、実際はマラソン選手並に走れなかったら失格なんだよね。一般成人男性が10km走るのにかかる時間は平均1時間だから。」



「えぇ………待って……ほぼ全力疾走の後にアスレチック?」


「うん。アップの時にするアスレチックにプラス罠が仕掛けてある。」


「因みにどんな罠?」


「床を踏んだ瞬間、本物のナイフが飛んでくる」


「死んじゃうよ!」


ついツッコんでしまった


「うん、反射神経のテストも含まれてるし、どんな時も冷静でいれるかも見られてるんだ。」


「な……なる程………」


「体力テストをクリアしたら筆記テストがある。問題は謎解きを3問だけなんだけど、忍者屋敷みたいな所で罠がいくつも仕掛けられてるし、人も配置してある。
問題を解きながら、罠を掻い潜り、殺されないようにゴールを目指す。」



ん?殺されないように??


「待って静流、誰が誰に殺されるの?」


「ん?受験者が、屋敷に潜んでる敵にだよ?正解に近づくほど襲われるから、殺し合いをしながらゴールしてもらう」


「……ハードだね?」


「実践で使えるか判断しないといけないからね。敵役は麒麟会から破門されて報復しようとした奴らなんだ。許してやる代わりに、試験の敵役をさせる。受験者に大怪我を負わせるのは構わないけど殺すのは実際はNG。逆に殺される事はあるけどね。」


「な…なる程………」


「その筆記試験をクリアしたら、次は実践。警護対象者を実際に護りながら襲ってくる敵を殲滅し、ここまで連れてくるんだ。連れてこれたら一旦合格。
後は俺と光一でテスト結果を踏まえて、専属組員としてやっていけるか、信頼できるかを話し合って合否を決定する。」



「本当に狭き門なんだね」


俺なら体力テストで落ちるな…


あれ?パパって元々はサラリーマンだったのに、全部クリアしたの??


「フフフッ。パパもママも凄かったんだよ。パパは最後までゲガもなく警護対象を護ってたんだけど、警護対象がビビって敵の落とした拳銃を拾って乱射してね。それで大怪我したんだけど、警護対象者を一撃で気絶させてそのまま担いでここまで来たんだ。」


「えぇ!!」


乱射って!拳銃って!!


「すぐに俺が手術したよ。警護対象者役の奴は光一が処理したし。」


「そうだったんだ…じゃあ警護対象が勝手なことして無ければ、パパは無傷でクリアできた可能性があったんだ……本当に凄いね。」


「うん。ママも凄かったよ。体力テストは軽々クリアして、筆記も襲撃してきた奴を全員殺してたな……警護対象を連れて来る時に、護衛対象者がママを襲ったんだよ。女の子と間違ったとか、誘われたとか言い訳してたけど、そのせいで試験は中断。仕方ないから、代わりにその警護対象者とママの鬼ごっこをさせたんだ。」


鬼ごっこ…?何故に鬼ごっこ??


「鬼はママ、逃げるのは護衛対象者。龍洞財閥が持ってる山で決行。警護対象者を逃し15分後にママが探しに行って、見つけたら殺して山にある山小屋まで連れてくるんだ。
ママは出発して30分で山小屋に死体と一緒に現れたよ。」



あのママが………全く想像がつかない



「あの時のママはね、絶対に麒麟会の専属組員になりたかったんだ。その為に自分の体も心も鍛えてきた。
筆記試験の時に初めてママは人を殺したんだよ。きっと怖かっただろうに、一枚の写真を握り締めて前に進んだんだ。」



「一枚の写真?」


「うん、俺達は監視カメラ映像にたまたま映ったから知ってるんだけど………パパの隠し撮り写真をママが持ってたんだよね。」


………それって、その時からママはパパのこと知ってて、ママはパパの事が好きだった?

パパの事を、おいかけてきたの??



「でね、ここまで出来る奴なら裏切ったりはしないだろうなって。パパが面倒を見たらもっと伸びそうだなって光一と話し合って合格にした。
無傷で合格したのはママだけなんだよ。」



「凄い…………ホント、人は見かけによらないね。」


っていうか、何で静流の周りには凄い人ばかり集まって来るんだろう?


「セイもそのうちの一人だけどね?」


静流はクスクス笑う


俺の心を読んだ静流が言う


俺も?そんな事無いんだけどなぁ…





後日、SSSに居た要さんをはじめとした元橘組組員総勢36名は麒麟会組員になった


今は要さん達監視のもと、一般組員はしごかれている


既に脱落者が何人も出ているらしく、もしかしたら半分ほど脱落するかもしれないと報告があった



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