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2章
17話 世界情勢
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後日エルドに呼ばれ工房に顔を出した。
「火入れ以外で工房に呼び出すなんて珍しいな?どうしたんだ?」
「これを見てくれよ」
エルドは手袋をイザに手渡した。
「これは?」
「タイラントボアの皮をベースに魔鉱石とアダマンタイトでこしらえた特製の魔力抑制グローブさ。付けてみてくれ。それを付けた状態なら隠蔽無しでも旦那の魔力がかなり抑えられるはずだ」
イザはそのグローブを両手に着けて隠蔽を解除してみる。
自身の魔力を魔力感知で確認してみるが、それほど大きな魔力を感じなかった。
「おおっ!確かに。これならとガル達と同じくらいの魔力しか感じない!」
「隠蔽のスキルは鑑定持ちの者にはカンパされちまうからな。グローブが壊れなきゃバレねぇはずさ」
「助かるよエルド!これで南の街に行くことが!!」
「南の街がどうされましたか…?」
いつのまにかラナが背後に立っていた。
「うわ!?ラ、ラナ、いつからそこに?」
「グローブをはめようとして隠蔽を解いたあたりからですよ」
顔は笑っているけど笑っていないのは分かる。
どうやらイザが隠蔽を解いたのを不思議に思って覗きに来たらしい。
「先日も申し上げましたよね?イザ様の実力は外で知られれば大問題です。特に教会に知られたら一体どうなるか!
先日から二人でなにやらこそこそしていたのでもしやと思いましたが。入念な対策なしに街に出向くのは認めません」
「そんなぁ…」
ラナのいう教会というのは全世界に拠点がありかなりの信者数を誇る聖教会というものらしい。
人と精霊、妖精以外を悪とする組合らしい。正式名称は北方聖都聖教会。
教会が定める人とは人間、エルフ、獣人までで、亜人や魔人はその範疇ではないらしい。
それなら問題なさそうといったのだが、俺の魔力は人の域を超えているのでもし教会に見つかれば魔人として手配されかねないということだ。恐ろしい。
魔人は人に化けて暮らすものも多いらしく、神族と同等に聖教会が最も敵対している種族らしい。神族はこの世界を作ったとされる原初の神を冒涜する存在として聖教会からは偽神とされているらしい。
「それにしてもラナはなんでも知ってるなぁ」
「私は以前数年間だけ南の大国に居たことがありますので」
「そうなの?亜人は人に迫害されるって前に言ってなかった?」
「南の大国はどんな種族でも受け入れるという万種調和国家なのです。ただ、そのせいで国内でのトラブルも多いのですし、他の三大国家からは煙たがられていますが」
「なるほど」
改めてこの周囲の情勢について確認したところ
今いるこの場所は世界有数の山脈に囲まれていて北側には世界最高峰の9000m級のデスマウンテン。
東西に走る山々も7000m級で、南の関所が唯一安全にこの大地にアクセスできる玄関口らしい。
この大地の外側は大きく4つの国に分かれていて、北の聖ファーレン王国、東のベルンフォード剣王国、西のゼルメリス魔導王国それぞれの主要都市がフォスタリア、アルセンテス、ギルガンド。
そして南のニルンハイム協和国、他の三国と違いニルンハイムは王権統治国家ではなくこの世界では珍しく民主国家で民衆によって国の代表が選ばれるらしい。
これは国の成り立ちが関係しているようで、ニルンハイムは昔は小国の集まる連合国家という名の移民の集まりだったそうだ。
元々獣人の王国が多数あったのだが、獣人の中でも人狼、兎人、猫人、狐人等様々な人種がおりそれぞれに自身の種族に自負があるため、国家は分裂し種族間の小国同士でいざこざも絶えず大国からの支援も得られず衰退していったらしい。
そこで300年ほど前に人狼族の王グレン=ラグナが小国をまとめ一つの国としたようだ。
反発も強かったが国をまとめ上げたあと国王はこの国を全種族平等国家とし、国王の位を辞して貴族院と世襲制を廃止し民主国家とすることを約束し、連合国家は正式にニルンハイムとして大国に並ぶ勢力まで至ったそうだ。
そのため国としての歴史も浅く。他の3国からはいまだに国として正式に認められておらず。連合国という認識をされている。なので3国同盟にも参加させてもらえないらしい。
初代の王であったグレン=ラグナの直径の家系は、その功績から国内で唯一の永年貴族階級を与えられているものの政治や国家運営には関与していないようだ。
奇特な王様も居たもんだ。
飽くまでも大きな国がこの4つというだけで実際にはこの4国以外にも大陸内外にいくつもの小国は存在しているらしい。一番近いところで言うとこの森を南の関所をこえたところにある国はイャーリスという小国だそうだ。
死の森に近いのにニルンハイムに所属していないのは元々イャーリスは傭兵の街だったそうで、3000年前の大戦時には世界でも有数の交易都市だったそうだ。世界の中心に近い都市なので当然だろう。
国というがもともと大戦時の大国のイャーリスという都市がそのまま独立国家として今に至るようだ。
イャーリスの領主には3000年も都市運営が続いている自負があるから大国に属することを拒んでいるらしい。
確かに3000年の歴史がある都市が300年程度の国に属するのを嫌うのはわからなくもない話しだ。
しかしニルンハイムが建国して以来、年々衰退していっているそうだ。
先日訪れていたガル達はそのイャーリスのベルンという町から来たと言っていた。
この街はその歴史の古さから、人間と亜人とはそれなりに交易は在れど、獣人以外をあまり好ましく思っていないらしく、ラナがニルンハイムに住んでいたころにも何度か訪れたことはあるが、どこか冷たさを感じたという。
排他思想を明確に表に出す人間やエルフとは違い獣人は気位の高さと平等を重んじる種族である自負から他者を表立って排斥するようなことはしないそうだが、仲間意識もその分高いので領主が獣人ということもありそのほとんどが獣人の街だそうだ。
この世界の種族間意識の差と問題はどこに行っても付きまとう問題のようだ。
北の国に行くには南から回っていくほかないのでいつかは通る道。今聞いたことは心に留めておくことにした。
「火入れ以外で工房に呼び出すなんて珍しいな?どうしたんだ?」
「これを見てくれよ」
エルドは手袋をイザに手渡した。
「これは?」
「タイラントボアの皮をベースに魔鉱石とアダマンタイトでこしらえた特製の魔力抑制グローブさ。付けてみてくれ。それを付けた状態なら隠蔽無しでも旦那の魔力がかなり抑えられるはずだ」
イザはそのグローブを両手に着けて隠蔽を解除してみる。
自身の魔力を魔力感知で確認してみるが、それほど大きな魔力を感じなかった。
「おおっ!確かに。これならとガル達と同じくらいの魔力しか感じない!」
「隠蔽のスキルは鑑定持ちの者にはカンパされちまうからな。グローブが壊れなきゃバレねぇはずさ」
「助かるよエルド!これで南の街に行くことが!!」
「南の街がどうされましたか…?」
いつのまにかラナが背後に立っていた。
「うわ!?ラ、ラナ、いつからそこに?」
「グローブをはめようとして隠蔽を解いたあたりからですよ」
顔は笑っているけど笑っていないのは分かる。
どうやらイザが隠蔽を解いたのを不思議に思って覗きに来たらしい。
「先日も申し上げましたよね?イザ様の実力は外で知られれば大問題です。特に教会に知られたら一体どうなるか!
先日から二人でなにやらこそこそしていたのでもしやと思いましたが。入念な対策なしに街に出向くのは認めません」
「そんなぁ…」
ラナのいう教会というのは全世界に拠点がありかなりの信者数を誇る聖教会というものらしい。
人と精霊、妖精以外を悪とする組合らしい。正式名称は北方聖都聖教会。
教会が定める人とは人間、エルフ、獣人までで、亜人や魔人はその範疇ではないらしい。
それなら問題なさそうといったのだが、俺の魔力は人の域を超えているのでもし教会に見つかれば魔人として手配されかねないということだ。恐ろしい。
魔人は人に化けて暮らすものも多いらしく、神族と同等に聖教会が最も敵対している種族らしい。神族はこの世界を作ったとされる原初の神を冒涜する存在として聖教会からは偽神とされているらしい。
「それにしてもラナはなんでも知ってるなぁ」
「私は以前数年間だけ南の大国に居たことがありますので」
「そうなの?亜人は人に迫害されるって前に言ってなかった?」
「南の大国はどんな種族でも受け入れるという万種調和国家なのです。ただ、そのせいで国内でのトラブルも多いのですし、他の三大国家からは煙たがられていますが」
「なるほど」
改めてこの周囲の情勢について確認したところ
今いるこの場所は世界有数の山脈に囲まれていて北側には世界最高峰の9000m級のデスマウンテン。
東西に走る山々も7000m級で、南の関所が唯一安全にこの大地にアクセスできる玄関口らしい。
この大地の外側は大きく4つの国に分かれていて、北の聖ファーレン王国、東のベルンフォード剣王国、西のゼルメリス魔導王国それぞれの主要都市がフォスタリア、アルセンテス、ギルガンド。
そして南のニルンハイム協和国、他の三国と違いニルンハイムは王権統治国家ではなくこの世界では珍しく民主国家で民衆によって国の代表が選ばれるらしい。
これは国の成り立ちが関係しているようで、ニルンハイムは昔は小国の集まる連合国家という名の移民の集まりだったそうだ。
元々獣人の王国が多数あったのだが、獣人の中でも人狼、兎人、猫人、狐人等様々な人種がおりそれぞれに自身の種族に自負があるため、国家は分裂し種族間の小国同士でいざこざも絶えず大国からの支援も得られず衰退していったらしい。
そこで300年ほど前に人狼族の王グレン=ラグナが小国をまとめ一つの国としたようだ。
反発も強かったが国をまとめ上げたあと国王はこの国を全種族平等国家とし、国王の位を辞して貴族院と世襲制を廃止し民主国家とすることを約束し、連合国家は正式にニルンハイムとして大国に並ぶ勢力まで至ったそうだ。
そのため国としての歴史も浅く。他の3国からはいまだに国として正式に認められておらず。連合国という認識をされている。なので3国同盟にも参加させてもらえないらしい。
初代の王であったグレン=ラグナの直径の家系は、その功績から国内で唯一の永年貴族階級を与えられているものの政治や国家運営には関与していないようだ。
奇特な王様も居たもんだ。
飽くまでも大きな国がこの4つというだけで実際にはこの4国以外にも大陸内外にいくつもの小国は存在しているらしい。一番近いところで言うとこの森を南の関所をこえたところにある国はイャーリスという小国だそうだ。
死の森に近いのにニルンハイムに所属していないのは元々イャーリスは傭兵の街だったそうで、3000年前の大戦時には世界でも有数の交易都市だったそうだ。世界の中心に近い都市なので当然だろう。
国というがもともと大戦時の大国のイャーリスという都市がそのまま独立国家として今に至るようだ。
イャーリスの領主には3000年も都市運営が続いている自負があるから大国に属することを拒んでいるらしい。
確かに3000年の歴史がある都市が300年程度の国に属するのを嫌うのはわからなくもない話しだ。
しかしニルンハイムが建国して以来、年々衰退していっているそうだ。
先日訪れていたガル達はそのイャーリスのベルンという町から来たと言っていた。
この街はその歴史の古さから、人間と亜人とはそれなりに交易は在れど、獣人以外をあまり好ましく思っていないらしく、ラナがニルンハイムに住んでいたころにも何度か訪れたことはあるが、どこか冷たさを感じたという。
排他思想を明確に表に出す人間やエルフとは違い獣人は気位の高さと平等を重んじる種族である自負から他者を表立って排斥するようなことはしないそうだが、仲間意識もその分高いので領主が獣人ということもありそのほとんどが獣人の街だそうだ。
この世界の種族間意識の差と問題はどこに行っても付きまとう問題のようだ。
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