26 / 73
親子二代ですか……
しおりを挟むてっきり、伯爵令嬢の時のように裏で動くって思っていたのに、今回は正攻法で動いたみたい。とはいえ、素直に正攻法とは思えないのはなんでだろう。
「難しい顔してますわね」
スノア王女殿下がクッキーを優雅に食べながら言った。
「その話を聞いて、普通笑えませんよ。完全に脅していますよね、国王陛下を」
以前、何度も抗議文を送っていた過去があるから、国王陛下に直訴したのはわかるけどね。一応、筋は通るから。それに、ラメール侯爵令嬢のお母様は国王陛下の実の妹だから。だけどね……
「脅してますね」
「脅してる上に、期日を設けていたよな」
スノア王女殿下とアベル殿下が愉快そうに言った。
「二人とも楽しそうですね」
私が少しジト目で見ながらそう言うと、同時に返事が返ってきた。
「「楽しいよ」」
「楽しいですか……?」
断言する両殿下に、呆れながら尋ねる。私的にはちょっと国王陛下が気の毒に思うんだけど、二人は違うのね。
「そもそも、叔母上はシルクに甘いのです。どうして、この時期に留学先から戻ってきたのです。もし戻ってきたとしても、普通なら、登校させませんわ」
それ、私も思った。起こした問題が問題なんだから、私が親なら登校させないで、自室に謹慎の上、さっさと留学先に送り返すわ。さすがに、今日は休んでるみたいだけど。
「シルクが叔母上にねだったんだろ。ほんと、超過保護で困るよ。似た者親子だから溺愛が凄くてね……娘の恋を応援しているんだよな。そもそも、シルクを無理矢理留学させたのは、ラメール侯爵だから。そこでも、かなり揉めたよ。今回も揉めるよね」
そのもの言いでわかったよ。スノア王女殿下もアベル殿下も、なにかしらの被害を受けたんだね。
でもさ……亜人族が決めた番を他人が否定することを、母親が容認しているって……降嫁される前もかなり問題があったんじゃない? 無理矢理、ラメール侯爵に降嫁させたように思うのは私だけかな。少なくとも、他国に嫁がせることはできないわね。お花畑すぎて。絶対問題起こしそう。
「似た者親子って?」
「シルクと同じだよ。相手は現コンディー公爵。親子二代でやっちゃったんだよ。それプラス、本当の運命の番から逃げられた」
アベル殿下が苦笑しながら教えてくれた。
「あ~~この場合、どう返答したらいいの」
あまりのアホさ加減にね。運命の番相手が逃げ出すことってあるんだ……
それにしても、親子二代でターゲットにされるのって可哀想。まぁでもわかるわ。義お父様、今も格好いいから。カイナル様にどことなく似てるんだよね。そう考えると、親子で好みが一緒!?
「はっきり言っても言いわよ。お花畑だって」
いや、言えないよ。私平民。
「そのせいで、公の社交場でコンディー公爵夫妻とラメール侯爵夫妻がかち合わないように裏で働かされて、ほんと迷惑もいいところだよ」
心底ウザそうに言うアジル殿下を見て苦笑い。
「……ラメール侯爵令嬢様と同じなら、他国の招待客がいる公の場で問題を起こしそうですね。ラメール侯爵様が可哀想ですね」
胃と髪の毛にきそう、ストレスで。
「その分、降嫁する時に、通常の三倍のお金を渡したそうだよ」
お金で、家臣に押し付けたか……王族怖っ。その王族を脅すカイナル様って……
「……とりあえず、四日後までにどうするかですね」
カイナル様は国王陛下立ち会いの元、ラメール侯爵夫妻にシルク嬢の処分を五日以内に下すよう嘆願した。それを国王陛下は受理したのが昨日。
すんなり、片が付くとは思わないのは私だけかな。
「しないといけないのですけど、たぶん、すんなりとはいかないでしょうね」
やっぱり、スノア王女殿下も同じように思っていたみたい。
「なのに、なぜ、ユリシア嬢は学園に登校してるのかな?」
アジル殿下の台詞に言葉が詰まる。だって、カイナル様と揉めたからね。その時は、そんな経緯があったなんて知らなかったけどね。知ってても、登校したけど。
「もうすぐ、中間試験がありますから」
今は登校する選択をしてよかったと思う。両殿下からなにがあったのか聞けたし。それに――
「本当にそれだけですの?」
スノア王女殿下が確かめてくる。
「はい」
にっこりと微笑みなが答えた。なのに、スノア王女殿下もアジル殿下も不審げだ。
まぁそれは当たってるけどね。
「そろそろ、終わったか? できれば、ここでする話じゃないと思うが、っていうか、しないでほしい」
生徒会長が困惑した顔で会話に入ってきた。
「場所を考えろ」
副会長はもろ迷惑そうに言った。
「ここが一番安全だからです」
「失礼な。場所はわきまえていますわ」
「ついでに、時間もわきまえてますよ」
私たちは次々に反論した。
生意気な一年生に、生徒会長と副会長は心底うんざり表情をした。
121
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェ(別名義)でも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる