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第百二十三話
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「あれ、落ちない……」
空中で足を組み地面を見下ろすが、普段は数秒でたどり着けるそこのなんと遠いことだろうか。
最初こそ面白かったがあまりに地面へ足がつかないのでだんだん飽きてきた。
空中でゆっくりゆっくり減速していく体。
大きくジャンプするときはこんな感じで確かに減速していくが、いつものそれより明らかに遅い。
そうか、減速や落下速度もゆっくりになっているんだなコレは。
基本的な動きや呼吸など、どういった原理かは知らないがこの加速した世界でもいつも通りの動きが出来るから気付かなかったが、私の力が作用しないところはどうしようもないのだ。
跳びあがった時の速度は加速されているので当然圧倒的に早い、しかし減速や落下は基本重力に引かれるのを待つしかない、と。
あれ、待てよ。今の私は普段の数倍の高さを飛んでいる、恐らくもう少し上まで飛ぶだろう。
もし落ちる速度が自由落下に任せるとしたら、私が次に地面へ足をつけるのは相当先なのではないか? それこそスキルの効果時間が過ぎてしまう。
今こそジャンプ時の衝撃などは『アクセラレーション』のおかげで遮断されているが、解除された素の状態で直にその衝撃を受けたら私は死ぬのでは? ミンチでは? 砂漠の上にフォリバーグが完成してしまうのでは?
「……あれ? 絶体絶命?」
や、やばい……! どうしよう!?
おち、おお、おちつけ私。思考の時間はたっぷりある、理論を導くにはまずは冷静さを保つべきだぞ、うん。
最悪ぶつかっても下は砂、衝撃を吸収してくれるはずだし死にはしないはず。いやでも足は折れるのでは? 結局重症じゃん!
仮に死ななかったとして、その衝撃をまともに受けたら気絶は免れないだろうし、こんな場所で盛大に音を上げて気絶している奴がいたとしよう。
間違いなく周囲へその音や衝撃は響き渡り、モンスターたちはここで何かが起こったことを察し、なんならわらわら寄ってくる可能性だって高い。
もしそんなところで足のひしゃげた人間がいたと仕様……私がモンスターならおいしく頂く、ぱっくんちょだ。
どうあがいても結論は激痛、このままでは誰にも見られることなく間抜けな死を遂げることとなる。
だめだめ、私はまだ死ねない。
どうする……どうする……!?
はっ、このスキルを解除すれば私の認識も元に戻り、魔力の消費をなくせるのでは!?
「えーっと、えーっと! どうやって『解除』すれば……あっ、戻ったァ!」
果たして私がたまたま『解除』という言葉を口に出せたのは幸か不幸か、ぬか喜びはこの先の容易く予想できる絶望に塗りつぶされる。
「あ、サボテン」
頂点から見た砂漠には、サボテンが何も語ることなく転がっていた。
ふわっと内臓全てが風にでも巻き上げられるかのような、エレベーターが止まった時の強烈な感覚が全身を襲い、私の身体が最も高い位置に今いることを嫌にでも理解させる。
もし解除されたとしよう。
私の身体はどうなる? 結局落下速度をどうにもすることはできない、多少風の影響でマシになるだろうが、それでもふわっと着地できるほど抑えられるとは思えない。
要するに落ちたらやばい現状は変わらない、というわけだ。
「あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
:
:
:
あっ! あくせられーーーーしょん!」
とっさの判断でふわっと着地出来た……今度からジャンプするときはもう少し考えよう。
◇
―――――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 20876
HP 38628/41754 MP 20382/104385
―――――――――――――――――
想像以上にごっそりと減ってしまったMPを睨みつけ、ちょっとばかし『アクセラレーション』を使い過ぎたかとため息を吐く。
何度か発動して分かったこと。
まず私の身体は風などの抵抗を受け減速することはない。いや、多少の風はある。髪は走った時のようにたなびくし、服なども若干は後ろへ引かれるような感覚があった。
正確に言うのなら、まさしく加速した世界でも普段通りの動きを再現できる……ということ。
おそらく私の身体、そして身にまとう物だけが魔力で強化だか保護だかされているんじゃないだろうか、でなきゃ安物のシャツとかビリビリに破けてるだろうし。
そして次に、私へかかる基本的なものがなくなったわけではないということ。
重力は強くも小さくもなっていないし、空気はそこにある。あくまで私の知覚が加速しているだけなのだ、加速した世界でいつも通りの落下……他人から観測したら数百倍の勢いで落下したりすることはない。
体感ではなく現実の時間で落下速度は決まる。
これが本当に曲者なんだよねぇ。
今まで戦ってきて何度かあったが、翼もなく自由に飛べない人間に空中というのは非常に不利な環境だ。
落下速度をエンジン的なものでブーストするとかでもなければ、自由落下に任せて足が地に着くまで祈るしかない。
現状は一旦解除し、落下直前でまた『アクセラレーション』を発動することでどうにかしているが、ただでさえ高く飛ぶことで落下時間も増えているので以前より大きな隙に鳴り得る点も忘れてはいけないだろう。
きっとまだ気づけていない問題点があるはずだ、戦闘などできっと見つかるはず。
何かをすればするほど山積みとなっていくそれはちょっと恐ろしい、あまり考えたくないし使わないという選択肢が脳裏でさっきから出たり入ったりしている。
でもうーん……どうにか解決すればすっごい強くなれる気がするんだよねぇ……このじゃりじゃりロバスキル。
空中で足を組み地面を見下ろすが、普段は数秒でたどり着けるそこのなんと遠いことだろうか。
最初こそ面白かったがあまりに地面へ足がつかないのでだんだん飽きてきた。
空中でゆっくりゆっくり減速していく体。
大きくジャンプするときはこんな感じで確かに減速していくが、いつものそれより明らかに遅い。
そうか、減速や落下速度もゆっくりになっているんだなコレは。
基本的な動きや呼吸など、どういった原理かは知らないがこの加速した世界でもいつも通りの動きが出来るから気付かなかったが、私の力が作用しないところはどうしようもないのだ。
跳びあがった時の速度は加速されているので当然圧倒的に早い、しかし減速や落下は基本重力に引かれるのを待つしかない、と。
あれ、待てよ。今の私は普段の数倍の高さを飛んでいる、恐らくもう少し上まで飛ぶだろう。
もし落ちる速度が自由落下に任せるとしたら、私が次に地面へ足をつけるのは相当先なのではないか? それこそスキルの効果時間が過ぎてしまう。
今こそジャンプ時の衝撃などは『アクセラレーション』のおかげで遮断されているが、解除された素の状態で直にその衝撃を受けたら私は死ぬのでは? ミンチでは? 砂漠の上にフォリバーグが完成してしまうのでは?
「……あれ? 絶体絶命?」
や、やばい……! どうしよう!?
おち、おお、おちつけ私。思考の時間はたっぷりある、理論を導くにはまずは冷静さを保つべきだぞ、うん。
最悪ぶつかっても下は砂、衝撃を吸収してくれるはずだし死にはしないはず。いやでも足は折れるのでは? 結局重症じゃん!
仮に死ななかったとして、その衝撃をまともに受けたら気絶は免れないだろうし、こんな場所で盛大に音を上げて気絶している奴がいたとしよう。
間違いなく周囲へその音や衝撃は響き渡り、モンスターたちはここで何かが起こったことを察し、なんならわらわら寄ってくる可能性だって高い。
もしそんなところで足のひしゃげた人間がいたと仕様……私がモンスターならおいしく頂く、ぱっくんちょだ。
どうあがいても結論は激痛、このままでは誰にも見られることなく間抜けな死を遂げることとなる。
だめだめ、私はまだ死ねない。
どうする……どうする……!?
はっ、このスキルを解除すれば私の認識も元に戻り、魔力の消費をなくせるのでは!?
「えーっと、えーっと! どうやって『解除』すれば……あっ、戻ったァ!」
果たして私がたまたま『解除』という言葉を口に出せたのは幸か不幸か、ぬか喜びはこの先の容易く予想できる絶望に塗りつぶされる。
「あ、サボテン」
頂点から見た砂漠には、サボテンが何も語ることなく転がっていた。
ふわっと内臓全てが風にでも巻き上げられるかのような、エレベーターが止まった時の強烈な感覚が全身を襲い、私の身体が最も高い位置に今いることを嫌にでも理解させる。
もし解除されたとしよう。
私の身体はどうなる? 結局落下速度をどうにもすることはできない、多少風の影響でマシになるだろうが、それでもふわっと着地できるほど抑えられるとは思えない。
要するに落ちたらやばい現状は変わらない、というわけだ。
「あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
あ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
ぁ
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あっ! あくせられーーーーしょん!」
とっさの判断でふわっと着地出来た……今度からジャンプするときはもう少し考えよう。
◇
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結城 フォリア 15歳
LV 20876
HP 38628/41754 MP 20382/104385
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想像以上にごっそりと減ってしまったMPを睨みつけ、ちょっとばかし『アクセラレーション』を使い過ぎたかとため息を吐く。
何度か発動して分かったこと。
まず私の身体は風などの抵抗を受け減速することはない。いや、多少の風はある。髪は走った時のようにたなびくし、服なども若干は後ろへ引かれるような感覚があった。
正確に言うのなら、まさしく加速した世界でも普段通りの動きを再現できる……ということ。
おそらく私の身体、そして身にまとう物だけが魔力で強化だか保護だかされているんじゃないだろうか、でなきゃ安物のシャツとかビリビリに破けてるだろうし。
そして次に、私へかかる基本的なものがなくなったわけではないということ。
重力は強くも小さくもなっていないし、空気はそこにある。あくまで私の知覚が加速しているだけなのだ、加速した世界でいつも通りの落下……他人から観測したら数百倍の勢いで落下したりすることはない。
体感ではなく現実の時間で落下速度は決まる。
これが本当に曲者なんだよねぇ。
今まで戦ってきて何度かあったが、翼もなく自由に飛べない人間に空中というのは非常に不利な環境だ。
落下速度をエンジン的なものでブーストするとかでもなければ、自由落下に任せて足が地に着くまで祈るしかない。
現状は一旦解除し、落下直前でまた『アクセラレーション』を発動することでどうにかしているが、ただでさえ高く飛ぶことで落下時間も増えているので以前より大きな隙に鳴り得る点も忘れてはいけないだろう。
きっとまだ気づけていない問題点があるはずだ、戦闘などできっと見つかるはず。
何かをすればするほど山積みとなっていくそれはちょっと恐ろしい、あまり考えたくないし使わないという選択肢が脳裏でさっきから出たり入ったりしている。
でもうーん……どうにか解決すればすっごい強くなれる気がするんだよねぇ……このじゃりじゃりロバスキル。
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