言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

文字の大きさ
13 / 78
成り立てほやほや王女殿下の初仕事

01 独立しても困らないわね

しおりを挟む


 元々、ベルケイド伯爵領は王都からかなり離れた場所、王国の端の端にあるど田舎の領地だったからね、必然的に、ほぼ独立していた状態と言っても大袈裟ではないわね。

 だから、独立を宣言しても特に困らない。

 だって、自国の民を潤すだけの食糧は常に備蓄してあるし、魔物討伐に関しても、王国に力を借りなくても自分たちで対処できるしね。反対に王国の奴らが来ても全く役に立たない。かえってお金を要求されるだけ。ほんと、邪魔。

 外貨に関しては、魔物討伐でゲットした魔物の牙や革、臓物、それに豊富にある鉱物の加工品を売れば十分得られる。

 なので、独立しようがしまいが、生活自体は全然変わらない。かえって、王国に献上しないだけ潤うわ、懐が。お金をドブに捨てなくていいんだもの。

 困らないとはいえ、やるべきことはたくさんあるわよね。まず最初にやるべきことは、

「……とりあえず、結界を張り直さないといけませんわね」

 ベルケイド王国の国旗を見上げながら私は、声を弾ませながら言った。だって、これから新しい時代が始まるのよ、興奮するに決まってるじゃない。

「そうだな、間違いなく王国の貴族たちが我先に押し寄せて来るな。面倒くさい」

 ベルケイド辺境卿からベルケイド王国国王になったお父様は、口では面倒くさいと言いながらも、声は私と同じで弾んでいた。王太子であるお兄様は、今、魔物の討伐に出ている。

「普通に結界を張るだけじゃ駄目だろ? どんな結界がいいんだ?」

 私がご機嫌なのが嬉しいのか、イシリス様はニコニコ微笑みながら訊いてきた。

「そうですね……ベルケイド王国に悪意を持つ者は入れないような結界がいいですわね。それを、国全体に張ってくださいませ。まぁこれで、あの王国の貴族たちのほとんどが排除できると思いますわ」

 下手したら、難民たちもね。別に難民を受け入れるのは構わないけど、ベルケイドに害意を持つ者はいれたくないからね。見た目だけで判別するのも難しいし、なら、始めから結界を張って判別した方が効率的でいいでしょ。

 入れないものは入れない。シンプル イズ ザ ベスト。

「わかった!!」

 そう言うと、イシリス様は本来の姿に戻り遠吠えをする。声は振動となり、ベルケイド王国全体に広がっていった。

 これで結界は張れたわね。いつ見ても圧巻よね。

 さて、どれくらいの人間が結界を超えられるかな。それはそれで楽しみよね。ほんと、私っていい性格してるわ。

「……ミネリア様」

 荷物の整理ができたのか、リアス様と元宰相様が声を掛けてきた。

「リアス様、元宰相様、ベルケイド王国はどうですか? 田舎でしょ」

 王都にあったような、洒落た建物や公園なんてないからね。

「良い国ですね……道が整備され、生活水準も高い。なにより、民が笑っています。それが一番だと思います」

 元宰相様の台詞に、私は満面な笑みを浮かべた。やっぱり、彼を連れて来て正解だと確信した。それはお父様も同じのようで、嬉しそうに頷いていた。

「嬉しいことを言ってくれるな、元宰相殿。これからは、我がベルケイド王国を支えてくれ」

 お父様がガハガハと笑いながら、元宰相様の肩を叩く。すっごく痛そう。

「お父様、力加減を考えてください」

「悪い、悪い」

 注意して、やっとお父様は叩く手を止めた。絶対、痣になってるよね。

「豪快な人間ばかりですから、早く慣れてくださいね」

「「畏まりました」」

 リアス様と元宰相様は頭を下げる。

「元宰相様はお父様の下に。リアス様は、私の教育係をお願いしたいですわ」

「私が教育係ですか?」

「ええ。一応、独立したわけですし、そうなると、私は王女になるわけでしょ。他国との付き合いもありますしね、リアス様の力を借りたいの。お願いできるかしら?」

 リアス様なら安心して任せられる。

「畏まりました。ミネリア様を立派な王女にしてみせますわ!!」

 リアス様の目がキラリンと光った気がする。ちょっとはやまったって思ったのは内緒。



しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

その発言、後悔しないで下さいね?

風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。 一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。 結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。 一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。 「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が! でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません! 「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」 ※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※クズがいますので、ご注意下さい。 ※ざまぁは過度なものではありません。

【完結】うちの悪役令嬢はヒロインよりも愛らしい

らんか
恋愛
前世の記憶を思い出した今なら分かる。  ヒロインだからって、簡単に王子様を手に入れていいの?  婚約者である悪役令嬢は、幼い頃から王子妃になる為に、厳しい淑女教育を受けて、頑張ってきたのに。  そりゃ、高圧的な態度を取る悪役令嬢も悪いけど、断罪するほどの事はしていないでしょ。  しかも、孤独な悪役令嬢である彼女を誰も助けようとしない。    だから私は悪役令嬢の味方なると決めた。  ゲームのあらすじ無視ちゃいますが、問題ないよね?

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

婚約破棄していただき、誠にありがとうございます!

風見ゆうみ
恋愛
「ミレニア・エンブル侯爵令嬢、貴様は自分が劣っているからといって、自分の姉であるレニスに意地悪をして彼女の心を傷付けた! そのような女はオレの婚約者としてふさわしくない!」 「……っ、ジーギス様ぁ」  キュルルンという音が聞こえてきそうなくらい、体をくねらせながら甘ったるい声を出したお姉様は。ジーギス殿下にぴったりと体を寄せた。 「貴様は姉をいじめた罰として、我が愚息のロードの婚約者とする!」  お姉様にメロメロな国王陛下はジーギス様を叱ることなく加勢した。 「ご、ごめんなさい、ミレニアぁ」 22歳になる姉はポロポロと涙を流し、口元に拳をあてて言った。 甘ったれた姉を注意してもう10年以上になり、諦めていた私は逆らうことなく、元第2王子であり現在は公爵の元へと向かう。 そこで待ってくれていたのは、婚約者と大型犬と小型犬!? ※過去作品の改稿版です。 ※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観や話の流れとなっていますのでご了承ください。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

恋愛戦線からあぶれた公爵令嬢ですので、私は官僚になります~就業内容は無茶振り皇子の我儘に付き合うことでしょうか?~

めもぐあい
恋愛
 公爵令嬢として皆に慕われ、平穏な学生生活を送っていたモニカ。ところが最終学年になってすぐ、親友と思っていた伯爵令嬢に裏切られ、いつの間にか悪役公爵令嬢にされ苛めに遭うようになる。  そのせいで、貴族社会で慣例となっている『女性が学園を卒業するのに合わせて男性が婚約の申し入れをする』からもあぶれてしまった。  家にも迷惑を掛けずに一人で生きていくためトップであり続けた成績を活かし官僚となって働き始めたが、仕事内容は第二皇子の無茶振りに付き合う事。社会人になりたてのモニカは日々奮闘するが――

婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました

ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、 ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。 理由はただ一つ―― 「平民出身の聖女と婚約するため」。 だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。 シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。 ただ静かに席を立っただけ。 それだけで―― 王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、 王国最大の商会は資金提供を打ち切り、 王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。 一方シャウラは、何もしていない。 復讐もしない。断罪もしない。 平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。 そして王国は、 “王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、 聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。 誰かを裁くことなく、 誰かを蹴落とすことなく、 ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。 これは、 婚約破棄から始まる―― 静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。 「私は何もしていませんわ」 それが、最強の勝利だった。

処理中です...