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七夜【大切なもの、守りたいもの】
7-12
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自分の部屋なのにとても久しぶりな気がする。
違和感すら感じるのは何故だろう。
思い返せば、『自分も寂しい、会いたい』と桜太は沢山伝えてくれていた。
それなのに私は、自分だけが寂しくて寂しくて、余裕なんてなくて・・・恥ずかしい、人を好きなるって、こんなに余裕がなくなるものだろうか・・・。
・・・もっと、しっかりしよう。
しっかりして、桜太を好きでいよう、うん、そうなりたい。
そして、まず、さしあたっては、苦手な料理でもしてみようかな・・・。
冷蔵庫を開ける・・・。
・・・開けたら、閉める。
「・・・何も無いな。」
常備の常連、ツナ缶、チクワ、海苔。
各種調味料、ヨーグルト、ゼリー、炭酸水、梅酒、ビール、牛乳、コーヒー牛乳・・・
・・・なんもないな。
・・・・・・なんも、ないわ。
材料になる食材もない。
私、どうやって生きてたんだろう。
なんで調味料だけ色々あるの、クミンて何??ウコンがあるのはなんで??
自分の冷蔵庫なのによくわからない。
とりあえず、部屋の掃除をして、お風呂場もキレイにしたりして、桜太がいない時間も有意義に過ごせるように頑張ってみよう。
せっかくだから、自分磨きなんてしてみるのもいいかもしれない。
確か・・・買ったまま未開封で使っていない、フェイスパックや、ボディローション、ボディクリームがあったはずだ。
使わなければ宝の持ち腐れ。
・・・今、使う時が来たのではないだろうか。
この時の為に取っておいたに違いない、その時に使わなかった私、えらい。
そう、ズボラだった過去の自分を無理矢理褒めた。
掃除を始める前に、桜太から預けられた腕時計をポケットから出した。
私の手首にはやはり大きくて、金具を止めても腕からは呆気なく抜けてしまう。
それに結構重い・・・
・・・ほんとに、声なんて聞こえないよね・・・
さすがにそんな、盗聴みたいな・・・いやでも、『言ってあったよね?』って笑って言われる結果になりそうな気も・・・
腕時計を見つめ、不審なところはないかひっくり返したり、隙間に爪を引っ掛けてパカッと開いたりしないか確認する。
・・・どうやら、大丈夫そうだ。
「・・・俺だと思って、か・・・」
寂しくないように、いざとなったら殴ってもいいように、と物騒な言葉を残して行ったけど、本当にこんなので殴ったらかなり痛いのでは・・・。
「・・・会いたいな・・・桜太・・・好き・・・」
・・・安易に呟くのは危険かもしれない。
「よし、掃除とか終わらしちゃお。」
腕時計はテーブルに置いて、1時間程お風呂場の掃除をして、部屋の窓を開けて掃除機を掛け、どうせならと断捨離を始めた。
違和感すら感じるのは何故だろう。
思い返せば、『自分も寂しい、会いたい』と桜太は沢山伝えてくれていた。
それなのに私は、自分だけが寂しくて寂しくて、余裕なんてなくて・・・恥ずかしい、人を好きなるって、こんなに余裕がなくなるものだろうか・・・。
・・・もっと、しっかりしよう。
しっかりして、桜太を好きでいよう、うん、そうなりたい。
そして、まず、さしあたっては、苦手な料理でもしてみようかな・・・。
冷蔵庫を開ける・・・。
・・・開けたら、閉める。
「・・・何も無いな。」
常備の常連、ツナ缶、チクワ、海苔。
各種調味料、ヨーグルト、ゼリー、炭酸水、梅酒、ビール、牛乳、コーヒー牛乳・・・
・・・なんもないな。
・・・・・・なんも、ないわ。
材料になる食材もない。
私、どうやって生きてたんだろう。
なんで調味料だけ色々あるの、クミンて何??ウコンがあるのはなんで??
自分の冷蔵庫なのによくわからない。
とりあえず、部屋の掃除をして、お風呂場もキレイにしたりして、桜太がいない時間も有意義に過ごせるように頑張ってみよう。
せっかくだから、自分磨きなんてしてみるのもいいかもしれない。
確か・・・買ったまま未開封で使っていない、フェイスパックや、ボディローション、ボディクリームがあったはずだ。
使わなければ宝の持ち腐れ。
・・・今、使う時が来たのではないだろうか。
この時の為に取っておいたに違いない、その時に使わなかった私、えらい。
そう、ズボラだった過去の自分を無理矢理褒めた。
掃除を始める前に、桜太から預けられた腕時計をポケットから出した。
私の手首にはやはり大きくて、金具を止めても腕からは呆気なく抜けてしまう。
それに結構重い・・・
・・・ほんとに、声なんて聞こえないよね・・・
さすがにそんな、盗聴みたいな・・・いやでも、『言ってあったよね?』って笑って言われる結果になりそうな気も・・・
腕時計を見つめ、不審なところはないかひっくり返したり、隙間に爪を引っ掛けてパカッと開いたりしないか確認する。
・・・どうやら、大丈夫そうだ。
「・・・俺だと思って、か・・・」
寂しくないように、いざとなったら殴ってもいいように、と物騒な言葉を残して行ったけど、本当にこんなので殴ったらかなり痛いのでは・・・。
「・・・会いたいな・・・桜太・・・好き・・・」
・・・安易に呟くのは危険かもしれない。
「よし、掃除とか終わらしちゃお。」
腕時計はテーブルに置いて、1時間程お風呂場の掃除をして、部屋の窓を開けて掃除機を掛け、どうせならと断捨離を始めた。
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