徒然なる恋の話

焔 はる

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七夜【大切なもの、守りたいもの】

7-29

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バキィッ!!

「ッグファッ!」


怒りで頭の中が赤く染まった気がした。


握った右手、桜太がくれた腕時計ぶきを思い切り、黒木に叩き付ける。


「・・・写真・・・ありがとう。桜太といる時の自分があんなに幸せそうだと思わなかった・・・。それだけは感謝してあげる。でもね・・・・・・馬鹿にしないで。」


「・・・ッてめぇ・・・椎娜ぁぁぁ・・・!!!」


「うるさい、黙れ・・・。私が1人でどうにかしようとするのを、きっと桜太は喜ばない。桜太はそれをよしとしない。そんな・・・女を差し出して喜ぶような、力で支配して満足して、女を道具だと思ってるような・・・あんたみたいなクズじゃないの!!私の彼氏おとこは!!!」


シーン・・・・・・と静まったフロアに、私の声の余韻だけが微妙に残り、ポカンとする岐津さん、ナツさん、黒スーツの怖そうな人たち・・・。


・・・あれ・・・もしかして・・・私・・・なんかマズイ・・・のかな・・・マズかった・・・?


頭が冷えて、冷静さが戻ってくると、怒りに任せて人を殴った事実が今更押し寄せてきた。


「ふは・・・どうしよう・・・めちゃくちゃ強いんだけど・・・(笑)」


奇妙な静寂を破った岐津さんの笑い声に、黒スーツの人たちが走り寄ってきて反論すらしなくなった黒木をあっという間に連れて行ってしまった。

その場に残された私と岐津さん、ナツさんも、騒ぎが大きくなる前(もう手遅れかもしれないけど・・・)に、非常階段を使って1階まで駆け下り、車へと走った。


その途中もずっと2人は「こんなの想定外だ」と笑っているし、私は私で、妙な興奮状態があって、実はちょっとマズイ状態になっている右手に気づかなかった・・・。



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