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第一章

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♦とある王都民達の会話





ここも随分と人通りが多くなったもんだ。



しっかし通る人は様変わりしてしまったな。



俺が幼い頃は多くの家族連ればっかだったーてのに、今では執事や女中を連れたいかにも貴族ってやからばっかりさ
ほら、あそこ、昔は顔馴染みのおじさんが営んでいた靴屋も今では『漁業会』のエンブレムが飾ってある鞄屋だ。
他にもほら、この通りに出している店の殆どは『漁業会』の奴らの店ばかりだ。



今や王国の流行り廃りは港町、いや『漁業会』が元だぁね。



確か劇場でも一番人気があるのは『漁業会』の例の革命演目だって聞いたなぁ



ああ、あれは凄かったなぁ
王都から人っこ一人消えちまったんだからよぉ



いやいや、残った奴も一応は居たんだぜ?
でもみぃんな港町に流れっちまってなぁ



さみしいもんだ
『漁業会』の店が入ってない場所は空きっぱなしだし
この辺にある家も空き家ばっかなんだろ?



いや、最近はそうでもないな
新しく越してくる奴が増えてきたんだ。
まぁ船のエンブレムがあったから稼ぎにきたんだろ



なんでだ?
港の方が稼げるだろうに



ばっかだなぁ
王都には学院があるじゃねぇか、無駄に金持ちの良い貴族様の子供狙って荒稼ぎよ
流行りの服やら菓子やら買ってはしゃぐ子をよく見るぜ、ほら、あそこ



おお?なんだあの服は、短くないか?



なんでも最近流行りの服らしい
あっちには確かフレムの店があったな。手軽に歩きながら食える菓子なんだと



フレム?フリークみたいな奴か?



フリークほど小さくはないが、似たようなもんに見えたな
なんでも歩きながら食うってのが随分お気に召したらしい



はぁ、俺らがガキん頃はよくパンでもなんでも歩きながら食ったりしたもんだがなぁ



そういうとこも庶民とは価値観が違うってこった



ああ、そうだ
そういや『漁業会』だがな
なんかまた妙な噂がたってるぜ



なんだ?
また町一つ貴族から奪うのかい?



その可能性はまぁ高いなあいつらの良く使う手だ
貴族も馬鹿だねぇ、同じ手に引っかかって



仕方ねぇさ、『漁業会』は今や下手な貴族よりよっぽど金も人もあるんだ。



そうそう、なんでもどこぞの貴族様と手を組んだとかなんとか



嘘だろう?
『漁業会』は貴族からは嫌われてるだろうに



まぁあんな事があったんだ
嫌われてんのは当たり前だぁな



ならなんだってそんな、ただの噂、なんだろう?



ああ、たんなる噂さ
でも言うだろう?火のない所にはなんとやら、って



まぁなぁ
でもそれって大丈夫なのかねぇ?



大丈夫だろう
『漁業会』が派手に動いて生活出来なくなるってんなら大変だが
そうそうないだろう



ま、それもそうだ







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