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第三十八話 イキりガール②
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しばしオークさんたちと戯れて分かったのは、今の攻撃力があれば『累乗ストライク』でなくとも、オーク相手に十分ダメージを与えられるということ。
例えば前から歩いてきた二匹のオーク。
「『ステップ』! 『ストライク』! 『ステップ』!」
ストライク走法で一気に肉薄、横に力強く払われた斧、さらにはオークの肩を踏みつけ飛び越え背後へ。
がら空きの膝裏へただのストライクを一撃。
水袋が叩きつけられたかのように鈍い音、支えを失い崩れる巨体。
ぶつぶつと荒れていてまばらに毛の生えた頭を追撃、瞬間、HPが0になりオークは姿を消した。
既に数体これを繰り返していて、多少のパターンこそ変わるがさほど苦労もなく戦いは終わる。
あれほど恐怖の権化だと、勝てるわけがないと思っていた存在は乗り越えてみれば、なんとちっぽけな相手だったのか。
安心したというか、どこかあほくさいというか。 いや、はっきり言って今の私は乗り越えた興奮からか、普段よりだいぶ結構調子に乗っていた。
『レベルが上昇しました』
「ほら、仲間死んじゃったよ」
カリバーを軽く回し煽れば、意味は伝わっていなくとも意図は十分理解したのだろう、醜い鳴き声を上げて突撃してくるもう一匹。
はっきり言って瞬殺を狙うのでなければ、カリバーすら本当は使う必要がない。
この攻撃すらなんならカリバーなしでも受け止められる……が、単に受けるのもしゃくだ。
斜めに受け流され地面にめり込んだ斧、そこから伸びる腕。
踏みつけ宙を舞い、体を思いきりひねって喉元を蹴り飛ばす。
三角跳びの要領で壁、地面、そして最後に跪いたオークの頭を踏み潰せば、濁った叫びがこぼれて怪物は息途絶えた。
「ふふ、弱い弱い」
鼻歌交じりに魔石を拾い上げ、ぽいぽいとリュックへ投げ入れる。
既に数十個単位で集まっていて、ずっしりと重たいそれ。
帰るか、なんてちらりと思考をよぎったが、落葉ダンジョンの推奨レベルは最大で300、奥に進めばもう少しレベルを上げられそうでもある。
三乗にまで引き上げられた経験値上昇、そして加速するレベルアップによってスキルレベル自体もさらに1上げたので、戦うたびにレベルが上昇する快感。
今日の分は十分集まったし、ちょっと奥を見に行くくらいなら全然問題ないだろう。
スニーカーの紐を結びなおし、肩をぐるりと回す。
入る前はなかなか憂鬱な気分であったが、慣れれば結構このダンジョンも悪くないじゃないか。
◇
カツーン、カツーンと響く足音。
真っ暗な階段を抜けて行けばたどり着いたのは、相も変わらず変わらない薄暗い通路。
あの後地図を見つつしばし進んでいたのだが、オーク、オーク、たまにゴブリンとあまり面白みがなかった。
ゴブリンは背も小さくオークより弱弱しかった。恐らく群れて強みが出てくるのだろうが、落葉の一階では基本単体で行動しているようで、カリバーで軽く殴れば死んだ。
MPも有り余っているし、誰も拾っていないので希望の実も結構落ちている。
食事の心配もないし適当に拾ったそれをかじりつつ、もっと奥へ進むことにした。
一つ不満なのは、地面に砂こそあるが石ころがないこと。
散弾として扱えるのはかなり便利なのだが、こうも見当たらないと今度から持ち込みを考える必要があるかもしれない。
まあ相手のレベルが上がると、そもそも石屑程度でダメージを与えられない可能性もあるけれど……
そういえば魔石を砕いたらどうなるのだろう。
今まで考えたことがなかった。
魔石はお金になる。貧乏人には売る以外の選択肢がなかったが、余裕が出てくればそういった考えも出てくるか。
ウニが渡してきた銃の様に魔石を使って火を出したり、それらを解析して発達していった魔導技術がある以上、何の効果も示さないわけはないだろう。
今度暇になったら、安全な場所で試してみよう。 ここで失敗して重傷負いましたなんて、笑い話にもならない。
特にいうこともなくぶらぶらと歩いていくと、今まで見たことのない奴が現れた。
曲刀とでもいうのか、大きく曲がった剣に、ボロボロではあるがしっかりとした皮鎧。
見た目はゴブリン、だがこれはなかなか強そうだぞ。
「『鑑定』」
――――――――――――――――
種族 ゴブリンリーダー
名前 ソーナ
LV 103
HP 161 MP 70
物攻 291 魔攻 0
耐久 157 俊敏 239
知力 122 運 43
――――――――――――――――
ほう……
一階層潜っただけだが、一気に敵のレベルが上昇した。
ステータスも相応に上がっていて、リーダーというだけあってステータスのバランスも良い。
攻撃と速度特化であったトンボより攻撃力も高いので、油断すれば普通の人ならば手痛い反撃を食らうことになるだろう。
まあ、私には関係のない話だが。
「ふっ」
踏み込み軽く素振り、勿論これにみすみす当たるわけもなく、軽く後ろへ飛ぶことで避けられる。
予想通り。
相手からすればそれが全力か、或いは手を抜いた攻撃かは分からない。
なんたって私自身俊敏値が高く、はたから見れば素早い一撃に見えるだろうから。
だからそれが隙になった。
「『ステップ』」
『ゴォッ!??』
「『ストライク』」
後ろに焦って飛んだからだろう、ゴブリンリーダーは、さらに踏み込んできた私に対処しきれなかった。
すれ違い、輝くカリバーに引っ掛け疾走。
体重が非常に軽いのでそのまま横の壁に叩きつけると、ずるりと力なく落ち、消滅した。
『レベルが3上昇しました』
他愛もない。
ニヤリと笑みをこぼし茶色の魔石を拾い上げると、私はさらに奥へと足を進めた。
例えば前から歩いてきた二匹のオーク。
「『ステップ』! 『ストライク』! 『ステップ』!」
ストライク走法で一気に肉薄、横に力強く払われた斧、さらにはオークの肩を踏みつけ飛び越え背後へ。
がら空きの膝裏へただのストライクを一撃。
水袋が叩きつけられたかのように鈍い音、支えを失い崩れる巨体。
ぶつぶつと荒れていてまばらに毛の生えた頭を追撃、瞬間、HPが0になりオークは姿を消した。
既に数体これを繰り返していて、多少のパターンこそ変わるがさほど苦労もなく戦いは終わる。
あれほど恐怖の権化だと、勝てるわけがないと思っていた存在は乗り越えてみれば、なんとちっぽけな相手だったのか。
安心したというか、どこかあほくさいというか。 いや、はっきり言って今の私は乗り越えた興奮からか、普段よりだいぶ結構調子に乗っていた。
『レベルが上昇しました』
「ほら、仲間死んじゃったよ」
カリバーを軽く回し煽れば、意味は伝わっていなくとも意図は十分理解したのだろう、醜い鳴き声を上げて突撃してくるもう一匹。
はっきり言って瞬殺を狙うのでなければ、カリバーすら本当は使う必要がない。
この攻撃すらなんならカリバーなしでも受け止められる……が、単に受けるのもしゃくだ。
斜めに受け流され地面にめり込んだ斧、そこから伸びる腕。
踏みつけ宙を舞い、体を思いきりひねって喉元を蹴り飛ばす。
三角跳びの要領で壁、地面、そして最後に跪いたオークの頭を踏み潰せば、濁った叫びがこぼれて怪物は息途絶えた。
「ふふ、弱い弱い」
鼻歌交じりに魔石を拾い上げ、ぽいぽいとリュックへ投げ入れる。
既に数十個単位で集まっていて、ずっしりと重たいそれ。
帰るか、なんてちらりと思考をよぎったが、落葉ダンジョンの推奨レベルは最大で300、奥に進めばもう少しレベルを上げられそうでもある。
三乗にまで引き上げられた経験値上昇、そして加速するレベルアップによってスキルレベル自体もさらに1上げたので、戦うたびにレベルが上昇する快感。
今日の分は十分集まったし、ちょっと奥を見に行くくらいなら全然問題ないだろう。
スニーカーの紐を結びなおし、肩をぐるりと回す。
入る前はなかなか憂鬱な気分であったが、慣れれば結構このダンジョンも悪くないじゃないか。
◇
カツーン、カツーンと響く足音。
真っ暗な階段を抜けて行けばたどり着いたのは、相も変わらず変わらない薄暗い通路。
あの後地図を見つつしばし進んでいたのだが、オーク、オーク、たまにゴブリンとあまり面白みがなかった。
ゴブリンは背も小さくオークより弱弱しかった。恐らく群れて強みが出てくるのだろうが、落葉の一階では基本単体で行動しているようで、カリバーで軽く殴れば死んだ。
MPも有り余っているし、誰も拾っていないので希望の実も結構落ちている。
食事の心配もないし適当に拾ったそれをかじりつつ、もっと奥へ進むことにした。
一つ不満なのは、地面に砂こそあるが石ころがないこと。
散弾として扱えるのはかなり便利なのだが、こうも見当たらないと今度から持ち込みを考える必要があるかもしれない。
まあ相手のレベルが上がると、そもそも石屑程度でダメージを与えられない可能性もあるけれど……
そういえば魔石を砕いたらどうなるのだろう。
今まで考えたことがなかった。
魔石はお金になる。貧乏人には売る以外の選択肢がなかったが、余裕が出てくればそういった考えも出てくるか。
ウニが渡してきた銃の様に魔石を使って火を出したり、それらを解析して発達していった魔導技術がある以上、何の効果も示さないわけはないだろう。
今度暇になったら、安全な場所で試してみよう。 ここで失敗して重傷負いましたなんて、笑い話にもならない。
特にいうこともなくぶらぶらと歩いていくと、今まで見たことのない奴が現れた。
曲刀とでもいうのか、大きく曲がった剣に、ボロボロではあるがしっかりとした皮鎧。
見た目はゴブリン、だがこれはなかなか強そうだぞ。
「『鑑定』」
――――――――――――――――
種族 ゴブリンリーダー
名前 ソーナ
LV 103
HP 161 MP 70
物攻 291 魔攻 0
耐久 157 俊敏 239
知力 122 運 43
――――――――――――――――
ほう……
一階層潜っただけだが、一気に敵のレベルが上昇した。
ステータスも相応に上がっていて、リーダーというだけあってステータスのバランスも良い。
攻撃と速度特化であったトンボより攻撃力も高いので、油断すれば普通の人ならば手痛い反撃を食らうことになるだろう。
まあ、私には関係のない話だが。
「ふっ」
踏み込み軽く素振り、勿論これにみすみす当たるわけもなく、軽く後ろへ飛ぶことで避けられる。
予想通り。
相手からすればそれが全力か、或いは手を抜いた攻撃かは分からない。
なんたって私自身俊敏値が高く、はたから見れば素早い一撃に見えるだろうから。
だからそれが隙になった。
「『ステップ』」
『ゴォッ!??』
「『ストライク』」
後ろに焦って飛んだからだろう、ゴブリンリーダーは、さらに踏み込んできた私に対処しきれなかった。
すれ違い、輝くカリバーに引っ掛け疾走。
体重が非常に軽いのでそのまま横の壁に叩きつけると、ずるりと力なく落ち、消滅した。
『レベルが3上昇しました』
他愛もない。
ニヤリと笑みをこぼし茶色の魔石を拾い上げると、私はさらに奥へと足を進めた。
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