469 / 617
十二夜【時を超える花言葉】
12-8
しおりを挟む俺は今夜のディナーデートにも備え、フォーマルな装い。
椎娜は手の怪我もあるし、「そんなお洒落な服持って来てない」と言うので、俺たちは椎娜の家に一度寄る事にして、椎娜が準備を終えてから指定されたお店、<fortune cafe Yggdrasill>へと向かった。
「椎娜、占いとか興味あった?」
占いカフェにやけに前向きに興味を示す椎娜が珍しくて問いかける。
「興味、っていうか・・・・・・、う~~~ん・・・・・・なんだろう・・・・・・」
「・・・・・・なんだろう・・・・・・」
椎娜本人すらこの調子。
なんだろう・・・と不思議そうだから、俺はもっと『なんだろう』だ。
好きも嫌いも、割と本能。
損得ではなく、本能で生きている。
心のまま、自分に嘘をつきたくない、だから、嘘を付く人間は嫌い。
それはきっと、大抵の人間が抱く当たり前の感情なんだけど、あまりにも人を疑うし、いつ、どのタイミングからなら信用できると本人が認めるのか俺もそこはわからない位椎娜は警戒する。
それに、ここ数週間で椎娜を取り巻く人間関係や環境が変化した要因は、俺との関係が変わったことによる影響がかなり大きい。
それによって、『桜太が信用している人達』を自分も信じていいのか、『桜太が信用している人なら信用してもいいのかもしれない』と、判断が揺れているのだと思う。
裏切りなんて日常茶飯事、やるかやられるか、食うか食われるかの世界で生きる岐津さんや、まぁ・・・ナツなんかも、椎娜が自分たちを警戒する事を別段気にもしていないし、それを当たり前とさえ思っているから、俺の勝手な想像だけど、少しずつ自分に慣れてきてるのを、面倒見のいい岐津さんの事だから楽しんですらいると思わる。
あとは、怪我をした上に仕事も辞めて、暇をしてるかな、とか、罪滅ぼしと思っていたりもするかもしれない。
懐に入れた人間は責任もって面倒を見るし、可愛がってくれる、情に厚い人なんだ、岐津元春という人は。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる