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油断大敵ですわ!1

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 私の妄想パワーを持ってすれば、長細いものを持っているだけでも補填可能だけど。
 意外と鉈や斧みたいな武骨な打撃やぶつ切り系の武器でも乙なものですが……
 きっちり着こなすクロード様に、粗野な武器という組み合わせもグッド! 正統派の得物もグッド!
 よし、乗馬をしましょう。
 今決めました。女に二言はありません!
 頭の中ではクロードパリコレが開催されていました。軍服、作務衣、カマーバンドの執事服、着流し――カーッ! ナイス、ビバファッションショー!
 ん? パリってどこだっけ? なんかお洒落な響きがしたからなんとなく出てきたけど。
 勝手に一人で盛り上がっていたせいで、ひょいと目の前を通過した手に反応が遅れてしまった。
 その手はバスケットを勝手に開くと、その中に詰まっていたベーグルサンドをひょいと盗った。
 そして、そのままはむっとかぶりついた。
 あ、それタルタルエッグベーコン……! 

「お、美味いじゃん。ラッキー」

「いったろ、ぐいぐい来る女の菓子よりこーいう大人しそうなのがいい差し入れを持ってくるんだよ」

 別の手がバスケットに伸びて、ローストビーフサンドベーグルを盗って行く。
 呆然と見上げると、騎士の士官制服に身を包んだ私よりちょっと年上くらいの少年たちがベーグルサンドを食べている。

「な、な……」

「甘い系ある? お、この赤いのクランベリーかな。あ、ブルーベリーとクリームチーズも美味しそう」


「ざっっっけんなああああああ! ぶち殺すぞこのビチグソどもがああああ!!!」


 ムカつくあん畜生の秘孔を滅多打ちにした。指突でドスドスと。
 ホアチャアアアア! 貴様に北斗七星を刻んでやろうか! 某超人のごとく! お前は既に死んでいる! って! いや、殺しちゃいませんが!
 一部途中でヘヴン状態の大層気持ち悪いのがいたから、そいつを痛めつけるのは途中でやめた。キモイ。
 しかも足に縋り付いてきてキモイ。剣の鞘でケツパン食らわすと「ああんっ♡」ってなくんやで。
 泣くじゃなくて、鳴いていた。もしくは啼いていた。
 蔑みの視線で見た私は悪くないです。
 とりあえず、無礼千万の奴らをその辺に吊るしておいて西棟に向かう。
 そのうち優しい人が助けてくれるでしょう。
 クロード様が戻ってくると言っていた約束の時間なのですが、足取りが重くなります。
 トボ、トボと肩をすぼめてちょっと穴あきになったバスケットの中身を見つめる。
 こんな食べ掛けのようなものを、クロード様に御渡しできない。
 折角、朝から頑張ったんだけどなぁ。
 しょんぼりしている私に影が掛かる。
 そこにいたのは、いつも通りに一糸の乱れもないクロード様。


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