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【水狼編】
幼なじみと恋模様②
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涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった鳴麗に追いついた水狼は、彼女の腰を軽々と抱き上げた。
黒龍族の雌にしては小柄な鳴麗は、成長した彼にとっては幼獣と変わらない扱いである。
ジタバタする鳴麗を落ち着かせるように、水狼は彼女を抱きしめた。
行き交う霊獣たちは、番同士の痴話喧嘩だろうか、とやじ馬のように見ては通り過ぎて行くので、なおさら水狼は焦るばかりだった。
「鳴麗! ちょっといったん落ち着いてくれ。あいつは俺の恋人でも番でもない。彼氏と別れて住む場所がないって、急に転がりこんできたんだよ! 恋人同士じゃないって」
「な、なんで水狼のところに転がりこんでくるの? あんなゆるゆるな格好してっ!」
バチバチと地面を尻尾で叩きながら、頬を膨らませ涙を零す鳴麗を抱き上げた。
水狼は人目がつかないように、路地裏の方まで彼女を連れて入っていく。
ポロポロと涙を流す幼なじみを見ると、水狼は罪悪感に苛まれた。
それと同時に、鳴麗が他の雌といる自分に対して嫉妬していることに、喜びを感じていた。
「なぁ、鳴麗。そんなに怒ってるってことは鳴麗が俺のこと、雄として見てるって思っていい?」
「そ、そ、それはっ……!! つ、つ、付き合っても良いかなって思ってたのにっっ。他の雌が水狼の家から出てきたら怒るよ! 私のことを好きって言ったくせにー!!」
鳴麗の肩を抱いて、覗き込んでくる水狼はいつもの幼なじみの顔ではなく、見知らぬ雄の表情だった。
彼の恋愛話を一度も聞いたことがなかったが、人気者の彼が雌とお付き合いしていても何もおかしくはない。
彼は自分だけの存在ではない、そう思いながらもモヤモヤする。
恋愛を経験してきた雄の、手慣れたような質問に、鳴麗は複雑な思いで鼓動が早くなるのを感じた。
「あいつの名前は、璃茉って言うんだ。いろんな金持ちの雄と付き合っては別れたりを繰り返してるみたいで……。住む所がないからって聞いたから家にあげたけど、軽率だった……ごめん。ちゃんとあいつの口から聞いたほうがいいよな?」
「璃茉さん……。水狼の友だちなの? それなら、ちゃんと事情を聞きたいかな……。私のこと知ってるみたいだったし」
水狼は、友だちという言葉に苦笑いをした。
まだ機嫌が悪そうに尻尾を振る、鳴麗の涙を指で拭き取る。
まさか、水狼が鳴麗に告白して口付けた所を、璃茉に見られていたとは夢にも思っていないだろう。
「俺は……鳴麗が好きだ。嘘じゃない、本当に好きなんだ」
ぽふっ、と水狼に抱き寄せられると鳴麗は頬を膨らませたまま、まんざらでもないような表情をして抱きついた。
✤✤✤
なんとか鳴麗を説得した水狼は、彼女を連れて家へと戻ってきた。
寝ぼけていた璃茉も、さすがに服を着て、椅子に座り気怠そうに煙管を吸っている。
水狼の背中から、警戒心で毛を逆立てている子猫のように、ひょっこり顔を出している鳴麗を見ると、思わず彼女は吹き出した。
「お前な、何度も言うけど部屋で煙管を吸うなよ。もういい加減、別の友人の家にいけ」
「なんとか彼女のこと説得できたの? いやぁ……ごめんごめん。私、てっきりこいつが彼女に振られたのかと思って、転がり込んじゃったの。実は鹿族の彼氏に追い出されちゃってねー」
「そ、それじゃあ……本当に彼女さんじゃないの?」
鳴麗は耳をピクピク動かしながら、璃茉に問い掛ける。
「あ、違う違う。成獣になって水狼が発情期を迎えた時に、お酒の勢いで一、二回やったくらいだし。あの当時はこいつも、雌と遊んでたしね。狼族は雄も雌も発情期に入る年齢が早いし、どっちも性欲が強いから仕方ないのよ。だから狼族は早く結婚して、兄弟が多かったりするでしょ?」
「おいっ……!」
「あ、遊んでた……」
「黒龍族は『月の印』が出るまでは、幼獣でしょ。見た目は成獣でも、準備ができずに体を傷付けてしまうから。水狼はかなり我慢してたみたいよ。ずーっと好きだったけど告れなくて、ちゃんと成獣になるまで待ってたみたい。大切な子だって言ってたよ」
あの爽やかで雌の気配がなかった彼が、遊んでいた経験があることにショックを受けた。
たしかに、彼女が言うとおり狼族は結婚が早く子宝に恵まれている霊獣が多い。
異性同性関係なく、番や恋人を作るのが早かったとはそういう事情もあったのだろう。
水狼は深い溜息をついて、自分の額を抑えた。
「水狼、ほ、本当に? 知らないところでそんなにモテ雄だったの?? 人気者だったけど雌の匂いなんて微塵も感じさせなかったのに!?」
「俺のことをずっと幼獣だと思ってただろ。俺は……ずっと鳴麗のことを幼なじみだけじゃなくて、雌として好きだったし、結婚したいと思ってた。だけど、鳴麗は昔の俺のままでいて欲しかっただろ? それにまだ幼獣だったから。だから我慢して……欲求不満で遊んでた。だけど……あの日、我慢できなくなって鳴麗に口付けたんだ」
たしかに、水狼の一番の親友でいたかった。
なんでも相談できる、昔と変わらない気の良い純粋な幼なじみ。
鳴麗は、それが壊れてしまうのが怖かったのかもしれない。
彼はとっくの昔に成獣になっていて、雄として色々と経験し成熟していた。
だから、鳴麗に合わせて幼獣っぽく振る舞っていたのだろう。
「童貞じゃなくてごめん。だけど璃茉の言う通り俺たちの間には、なんにもないし、もう誰とも遊んでない」
「昔、この人と交尾してたのは複雑だし腹立つけど……。水狼に口付けられて『月の印』が出てきたの。それってつまり……私たちって、う、運命? って思うし……ごにょごにょ」
「ええ!! 鳴麗、それ本当か! 俺が口付けて!!?!」
不機嫌そうにしながら頬を染める鳴麗と、尻尾を振って喜ぶ水狼。そんな二人を見ていると、璃茉は笑いながら肩をすくめた。
「あー、後はもう二人でやって。私、これから昨日知り合った雄の家に行くから。今までありがとうね」
黒龍族の雌にしては小柄な鳴麗は、成長した彼にとっては幼獣と変わらない扱いである。
ジタバタする鳴麗を落ち着かせるように、水狼は彼女を抱きしめた。
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「鳴麗! ちょっといったん落ち着いてくれ。あいつは俺の恋人でも番でもない。彼氏と別れて住む場所がないって、急に転がりこんできたんだよ! 恋人同士じゃないって」
「な、なんで水狼のところに転がりこんでくるの? あんなゆるゆるな格好してっ!」
バチバチと地面を尻尾で叩きながら、頬を膨らませ涙を零す鳴麗を抱き上げた。
水狼は人目がつかないように、路地裏の方まで彼女を連れて入っていく。
ポロポロと涙を流す幼なじみを見ると、水狼は罪悪感に苛まれた。
それと同時に、鳴麗が他の雌といる自分に対して嫉妬していることに、喜びを感じていた。
「なぁ、鳴麗。そんなに怒ってるってことは鳴麗が俺のこと、雄として見てるって思っていい?」
「そ、そ、それはっ……!! つ、つ、付き合っても良いかなって思ってたのにっっ。他の雌が水狼の家から出てきたら怒るよ! 私のことを好きって言ったくせにー!!」
鳴麗の肩を抱いて、覗き込んでくる水狼はいつもの幼なじみの顔ではなく、見知らぬ雄の表情だった。
彼の恋愛話を一度も聞いたことがなかったが、人気者の彼が雌とお付き合いしていても何もおかしくはない。
彼は自分だけの存在ではない、そう思いながらもモヤモヤする。
恋愛を経験してきた雄の、手慣れたような質問に、鳴麗は複雑な思いで鼓動が早くなるのを感じた。
「あいつの名前は、璃茉って言うんだ。いろんな金持ちの雄と付き合っては別れたりを繰り返してるみたいで……。住む所がないからって聞いたから家にあげたけど、軽率だった……ごめん。ちゃんとあいつの口から聞いたほうがいいよな?」
「璃茉さん……。水狼の友だちなの? それなら、ちゃんと事情を聞きたいかな……。私のこと知ってるみたいだったし」
水狼は、友だちという言葉に苦笑いをした。
まだ機嫌が悪そうに尻尾を振る、鳴麗の涙を指で拭き取る。
まさか、水狼が鳴麗に告白して口付けた所を、璃茉に見られていたとは夢にも思っていないだろう。
「俺は……鳴麗が好きだ。嘘じゃない、本当に好きなんだ」
ぽふっ、と水狼に抱き寄せられると鳴麗は頬を膨らませたまま、まんざらでもないような表情をして抱きついた。
✤✤✤
なんとか鳴麗を説得した水狼は、彼女を連れて家へと戻ってきた。
寝ぼけていた璃茉も、さすがに服を着て、椅子に座り気怠そうに煙管を吸っている。
水狼の背中から、警戒心で毛を逆立てている子猫のように、ひょっこり顔を出している鳴麗を見ると、思わず彼女は吹き出した。
「お前な、何度も言うけど部屋で煙管を吸うなよ。もういい加減、別の友人の家にいけ」
「なんとか彼女のこと説得できたの? いやぁ……ごめんごめん。私、てっきりこいつが彼女に振られたのかと思って、転がり込んじゃったの。実は鹿族の彼氏に追い出されちゃってねー」
「そ、それじゃあ……本当に彼女さんじゃないの?」
鳴麗は耳をピクピク動かしながら、璃茉に問い掛ける。
「あ、違う違う。成獣になって水狼が発情期を迎えた時に、お酒の勢いで一、二回やったくらいだし。あの当時はこいつも、雌と遊んでたしね。狼族は雄も雌も発情期に入る年齢が早いし、どっちも性欲が強いから仕方ないのよ。だから狼族は早く結婚して、兄弟が多かったりするでしょ?」
「おいっ……!」
「あ、遊んでた……」
「黒龍族は『月の印』が出るまでは、幼獣でしょ。見た目は成獣でも、準備ができずに体を傷付けてしまうから。水狼はかなり我慢してたみたいよ。ずーっと好きだったけど告れなくて、ちゃんと成獣になるまで待ってたみたい。大切な子だって言ってたよ」
あの爽やかで雌の気配がなかった彼が、遊んでいた経験があることにショックを受けた。
たしかに、彼女が言うとおり狼族は結婚が早く子宝に恵まれている霊獣が多い。
異性同性関係なく、番や恋人を作るのが早かったとはそういう事情もあったのだろう。
水狼は深い溜息をついて、自分の額を抑えた。
「水狼、ほ、本当に? 知らないところでそんなにモテ雄だったの?? 人気者だったけど雌の匂いなんて微塵も感じさせなかったのに!?」
「俺のことをずっと幼獣だと思ってただろ。俺は……ずっと鳴麗のことを幼なじみだけじゃなくて、雌として好きだったし、結婚したいと思ってた。だけど、鳴麗は昔の俺のままでいて欲しかっただろ? それにまだ幼獣だったから。だから我慢して……欲求不満で遊んでた。だけど……あの日、我慢できなくなって鳴麗に口付けたんだ」
たしかに、水狼の一番の親友でいたかった。
なんでも相談できる、昔と変わらない気の良い純粋な幼なじみ。
鳴麗は、それが壊れてしまうのが怖かったのかもしれない。
彼はとっくの昔に成獣になっていて、雄として色々と経験し成熟していた。
だから、鳴麗に合わせて幼獣っぽく振る舞っていたのだろう。
「童貞じゃなくてごめん。だけど璃茉の言う通り俺たちの間には、なんにもないし、もう誰とも遊んでない」
「昔、この人と交尾してたのは複雑だし腹立つけど……。水狼に口付けられて『月の印』が出てきたの。それってつまり……私たちって、う、運命? って思うし……ごにょごにょ」
「ええ!! 鳴麗、それ本当か! 俺が口付けて!!?!」
不機嫌そうにしながら頬を染める鳴麗と、尻尾を振って喜ぶ水狼。そんな二人を見ていると、璃茉は笑いながら肩をすくめた。
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