【R18】桃源郷で聖獣と霊獣に溺愛されています

蒼琉璃

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【番外編・玄武】

玄武様と秘密ごと①(※R18)

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「み、鳴麗……?」

 玄武は慌てて鳴麗から唇を離した。酔っ払っているとはいえ、直属の部下である龍月の義妹と、口付けをしている所を誰かに見られてしまっては、問題になる。
 もちろん、白虎帝のように女官に手を出したり、妾妃を作ることが、駄目だと言うことではない。けれど自分は四聖獣の頂点に立つ者で、万が一、口煩い役人にでも見つかれば自分よりも、鳴麗の処遇を心配しなければならなくなる。
 それに、酔っ払って前後不覚になった鳴麗に欲情し、手を出すようなことはしたくはない。
 
「ふぁっ………あ、れ………? あつ、熱い………はぁっ……玄武様、な、なんかへん……か、体が熱いです……はぁ、熱が出てきたのかな」
「鳴麗? もしかして……これは『月の印』では。発情の症状ですか……?」
「わ、私に……月の印? や、やったぁ。ようやく私にも……はぁ、きたぁ! はぁ、でも、熱いです。はぁぁ、熱くて、死んじゃいそう……。はぁ、なんか、体の奥がジンジンしますぅ。どうなってるの」

 鳴麗の鎖骨あたりに、三日月のような痣が浮き出ていた。『月の印』は黒龍族に雌雄共に現れる成熟した証である。
 繁殖のための発情期を迎えて初めて、ようやくきちんとした成獣おとなとして認められるのだ。黒龍族が成獣になると、ある程度発情する周期を、制御できるようになるが、鳴麗はどうやら、今初めてその発情期を迎えてしまったらしい。

「そ、それは困りましたね。医者が発情を治める薬を持っていれば良いのですが。君たちの症状は病気ではありませんし」
「はぁ……そんな。これ、どうしたら……楽になるのですか。こ、このままだと、さすがに帰れません……うう」

 鳴麗は、嘘偽りなく本当に『箱入り娘』のようで、発情期の症状も知識がないらしい。かと言って、年頃の娘がこのまま医者や、義兄に発情期の症状を見られるのは、穴があったら入りたいくらい恥ずかしいだろう。
 とはいえ、幼獣から成獣になったばかりの雌を、主人である玄武が、純潔を散らすわけにはいかない。
 彼女には好きだと言われたが、それは恐らく尊敬の念であり、彼女にも心に決めた相手がいるのでは、と玄武は考えていた。

「はぁ……玄武様、助けて……玄武様となら……私。はぁ」
「鳴麗。それならこうしましょう。黒龍族は雄雌関わらず、尻尾の裏を刺激すると快感を感じて、少し症状が治まります」

 鳴麗の眼差しは、艷やかで、玄武は久しぶりに感じた『雄の疼き』を鳴麗に悟られないように目を逸らすと、なるべく彼女を怖がらせないように 穏やかに説明した。

「はぁっ……し、尻尾の裏を? 本当ですか……っ、ひやぁんっ……!」
「失礼しますね。あの、私も久しぶりなので思い出しながら……ですが。たしか……この辺だったと思います……が。ああ、間違っていないみたいですね」

 玄武は、鳴麗に断りを入れると裾の中に手を差し込む。玄武は立場上、おおやけにしていなかったが、何百年も前に、黒龍族の雌と世帯を持ったことがある。幸福で穏やかな日々は、あっという間に過ぎて、自分よりも命の最愛の妻と、子供たちが天寿を全うするのを見守った。
 いまや自分の子孫たちは、玄武の血が流れているとも知らず、四國に散らばり、それぞれ幸福に生活をしている。
 ともかく、そういうわけで雌の体に触れるのは何百年ぶりになる。手探りで柔らかな尻尾の付け根の裏を指で触れると、鳴麗は反応した。

「あっ、はぁっ、ふっ、んんっ、げ、げんぶさまぁ、しっぽのうら、きもちいい……ゃ、んっ……はぁっ、はっ」
「鳴麗、同じ場所を撫でていると、恐らく大きな波が来ると思います。そこを我慢せずに身を任せると、楽になれますので」

 鳴麗は頬を紅く染め、可愛らしい声を上げた。
 尻尾の腹を撫でていると快感がせり上がって行く感覚がして、鳴麗は玄武の服を掴む。下着が濡れていくような感覚がして、じっと玄武を見つめていると、彼は少し顔を赤らめ、目を逸らした。

「はぁっ、んっ、なんかぁ、あっあっ……、ひゃうぅ!!」
「鳴麗、大丈夫ですか?」

 鳴麗の尻尾がビクビク動くと、絶頂に達した。これで少しは楽になっただろう、そう思っていた玄武に、鳴麗はどうしようもなく、切ない声で縋りついてくる。

「はぁっ……玄武様っ、ん、頭は真白になったけど……あ、あそこが疼いて……どうしたらいいのですか、塗り薬とか……? はぁっ……さ、さっきみたいに触ったら、マシになるのですか」
「え」

 鳴麗は玄武の予想に反して、さらに体が疼いているようだった。本当に箱入り娘なのか、交尾の知識は皆無で、逆に玄武が心配になってしまうくらいである。
 疼く体に戸惑い、不安で泣き出しそうな鳴麗に、玄武は困惑して頭を抱える。鳴麗はとにかく、玄武に触れて欲しくて気が狂いそうだった。
 
「しかし……い、いや、君は龍月の大事な義妹ですし……ううん。ですが、発情期の辛さは存じています。傷付けないように、触れますね。私もこういった行為は、ずいぶん遠い昔に卒業してしまったので、満足させられるかは分かりませんが」

 玄武は、言い訳がましく鳴麗に告げると、内心動揺を悟られないように、尻尾のつけ根から這い上がると、下腹部まで指を伸ばした。下着越しに感じる雌の柔らかな秘部。そして黒龍族の雌特有の、花のような発情の甘い香りに息を呑む。
 玄武は鳴麗の体を抱き寄せ、自分にもたれさせるようにしながら、下着の上から指を這わせた。それだけで鳴麗は嬉しく、気持ちがどんどんと高まっていく。

「はぁっ……やぁっ……はぁっ、げんぶさまぁ……はぁっ……んっ、はぁっ……げんぶさま、んんっ……ふわふわ、きもちいいですっ、ん、あっ……」
「それでは……直に触れてみますね。膣の中には指を入れないように気をつけます」

 玄武は、鳴麗の甘い呼吸や雌の香りに耐えるようにして下着の中に手を入れた。滑らかな肌を伝って、無垢な陰裂に触れると、もうすでにそこは濡れている。玄武は優しく指で花弁を擦った。
 昔の感を取り戻すように、雌の性器の上部にある突起を、二本の指の腹で撫でると、鳴麗はビンッと電流が走ったように震えた。

「んっ、ああっ! そこ、げんぶさま、そこすごく感じちゃう、はぁっ、あっあっ……そこ擦って下さいっ」
「ああ、ここは……。鳴麗が気持ちいいと感じる場所ですね。それではここを、重点的に愛撫します……」

 玄武の優しく穏やかな声で『痛かったら言ってください』と囁かれると鳴麗の愛液が膣内なかから溢れる。コリコリと指の腹でそこを執拗に撫でられ、鳴麗の呼吸がさらに乱れていく。
 尻尾の快感とは異なった強い刺激に、鳴麗は上から玄武の指を押さえつけた。彼の性格を物語るような優しい愛撫で、上下に花芽を擦られると、鳴麗はシーツを握りしめて玄武の首元に顔を埋める。
 小さな濡れた音が部屋に響き、わずかに玄武の呼吸も乱れた。

「はぁっ、はっ、はぁっ、んん、ぁっ、ああんっ、ま、また、さっきのが、はぁっ……あっ、あんっ、もう少し、で、い、く、……やぁぁんっ!」
「鳴麗……?」

 二度目の絶頂に達した鳴麗は、ようやくぐったりとして、玄武に持たれかかった。玄武は内心で安堵しながらも、自分の中で湧き上がった欲望を悟られないように、彼女を優しく寝かせる。鳴麗の呆けた瞳は、恋する雌そのもので、こんな若い娘に、心を翻弄されてしまう自分に、玄武は苦笑した。

「もう、大丈夫そうですね」
「玄武様、危うく社会的に死ぬところでした。ありがとうございます。でも、他の雄じゃなくて玄武様となら……初交尾したいです。好き……本当に大好きですっ」
「っ……鳴麗、誰か……黒龍族の雌をこの部屋に寄こしますね。そのうち龍月と、医者が来るでしょう。私は席を外しますね」

 玄武は、その場を立ち去らなければ、鳴麗と過ちを犯してしまいそうだと思い、彼女の気持ちに答えないまま部屋を出た。
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