ヤンデレ狼の英雄様に無理矢理、番にされました。さて、それではデスゲームを始めましょうか

井藤 美樹

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リアお姉様に提案です

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 ユベラーヌからの手紙、本当はその場で突き返してやりたかった。気持ち的にね。でも、口で言うよりも現物を見せる方が、より確実に相手の意図が伝わるでしょ。だから、持って帰ってきたの。

「ユリシア、お帰り」

「シア、お帰り」

 エントランスで出迎えてくれたのは、リアお姉様とちょっと不機嫌そうなカイナル様。もしかして、私なにかしたかな? って考えたけど、不機嫌な理由はすぐにわかったよ。

「シアの顔を見たのだから、もう消えろ」

 実の姉に向かって消えろって……でも、亜人族では、特に酷い言動じゃないから驚きだよね。

「心配だったんだから、邪険にしないでよ。あの自分が世界の中心だと勘違いしている腹黒女から、接触があったって聞いたら心配するわよ」

 情報早っ!!

 まだ、盗聴用の魔法具を忍ばせてるカイナル様ならわかるけど、リアお姉様が知っているなんて、もしかして、リアお姉様の配下の人を紛れ込ませてたの!? 訊いても、きっとはぐらかされるわね。

「リアお姉様は、コーマン王女殿下のことを知っているのですか?」

 立場上、面識があってもおかしくない。メイド服を自分でデザインして作って着る人だけど、騎士団長様だからね。

 カイナル様に子供抱っこされてるから、リアお姉様と目線は少し下。いつもなら、頭を撫でてくれたりしてくれるんだけど、カイナル様が一緒にいるからお預けみたい。ちょっと寂しいな。でも今は、ユベラーヌのことをより詳しく知るのが先。

 でも、やっぱり腹黒なんだ……

「知ってるわよ!! あ~マジで、今思い出しても腹が立つ!!」

 殺気がでてるよ、リアお姉様……一応、公爵令嬢だよね。

「……シア、すまない。こいつ、一度、命令無視されたあげく、自分の団員が囮にされたことがあってな」

 カイナル様が苦笑いしている。その横で、リアお姉様は憤慨していた。

「問い詰めたら、あの腹黒女、なんて言ったと思う!? 『結果良ければ全て良しではありませんか、別に貴女様に怪我一つないのですから。団員の一人、二人失っても、すぐに補充できますでしょ』ってね!! 私の団員は駒じゃないのよ!!」

 言葉が浮かばないわ……さすがに酷い。思っていても、口にはしないよ、普通。少なくとも、恋している相手の姉に言うべき台詞じゃないよね。それを踏まえてでも、その言葉が吐けるってことは、本当に罪悪感の一欠片もないのね。クズ以下だわ。

「シアに聞かせる話じゃないな」

 カイナル様は私に仕事の話をしない。したがらない。血なまぐさいことを聞かせたくないからだって。私は別に構わないんだけどね。今回も、たまたま成り行きで聞いただけ。だからかな、私が黙り込んだから、これ幸いとカイナル様は話を打ち切ろうしてきたの。

 だけど、私はそれを許さなかった。口を開くとカイナル様は足を止める。

「…………戦場のことは、ズブの素人だからわかりませんが、囮に使うのなら、自国の兵士がするべきでは。そもそも、人を命がない駒と言うこと事態が、不愉快極まりないです。まぁ、そんな考えの持ち主だから、人の人生を簡単に狂わすことが、平気でできるのね。リアお姉様の話を聞いて確信しました。本当に、コーマン王女殿下は人を二人、駒にして壊したのだと」

 リアお姉様は怒りを表に出すタイプ。でも私は、表には出さない。代わりに出てくる声は、冷静で感情がこもらない、低くて冷たい声。

 決断をしたのは、お花畑一号と二号。

 でも、完全に誘導されていたとしたら、それは――

 私の怒りを目の当たりにしたリアお姉様とカイナル様は、啞然とした表情で私を見ている。

「リアお姉様、ここに一通の挑戦状があります。一矢報いる気はありませんか?」

 私はニコッと微笑みながら、リアお姉様に提案した。味方は多い方がいい。それに、リアお姉様に見せてあげたいから、コーマン王女殿下の煮え湯を飲まされる顔をね。


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