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2章
41話 幻想郷アルレンセス開店
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一方その頃――
商店の方はというと。
ルッツ達の宣伝の甲斐もあり、開店直後から大勢の客が店の周りに押し寄せていた。
しかしそのほとんどは店の様子を眺めているだけで、初めて見る見慣れない商品と希少種キャトランの店員の姿に戸惑っていた。
「この店の作物はキャトランの隠れ里で採れた作物だって噂だぜ……」
「なんでも秘境にあって滅多に出回らないらしいじゃない?」
「でもどれも見たこともないし、本当に安全に食べられるのかしら……」
(ふふ、いい感じに噂が広まっているみたいね♪ここらが頃合いかしらね?)
ナターシャはライラの方を見て目を合わせ頷いた。
ライラは店頭に並べたテーブルにアルレンセスで採れた果物を切り分け試食コーナーを用意した。
ユキとリンが皿を手に取ってそれらを宣伝して回る。
「こちらは私達の里で採れたとても美味な果実です♪本日は無料で試食のサービスを行っておりますのでよかったらおひとつどうぞ♪」
「とても甘くて美味ですよ。皆さま一度ご賞味あれ」
しかしキャトランと言う存在と未知の果物に抵抗があるようで、遠慮して寄り付こうとはしなかった。
そんな中、二人に近づいて果物を手に取る者たちが現れた。
「うめぇ!こんなうめぇ果物は食ったことがねぇぜ!嬢ちゃん!これ1箱売ってくれ!」
「こっちのリンゴという果物も触感も味も一級品だな。俺にもこれをくれないか?」
それはケビンとベンゼルだった。
ルッツ達の話を聞いて開店したハルトの店を見に来ていたそうだ。
二人の言葉を皮切りに試食に手を伸ばす人が殺到した。
「これはうまい!俺にも売ってくれ!」
「私も!」
「はいはい♪まだまだありますので慌てないでくださいませ♪」
そんなときイチゴを口にした一人の男が口を押えて倒れ込んだ。
「うっ!これは毒か……!誰か助けてくれ……!」
男の様子を見て、それまで我先にと群がっていた人たちが蜘蛛の子を散らすように試食をやめて離れてしまった。
「皆さん落ち着いてください!この店で扱う商品に毒なんて入っていません!」
ライラの声も虚しく、のたうち回る男を見て民衆の不信感は強まっていった。
そこへマーレを連れてきたレイラが現れた。
「あら?マーレさんどんな毒なのか見てあげてくれますか?」
「わかった」
マーレは鑑定眼をつかった。
「毒にはかかっていない。嘘。この男は営業妨害の現行犯としてギルドまで連行する」
男は抵抗もせずにあっけなく捕まりマーレに連行されていった。
マーレが鑑定持ちというのは有名なので民衆の半数ほどは安心して試食に戻った。
しかし一部の者は未知の食材に不安をぬぐい切れないらしくそのまま離れてしまった。
「嘘だったみたいだけど……得体のしれない物を食べるのはやはり少し抵抗があるわね……」
「もしかしてキャトランだから食べれるけど人に害があったりするのかも知れないし……」
レイラがナターシャに耳打ちした。
「これがマーティンの作戦のようですわね。こんな騒ぎを起こすのは今日だけじゃないでしょう」
「はぁ……でしょうね。あからさまな嘘の芝居とはいえ見ての通り効果は絶大。最初に悪いイメージを植え付けられたら中々拭えはしないわよねぇ……」
商業ギルド、なかなか厄介なことをしてくれるじゃないの……。
その様子を影で見ていたバルディスは笑っていた。
「ふふふ。単純だが、目新しい物を販売する店を潰すにはこれが一番手っ取り早い。民衆に芽生えた商品に対する不安感はそうそう拭えるものじゃないぜ?いくら上級冒険者や最強種が居ようとどうしようも出来まい」
こうして初日は、妨害を見越してマーレを連れてきたレイラの機転によって、何とか客を完全には手放さずに済んだ。
しかし噂の足が速いのは皆理解していた。
問題は翌日以降だ。
民衆には噂の真偽などは関係なく、良い噂よりも悪い噂の方が10倍以上速く広まっていく。
これはすぐに作戦を練る必要がありそうね……。
ナターシャ達は商業ギルドの妨害策に対抗すべく、閉店後ロンド達と今後の対策を話し合った。
「しかしなぁ……。悪い噂が広まるといっても噂を止めるなんて無理なんじゃねぇか?」
「だから噂を止めるのではなく流すのよ」
「はぁ?おめえさん言ってることが矛盾してるぜまったく……」
「向こうが悪い噂を流してこの店を妨害しようっていうのなら、その噂以上にインパクトがあって話題性がある話をこっちから流してやればいいのよ」
「そうは言ってもそんな話ほいほいとは」
「ふふふ、あたしに考えがあるわ――」
商店の方はというと。
ルッツ達の宣伝の甲斐もあり、開店直後から大勢の客が店の周りに押し寄せていた。
しかしそのほとんどは店の様子を眺めているだけで、初めて見る見慣れない商品と希少種キャトランの店員の姿に戸惑っていた。
「この店の作物はキャトランの隠れ里で採れた作物だって噂だぜ……」
「なんでも秘境にあって滅多に出回らないらしいじゃない?」
「でもどれも見たこともないし、本当に安全に食べられるのかしら……」
(ふふ、いい感じに噂が広まっているみたいね♪ここらが頃合いかしらね?)
ナターシャはライラの方を見て目を合わせ頷いた。
ライラは店頭に並べたテーブルにアルレンセスで採れた果物を切り分け試食コーナーを用意した。
ユキとリンが皿を手に取ってそれらを宣伝して回る。
「こちらは私達の里で採れたとても美味な果実です♪本日は無料で試食のサービスを行っておりますのでよかったらおひとつどうぞ♪」
「とても甘くて美味ですよ。皆さま一度ご賞味あれ」
しかしキャトランと言う存在と未知の果物に抵抗があるようで、遠慮して寄り付こうとはしなかった。
そんな中、二人に近づいて果物を手に取る者たちが現れた。
「うめぇ!こんなうめぇ果物は食ったことがねぇぜ!嬢ちゃん!これ1箱売ってくれ!」
「こっちのリンゴという果物も触感も味も一級品だな。俺にもこれをくれないか?」
それはケビンとベンゼルだった。
ルッツ達の話を聞いて開店したハルトの店を見に来ていたそうだ。
二人の言葉を皮切りに試食に手を伸ばす人が殺到した。
「これはうまい!俺にも売ってくれ!」
「私も!」
「はいはい♪まだまだありますので慌てないでくださいませ♪」
そんなときイチゴを口にした一人の男が口を押えて倒れ込んだ。
「うっ!これは毒か……!誰か助けてくれ……!」
男の様子を見て、それまで我先にと群がっていた人たちが蜘蛛の子を散らすように試食をやめて離れてしまった。
「皆さん落ち着いてください!この店で扱う商品に毒なんて入っていません!」
ライラの声も虚しく、のたうち回る男を見て民衆の不信感は強まっていった。
そこへマーレを連れてきたレイラが現れた。
「あら?マーレさんどんな毒なのか見てあげてくれますか?」
「わかった」
マーレは鑑定眼をつかった。
「毒にはかかっていない。嘘。この男は営業妨害の現行犯としてギルドまで連行する」
男は抵抗もせずにあっけなく捕まりマーレに連行されていった。
マーレが鑑定持ちというのは有名なので民衆の半数ほどは安心して試食に戻った。
しかし一部の者は未知の食材に不安をぬぐい切れないらしくそのまま離れてしまった。
「嘘だったみたいだけど……得体のしれない物を食べるのはやはり少し抵抗があるわね……」
「もしかしてキャトランだから食べれるけど人に害があったりするのかも知れないし……」
レイラがナターシャに耳打ちした。
「これがマーティンの作戦のようですわね。こんな騒ぎを起こすのは今日だけじゃないでしょう」
「はぁ……でしょうね。あからさまな嘘の芝居とはいえ見ての通り効果は絶大。最初に悪いイメージを植え付けられたら中々拭えはしないわよねぇ……」
商業ギルド、なかなか厄介なことをしてくれるじゃないの……。
その様子を影で見ていたバルディスは笑っていた。
「ふふふ。単純だが、目新しい物を販売する店を潰すにはこれが一番手っ取り早い。民衆に芽生えた商品に対する不安感はそうそう拭えるものじゃないぜ?いくら上級冒険者や最強種が居ようとどうしようも出来まい」
こうして初日は、妨害を見越してマーレを連れてきたレイラの機転によって、何とか客を完全には手放さずに済んだ。
しかし噂の足が速いのは皆理解していた。
問題は翌日以降だ。
民衆には噂の真偽などは関係なく、良い噂よりも悪い噂の方が10倍以上速く広まっていく。
これはすぐに作戦を練る必要がありそうね……。
ナターシャ達は商業ギルドの妨害策に対抗すべく、閉店後ロンド達と今後の対策を話し合った。
「しかしなぁ……。悪い噂が広まるといっても噂を止めるなんて無理なんじゃねぇか?」
「だから噂を止めるのではなく流すのよ」
「はぁ?おめえさん言ってることが矛盾してるぜまったく……」
「向こうが悪い噂を流してこの店を妨害しようっていうのなら、その噂以上にインパクトがあって話題性がある話をこっちから流してやればいいのよ」
「そうは言ってもそんな話ほいほいとは」
「ふふふ、あたしに考えがあるわ――」
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