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プロポーズ3
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オーバン様のプロポーズを受け入れたはいいけど、後のことを全く考えていなかった。オーバン様はこの世界でもとても有名な公爵様で、騎士団の団長でもあって、そんな凄くて完璧な人の伴侶が僕なんかで納得してくれるかな? オーバン様のご両親にも挨拶に行かなきゃいけないんだよね? ぅう。認めてもらえるか不安だよぉ。
「オーバンの両親?」
「はい。どんな人達なのかと気になって」
「…………」
シルヴァン様にアドバイスをもらおうと思って相談したけど、何も答えてはくれなかった。シルヴァン様は視線を逸らして何かに耐えるような顔をする。え? も、若しかして、オーバン様のご両親の話はダメだったんですか!? 話すことすら許されない感じですか!?
「あの、僕、聞いちゃいけないことを口にしましたか?」
「そういう訳じゃねえけど。俺から言うべきじゃないと思ってな」
「え?」
「オーバンの両親には一度も会ったことがないだろ?」
「はい。このお屋敷には一度も訪れていません」
「それが答えだ。あとはオーバンから聞いてくれ。あ、虐待されていたとか冷遇されていた訳じゃねえからな? オーバンの両親は、心から彼奴のことを愛していた」
「会えない理由が、あるんですか?」
「教えてやりたいが、部外者の俺が彼奴の過去を勝手に暴露するべきじゃない」
「…………」
やっぱり、聞いちゃいけなかったんだ。オーバン様のことを愛しているなら、どうして屋敷に居ないんだろう? どうして、一度も会いに来ないんだろう? シルヴァン様が苦しそうな顔をするのは何故? 若しかしたら、オーバン様のご両親は、もう……
「私の両親はもうこの世に居ません」
「オーバン様!?」
「やっぱり、まだ教えてなかったんだな。お前の両親のこと」
もう、この世に居ない。それはつまり、オーバン様のご両親は既に亡くなっているということで。シルヴァン様が頑なに教えてくれない訳だ。そんなデリケートな話を本人の許可なく話すのは無神経。
「黙っていてごめんなさい。プロポーズをしたら、クウに話そうと思っていたのですが」
「僕の方が先に聞いちゃったんですね」
「その通りです」
「えっと、僕の方が無神経、でしたよね? ごめんなさい」
「謝る必要はありませんよ。クウ」
オーバン様は気にしなくていいと言うけど、そういう訳にはいかない。大切な話なのに、オーバン様の過去を不躾に暴こうとしていたんだ。申し訳なさすぎて自分自身が嫌いになる。
「オーバンの両親?」
「はい。どんな人達なのかと気になって」
「…………」
シルヴァン様にアドバイスをもらおうと思って相談したけど、何も答えてはくれなかった。シルヴァン様は視線を逸らして何かに耐えるような顔をする。え? も、若しかして、オーバン様のご両親の話はダメだったんですか!? 話すことすら許されない感じですか!?
「あの、僕、聞いちゃいけないことを口にしましたか?」
「そういう訳じゃねえけど。俺から言うべきじゃないと思ってな」
「え?」
「オーバンの両親には一度も会ったことがないだろ?」
「はい。このお屋敷には一度も訪れていません」
「それが答えだ。あとはオーバンから聞いてくれ。あ、虐待されていたとか冷遇されていた訳じゃねえからな? オーバンの両親は、心から彼奴のことを愛していた」
「会えない理由が、あるんですか?」
「教えてやりたいが、部外者の俺が彼奴の過去を勝手に暴露するべきじゃない」
「…………」
やっぱり、聞いちゃいけなかったんだ。オーバン様のことを愛しているなら、どうして屋敷に居ないんだろう? どうして、一度も会いに来ないんだろう? シルヴァン様が苦しそうな顔をするのは何故? 若しかしたら、オーバン様のご両親は、もう……
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「オーバン様!?」
「やっぱり、まだ教えてなかったんだな。お前の両親のこと」
もう、この世に居ない。それはつまり、オーバン様のご両親は既に亡くなっているということで。シルヴァン様が頑なに教えてくれない訳だ。そんなデリケートな話を本人の許可なく話すのは無神経。
「黙っていてごめんなさい。プロポーズをしたら、クウに話そうと思っていたのですが」
「僕の方が先に聞いちゃったんですね」
「その通りです」
「えっと、僕の方が無神経、でしたよね? ごめんなさい」
「謝る必要はありませんよ。クウ」
オーバン様は気にしなくていいと言うけど、そういう訳にはいかない。大切な話なのに、オーバン様の過去を不躾に暴こうとしていたんだ。申し訳なさすぎて自分自身が嫌いになる。
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