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油断大敵ですわ!2
しおりを挟む「お待たせしました、ベアトリーゼ」
「クロード様……」
渡したかったけれど渡せたくなってしまったバスケットを握り締める。
見上げたクロード様はやっぱりカッコよくて、忙しくても髪一筋乱れず撫でつけている。眼鏡のレンズにも汚れはなくぴかぴかで、着ている服もきっちりしている。
それに比べて、私はあの盗み食いのバカチン相手にファイト(一方的物理)をしてしまったので水色のドレスはばさばさに乱れ、髪の毛もぐちゃぐちゃになっていた。
勝手にやってきて一人ボロボロの私はさぞ滑稽に見えただろう。
「ううううぅ~……っ、ご、ごめんなさぁい……」
「差し入れを持った女の子が来たと聞いて、すぐにピンときましたよ。何かあったのですか?」
「士官候補生らしきビヂグ、ひぐ、ひっく……」
「ああ、そういえば大規模演習がありましたね」
「騎士たちに、差し入れを盗られてしまいました……」
私がぼーっとしていたから!
思い出すだけではらわたが煮えくり返る。悔し涙が止まらない。
次会ったら肛門ごとケツ毛を毟り取ってやる。股にぶら下がっているナニも。触りたくないから魔法で爆散の方が堅実だけど。
口惜しやあの無駄にキラキラした人種め。顔は既にうろ覚えだけど。
「制服の色は覚えていますか?」
「えっと、赤……だった気がします」
「襟章は?」
「金に水色!」
それは覚えている! だってクロード様のお色だもの!
「なるほど、第一騎士団の士官候補生ですね。騎士見習いです。
見目麗しく家柄の良い子息がそろっていますので、演習をすると女性が鈴なりで集まってくるんです。
ファンが多いですからその女性たちと間違われたのでしょう」
「演習場近くのベンチで待っていたので、そうかもしれません」
ぼたぼたと涙を流していると、飾り気のないがきっちりとアイロンが掛かった白いハンカチを差し出される。
「ですが、何事もなくてよかったです。ベーグルを取られたのは良くありませんが、あそこはプライドが高く荒っぽいのもいますから。
貴女に何もなくてよかったです」
「クロードしゃま……好きです!!!」
「知っています。折角ですので一緒に食べましょう。丁度お昼ですし、温かいお茶くらいは出せますから」
「はい!」
手を差し出してくれたクロード様。紳士……優しい……評価点が百億点に好き……!
後日新聞に、第一騎士団の団員が数名暴漢に遭ったという記事があった。
花形部署でもあるから、怨恨の線が濃厚らしい。
やっぱりあのビチグソどもは日頃から行い悪くて恨まれているんだ。
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