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第五十二話
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「ほーそんなことがねぇ……」
「あいつは私を裏切った……」
「すみませーん、おかわり麺硬めでくださーい! 味玉とチャーシューも追加で!」
「あいよっ!」
赤い提灯の下、ウニの友人が作るラーメンを啜る。 どんなに気分が曇っていようと、彼の作るラーメンは常に透き通った味をしていて、陰った私の心を晴れさせた。
チャーシューうま
「剛力さんのことは信じてたんだろ? じゃあ本当のこと言ってんじゃないかい?」
「……たぶん、そう」
いや、私だってなんとなく、あいつが嘘をついていないのかもしれないとは、心のどこかで考えている。
カッとなってつい怒ってしまったが、落ち着いて考えれば所詮はレベル1000の魔石。
それより上のがうじゃうじゃいる界隈で、その程度をちょろまかすために信用を裏切るようなことをするかと思うと……
じゃあ一体何故魔石の魔力が減ったのか、全く分からない。
魔石に関連したものといえばボスが落とした剣、そしてペンダントくらいだし。
まさか剣のドロップやペンダントの映像と関係が……? いや、ドロップアイテムの有無で魔石の魔力が減るだなんて、現状聞いたことがない。
……分からん。
頭をわしわしと掻いてポケットへ手を突っ込み……そういえば希望の実の採取を、全くできずに終わったことを思い出す。
つい癖で希望の実に頼ってしまっている、はぁ。
「すみませーん! もう一杯くださーい!」
「食べるの早くない?」
「え? 普通ですよ、普通! 今日半日何も食べてませんし!」
そういえば私とこいつ、まだ会ってから半日くらいしか経ってないんだっけ……
ずるずると猛烈な勢いで麺を食い進める横の黒髪。 可愛らしかったがボロボロだった服は既に着替えられ、コンビニで買った安い短パンと簡素な白いTシャツに代わっている。
なんだか私が食べ終わらないと、いつまでもおかわりしていそうで怖い。
彼女も負けじと麺を啜り、どうにかほぼ同じタイミングで食べ終える、
「ご馳走様でしたー!」
「ごちそうさま、支払いは……協会預金って使える?」
「あいよっ! 探索者の方もよく寄ってくれるからね!」
なんかよくわからない機械へプレートの石を押し付けて、二人分のお金を一気に払う。
琉希は私が払うだの言っていたが、そもそも相手は苦学生、レベルも滅茶苦茶上がったとはいえ探索者になったばかりの彼女に奢られるほど落ちぶれてはいない。
支払いは余裕がある人間がやる、当然の摂理だ。
「結局奢られちゃいましたね! それじゃ!」
「うん」
……あ。
ずっとパーティを組むつもりだったけど、もしかして私だけの思い込みだったのだろうか。
聞くのに少し躊躇してしまう。
もし、え? ずっと続けるつもりだったんですか? なんて嫌悪感出されたらどうしよう。
私は顔が変わらなくて怖いなんて言われるし、初対面で扱い悪かったし……笑顔の裏で、内心嫌悪されていたりしたら……
思えば私の考えはほとんど一方通行だった。
先ほどは子供っぽく怒ったところも見られてしまったし、あきれ果てているのかもしれない。
ああ、どうしよう……もしかしたら探索者なんて危険だし、今日のダンジョン崩壊で凝りてもうやめるだなんて可能性も……
背を向けた彼女に手を伸ばし、そしてひっこめる。 私の気持ちを伝えても嫌がられないのか分からない。
もし断られたその時、私は普通の顔を保っていられるだろうか。無様に涙をこぼしてしまうかもしれない、そうしたらまた迷惑をかけてしまうのかも。
「あ、そうだ! 今度いつ探索行きます?」
「え……?」
くるりと振り向き、琉希が何気なく聞いてきた。
「う……」
「ま、まさか私を捨てるつもりで……!? 一緒に死線を越えたのに……!?」
「ちっ、ちがっ……! じゃあ明日」
「明日は学校なので……」
「あ……じゃあ日曜」
「了解です! それじゃ!」
……行ってしまった。
ま、まぁ、別に私はパーティなんて組まなくとも、1人で戦えたのだが。
別に嬉しくなんかない、本当だ。
「あいつは私を裏切った……」
「すみませーん、おかわり麺硬めでくださーい! 味玉とチャーシューも追加で!」
「あいよっ!」
赤い提灯の下、ウニの友人が作るラーメンを啜る。 どんなに気分が曇っていようと、彼の作るラーメンは常に透き通った味をしていて、陰った私の心を晴れさせた。
チャーシューうま
「剛力さんのことは信じてたんだろ? じゃあ本当のこと言ってんじゃないかい?」
「……たぶん、そう」
いや、私だってなんとなく、あいつが嘘をついていないのかもしれないとは、心のどこかで考えている。
カッとなってつい怒ってしまったが、落ち着いて考えれば所詮はレベル1000の魔石。
それより上のがうじゃうじゃいる界隈で、その程度をちょろまかすために信用を裏切るようなことをするかと思うと……
じゃあ一体何故魔石の魔力が減ったのか、全く分からない。
魔石に関連したものといえばボスが落とした剣、そしてペンダントくらいだし。
まさか剣のドロップやペンダントの映像と関係が……? いや、ドロップアイテムの有無で魔石の魔力が減るだなんて、現状聞いたことがない。
……分からん。
頭をわしわしと掻いてポケットへ手を突っ込み……そういえば希望の実の採取を、全くできずに終わったことを思い出す。
つい癖で希望の実に頼ってしまっている、はぁ。
「すみませーん! もう一杯くださーい!」
「食べるの早くない?」
「え? 普通ですよ、普通! 今日半日何も食べてませんし!」
そういえば私とこいつ、まだ会ってから半日くらいしか経ってないんだっけ……
ずるずると猛烈な勢いで麺を食い進める横の黒髪。 可愛らしかったがボロボロだった服は既に着替えられ、コンビニで買った安い短パンと簡素な白いTシャツに代わっている。
なんだか私が食べ終わらないと、いつまでもおかわりしていそうで怖い。
彼女も負けじと麺を啜り、どうにかほぼ同じタイミングで食べ終える、
「ご馳走様でしたー!」
「ごちそうさま、支払いは……協会預金って使える?」
「あいよっ! 探索者の方もよく寄ってくれるからね!」
なんかよくわからない機械へプレートの石を押し付けて、二人分のお金を一気に払う。
琉希は私が払うだの言っていたが、そもそも相手は苦学生、レベルも滅茶苦茶上がったとはいえ探索者になったばかりの彼女に奢られるほど落ちぶれてはいない。
支払いは余裕がある人間がやる、当然の摂理だ。
「結局奢られちゃいましたね! それじゃ!」
「うん」
……あ。
ずっとパーティを組むつもりだったけど、もしかして私だけの思い込みだったのだろうか。
聞くのに少し躊躇してしまう。
もし、え? ずっと続けるつもりだったんですか? なんて嫌悪感出されたらどうしよう。
私は顔が変わらなくて怖いなんて言われるし、初対面で扱い悪かったし……笑顔の裏で、内心嫌悪されていたりしたら……
思えば私の考えはほとんど一方通行だった。
先ほどは子供っぽく怒ったところも見られてしまったし、あきれ果てているのかもしれない。
ああ、どうしよう……もしかしたら探索者なんて危険だし、今日のダンジョン崩壊で凝りてもうやめるだなんて可能性も……
背を向けた彼女に手を伸ばし、そしてひっこめる。 私の気持ちを伝えても嫌がられないのか分からない。
もし断られたその時、私は普通の顔を保っていられるだろうか。無様に涙をこぼしてしまうかもしれない、そうしたらまた迷惑をかけてしまうのかも。
「あ、そうだ! 今度いつ探索行きます?」
「え……?」
くるりと振り向き、琉希が何気なく聞いてきた。
「う……」
「ま、まさか私を捨てるつもりで……!? 一緒に死線を越えたのに……!?」
「ちっ、ちがっ……! じゃあ明日」
「明日は学校なので……」
「あ……じゃあ日曜」
「了解です! それじゃ!」
……行ってしまった。
ま、まぁ、別に私はパーティなんて組まなくとも、1人で戦えたのだが。
別に嬉しくなんかない、本当だ。
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