徒然なる恋の話

焔 はる

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七夜【大切なもの、守りたいもの】

7-11

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気持ちが落ち着いて車を下り、私が部屋に入るまで見届けてから行く、と言ってくれる言葉に甘えて私はマンションの部屋の扉の前に立ち、廊下から下の道路を見下ろした。

窓を開けて見上げる桜太と目が合う。

スマホを振り、指差す桜太。

バッグの中の私のスマホがメッセージの受信を告げた。



『寂しくなったら我慢しないで。』

< ・・・会えない時はずっと寂しい。 >

『(笑)俺も。だから、ひとりじゃないだろ。』

< そっか・・・ >



自分だけが寂しいんじゃない。

寂しいのも2人分なんだ。

気づけた瞬間、心がかなり軽くなった。


<ありがとう、桜太。仕事、がんばって>

『ありがとう、じゃあ、行くね。』

スマホから下に目を向けると、エンジン音が響き、桜太が手を振ってくれる。

手を振り返して、遠ざかる黒い大きな車を見送った。


・・・寂しいのも2人分。


同じ気持ち。


それならきっと、大丈夫。

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